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街中にて



「…….キミシマ博士?」
すれ違い行き交う人混みの中に垣間見えた、見慣れた黒い服と、月光を蓄えたかのような白く美しい毛髪。
彼女に間違いないと一瞬にして結論付けたネイヴルは、その場で足を止めて思わず振り返っていた。
「……あら、リトル・ボーイ。バイ・チャンスね?」
彼女もまた、すぐ隣を通り過ぎた良く知る青年の姿には立ち止まった。
近寄り難く感じさせるその冷たい雰囲気は全く変わらないものの、その立ち姿を見ればその手には白い袋がぶら下がっている。持ち手の引っ張られ具合を見る限り、随分と重量を蓄えているようだ。
あのキミシマ博士が。珍しいこともあるものだ。ネイヴルは誠実な青年の顔を保ちつつも、内心では首を傾げていた。
「 ちょうど良かったわ。ヘイ、貴方もこれから手伝いなさい?」
「え…えぇ? ま、また随分と唐突ですね…。事件の捜査ですか?」
「いいえ」
片手に下げた袋を、青年に見せるように掲げる。
「これからカレーを作るのよ」
「……はぁ、成る程」
カレー、という語句を聞いて、ネイヴルは全てを理解した。
美しい検死官がわざわざこんな場所にまで出歩いて買い物をしに来ている理由も、袋の中につまっているものの正体も全て、だ。
「以前もカレーを調理していらっしゃいましたが。今回はそのリベンジですか?」
「ンン……違うわ。娘に美味しいものを食べさせたいと思うのは、至極当然のことでしょう?」
……随分とこの人も柔らかくなったものだ。
「…しかし、あまりカレーばかりではあの子も飽きるのでは? いくら美味とは言っても…」
「……レパートリーを増やせということかしら?」
「ええ、そうです」
ネイヴルの言葉を聞いたミラが、顎に手を当てて考えるような動作をする。
「……リトルボーイ、貴方料理は得意かしら?」
「…まあ、人並みには」
「そう。……それなら、貴方はカレー以外の料理も作れるわね?」
「ええ、……はい!?」

ああもう、全くこの人にはいつも振り回されてばかりだと、ネイヴルは街中で頭を抱えた。

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