共にすごす時間
そっと眠っているライの頬をなでる。
気配に敏感すぎるライもルルーシュの隣ならば安心して寝られるらしく、ルルーシュが身じろぎをしても起きる様子はない。これが、ほかの人間であれば、即座に飛び起きているところだ。
同じベッドで横になったまま、ルルーシュはライを起こさないように細心の注意を払いながら、頬をなでたり、唇に指を這わせたり、目元にかかっている前髪を払ったりと忙しい。
最近、二人きりでこうやって時間を共にすることがめっきり減った。
それは、主にルルーシュに原因があるのだが、ライは不満をひとつもこぼしたことはない。理解があるといえば聞こえはいいけれど、ルルーシュは若干不満だった。
理不尽なのは重々理解している。わがままを言えた立場でないこともわかっている。
仮にライにルルーシュの望むような要求や我侭を言われても、かなえられることは少ないこともしっかりわかっている。
けれど、それでも。
いってほしいと思うのは、やっぱり恋人としての性だろう。
「ライ」
誰よりいとしく思う名を口にすれば、それだけで甘い気持ちが胸を満たす。
まだまだ深い眠りにいるはずのライは、けれど、ルルーシュのたった一言。自身を呼ぶ声に反応したのか、眠ったまま、ふにゃりと、笑った。
その笑みがあまりに幸せそうで、やわらかい幸福に満ちたものだったから、つい、その頬にキスを落としたのは悪くない。