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逸見珍道中冥界編 ※未完

「それで、ここは一体どこなの?」

 ティーガーⅡを駆り、隊を率いて訓練中だったのに何故か見覚えのない景色に私は囲まれている。森林地帯を通り抜け、敵背後を脅かし挟撃する作戦を行っていた筈が、重戦車の足を絡めとるぬかるんだ土は荒涼とした小石に覆われた河原に変わり、木々の隙間をぬって髪を揺らしていたそよ風は吹き荒ぶ暴風に変わり、容赦なくパンツァージャケットの上から体温を奪っていく。
 オーケイ、状況を整理しよう。外傷はないし意識ははっきりしている、重畳重畳。戦車は周囲にない、必然的に隊の皆もいないこれは困った。現状が把握できない以外はオールクリアなのが腹立たしい。

「まったく、どういう事なのよ……」

 二度目になる現状への不安の言葉を漏らし、状況の改善の糸口が見えず途方に暮れていると唐突に声をかけられた。

「ここがどこだと?フハハハハ!それは冥界!明快であろう!」

 あまりの事態に頭がおかしくなったのだろうか、閻魔のコスプレをした元副隊長としか形容のし難い人物が、かつて聞いた事もない口調で話しかけてきた。なるほど、これはたちの悪い夢かと、頭を強く打てば目が覚めるか実行に移そうとすると「なにをするのだ」と止められる、一体なんなのよ。

「貴様はキューポラから身を乗り出し、後方車両へ指示をだしていたであろう?」

「そういえばそんな気もするわね」

「枝で後頭部を打って貴様は死んだのだ」

「そんなアホな死に方しないわよ!」

 元副隊長らしき人物は、普段のおどおどとした表情はどこへやら自信たっぷりの顔で私が死んだなどと言う。

「そなたの生前の行いは目に余るものがある、沙汰は追って知らすがまずは石を積むがよかろう」

「それよりなんでアナタその顔なのよ」

「この顔は貴様が生前最も苦手であった人物であろう」

 なぜそのような行動をとったのかと聞かれれば、わけのわからない状況下に追い込まれ、忍耐が限界を迎えたとしか言えない。足元の手ごろな大きさの石を取り、その苦手と言い放った顔めがけて、投げた。

「なにをするであろう!」

「うっさいわね!アンタなんて苦手にしてないわよ!」

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