ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:理想的な男 制限時間:30分 読者:498 人 文字数:1729字 お気に入り:0人

ばかじゃないの、愛してるよ【ジョルブ】

 綺麗な言葉で彼のことを例えるのは、ありきたりだと思うし、さらに言えばずるいと思う。ぼくの前でパンと野菜の入った紙袋を危うい動作で持ち運ぶ彼を「きっちりとした人」と例えるのはおかしいし、朝に身支度をしながら後ろ髪が跳ねていることに気づかないまま頭のみつあみを組む姿を見て「頭のいい人」とは言えないし。こう言葉を並べ立てるとあらを探しているようだけど、彼と一緒に生活しているんだ、そう見えてしまうのは仕方ないじゃないか。
 パンは、朝に食べるパニーニのパン。いつものように押し付けられるようにもらったから、紙袋から飛び出しそうになっている。GEが今にもぼくから飛び出して、支えてあげたそうにうずうずしているけれど、ぼくはしらんぷりをしていた。ぼくにだってもたせてくれればいいのに、させてくれないブチャラティが悪いんだ。なんでも自分でやろうとする、彼の悪い癖。ほら、また彼の欠点がこぼれおちる。

「ブチャラティ、パンが落ちますよ」
「その時は仕方ないだろ」
「……あのねえ、あんたはいいかもしれないけど、パン屋のおばさんがかわいそうだ」
「……そうだな」

 人のことをいつも気にしているのに、相手からの厚い気持ちに気づかないし、もしくは応えようとしてくれない。彼に何通ラブレターが送られてこようと、ブチャラティにとってそれは恋文じゃない。今日も家に着くとまたポストに入っていたけれど、手にとって机に置かれたまま、数日立たないと読むことすら忘れてしまう。正直、これについてはぼくは都合がいい気がする。そう簡単にブチャラティが取られては困るから。
 紙袋のパンは、案の定机に置いてから机の上に転がった。パンのつぶつぶした粉が、朝置いたままの新聞を白くする。それを慌てて手で払うから机まで汚れるし、床まで汚れるし、ぼくはため息を吐きながら「順序を考えてくださいよ」と彼に変わって掃除してやる。マリンカラーの濡れタオルで机を拭くぼくを申し訳なさそうに見るブチャラティがおかしくて、粉が移った両手のままブチャラティのほっぺたを掴んでキスをした。リビングしか電気は付いていない。唇を離してから、繋がっている他の部屋の暗さとないまぜになっている淡い境界線を見つめた。夕食を食べる気分が遠のいていく。

「ねえ、セックスしていい?」
「あのなあ」
「あんたをパンにして、ぼくのおいしいお肉と一緒に食べるディナーにしましょう」

 汚れた手のままなのはどうかと思って、冷静な頭が濡れタオルをとってぼくの手を拭いた。きれいになった手でブチャラティの性器をズボン越しに握りこむと「ひゅっ」という息を飲む音が聞こえて背筋がびくりとした。ぼくの一言でその気になった彼に微笑みながらさっさと床に押し倒す。
「ここでやるのか」
もう一度キスをしようとすると、唇に手を押し付けられてそう言われる。ソファまで行くのも、寝室まで歩いて行くのも面倒臭い。こんなにやる気がある日も久々なのに、待ってなんかいられない。構わず続けようとすると、のしかかったぼくに負けずブチャラティが起き上がってくるので、こんどはぼくが床に押し付けられる。いつもペニスを入れるのはぼくなのに、普段忘れている事実の、その整った顔にドキドキして「どうしよう、今日はぼくが抱かれるんだろうか」と思ってしまう。

「俺はいいけど、お前に俺が気絶した後掃除をするんだと思うと申し訳ない」
「……あのねえ」

 心配するところが違う、そう言いたいし、どうしてこういうことに限っては頭が働くんですか、と叫びたくなる。パンだって手紙だって上手に扱わない男なのに、ぼくに対するその純真なうみのひとみとか、セックスを望んでるのにぼくに対して働いてる理性とか、そんなの。

「ばかだよ、あんたって」
「真面目だよ、お前に関しては、一番」
「……ばかだよ」

 手を伸ばして、もう一度頬に触れた。こっちに微笑んでくる顔がもはや憎たらしい。ぼくがどう頑張ってあんたにうまくしてやろうとしても、こういう些細なところで一歩取られてしまう。いつだって誰にだってかっこいい男がぼくにたいして働くそれが。
 やっぱり、綺麗な言葉なんていってやらない。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:種 一@はじめ_TRPG ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:優秀な人 制限時間:30分 読者:188 人 文字数:928字 お気に入り:0人
スマホから腐向けになった。DIOテレあの男は優秀という言葉が似合う。スタンド能力として人の心が読めるせいか行動の先読みが得意だ。こと、日常の積み重ねであればなん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:深海文音@二日目東X11a ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:憧れのにわか雨 制限時間:30分 読者:471 人 文字数:835字 お気に入り:0人
僕には憧れのシチュエーションがある。突然の雨に、慌てて鞄で頭を押さえて店屋の軒先に逃げこむと、そこには同じように雨に濡れた制服姿の女の子がいる。彼女は不安げに空 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:深海文音@二日目東X11a ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:ラストは戦争 制限時間:30分 読者:592 人 文字数:954字 お気に入り:0人
「頼む、匿ってくれ!」ドアスコープから覗いた彼は、焦っているようでピンポンピンポンピンポン……と何度もチャイムを鳴らす。さすがに鬱陶しくなって玄関の扉を開けると 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:シロ ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:たった一つの海風 制限時間:30分 読者:401 人 文字数:888字 お気に入り:1人
懐かしさを追うには、少々失ったものが多すぎた。それでも繰り返しこの場に来てしまう所以は何だろうか。きっと、忘れたくないのだ。逃げるように去ったくせに、あんなこと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:チャナ ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:名前も知らない孤独 制限時間:30分 読者:662 人 文字数:1818字 お気に入り:0人
【仗露】街中ですれ違うひとたちは、ぼくのことを知っているひともいれば、知らないひともいる。目をきらきらさせて、ぼくにサインを求めてくる子どもやぼくの世間的に変わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:リラ ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:大好きな吐息 制限時間:30分 読者:515 人 文字数:977字 お気に入り:0人
ずっとずっと待っていた。眠っているきみのそばに座り込んで、一ヶ月。今まで生きてきた年月に比べたら、一ヶ月なんて短い時間かもしれない。けれど、きみの何事にも動じな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:リラ ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:あいつの小説 制限時間:30分 読者:503 人 文字数:991字 お気に入り:1人
夏の日差しは攻撃的。珍しく海に行こうなんて言い出したジョルノが、熱い砂浜で裸足になることもできずに、傘の下で本を開いている。まるで吸血鬼。なんて、本人には言わな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:せつない海風 制限時間:30分 読者:778 人 文字数:1063字 お気に入り:0人
海からの風が、髪をかき混ぜる。ぼくは、岬の、とある場所に来ていた。ぼくの他には誰もいない。ここは、彼が安らぐ場所だ。冷たい石の下で。ぼくはチームの中で一番彼と長 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:愛、それは階段 制限時間:30分 読者:443 人 文字数:843字 お気に入り:0人
夢の淵に手を掛けたあの日。めくるめくアクション映画のような一週間。それから共にあった10年間。ぼくたちは、ゆっくりと二人分の愛を作り続けたね。今も覚えている。初 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:当たり前の暴走 制限時間:30分 読者:523 人 文字数:769字 お気に入り:0人
どうしようもないほどの夏だった。どうしようもないほどキラキラと輝いて。シニョリーナは露出も激しく街を歩き回り、男共はひと夏の恋をと、耳触りの良い言葉を所構わず吐 〈続きを読む〉

七色ちさと♡ジャスオルあ54の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:イナズマイレブンGO お題:幸福な雑草 制限時間:1時間 読者:106 人 文字数:2629字 お気に入り:0人
おれ、おまえに見つけてもらってよかったなあって。蹴ったボールにあわせて言った言葉に、剣城は首を傾げていた。 風がからだをなぞって入り込んで、血液をめぐるように 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:イナズマイレブンGO お題:僕が愛したぐりぐり 制限時間:30分 読者:209 人 文字数:1545字 お気に入り:0人
剣城は真面目だ。俺が宿題やるの忘れてきたから見せて!って言っても見せないし、自分の責任だろって怒るし、ねーお願い!ってしつこく言ったら折れてくれるかな、って思 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:イナズマイレブンGO お題:危ない血液 制限時間:30分 読者:165 人 文字数:1540字 お気に入り:0人
この世は地獄の形をしている。それはどうやったってきっと変えられないことで、こんな自分が考えていることだから、変化することがないという話なのだけど。 寝不足で虚 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:イナズマイレブンGO お題:とびだせ嫉妬 制限時間:30分 読者:232 人 文字数:1597字 お気に入り:0人
「剣城!」 名前を呼んで、そうしたら彼が力強く頷いて、力を纏ったボールがそらを舞う。せかいでいちばんかっこいいシュートを決めてくれる。それが雷門中サッカー部エー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:夜とぐりぐり 制限時間:15分 読者:447 人 文字数:832字 お気に入り:0人
ブチャラティはあまりカーテンを閉めない。寝るときもそうだし、そういうことをする時も、雨の日も。窓は閉めていてもそれだけはいつも一緒だった。ぼくはひとりで寝っ転 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:君の奈落 制限時間:30分 読者:472 人 文字数:1968字 お気に入り:0人
空は夏の水色で、雲なんてしらないという顔で広がっている。ぼくはカフェの目立たない席に座って、机の上にあるパラソルの影に涼んでいる。オレンジジュースとピザなん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:理想的な男 制限時間:30分 読者:498 人 文字数:1729字 お気に入り:0人
綺麗な言葉で彼のことを例えるのは、ありきたりだと思うし、さらに言えばずるいと思う。ぼくの前でパンと野菜の入った紙袋を危うい動作で持ち運ぶ彼を「きっちりとした人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:部屋とYシャツと信仰 制限時間:30分 読者:521 人 文字数:1858字 お気に入り:0人
「セ○クスの後にこういうの着せるの、変態みたいじゃないですか?」「変態でもなんでもいいさ。それしかなかったんだから」 ぼくがからかうように言うと、ブチャラティは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:左の絶望 制限時間:30分 読者:593 人 文字数:1589字 お気に入り:0人
身体がへんだと気付いた時、どんな気持ちでしたか。おれの隣で寝そべりながら、藍色の瞳がこちらを伺いながら聞いてきた。へんだと気付いた時。身体が死んだまま動いてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:七色ちさと♡ジャスオルあ54 ジャンル:ジョジョの奇妙な冒険 お題:10の脱毛 制限時間:30分 読者:641 人 文字数:1646字 お気に入り:0人
「最近、なんだかよく髪の毛が抜けるんだ……」「……年ですか?」「馬鹿言え、オレはまだ20だぜ」 昼食後のコーヒーを飲みながらブチャラティがそんなことを言った。昼 〈続きを読む〉