ジャンル:アイドルマスターsideM お題:空前絶後の小説 制限時間:30分 読者:343 人 文字数:1623字 お気に入り:0人
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真面目に書くんじゃ!

先生はいつも本を読んでいる。読 んでいない時もないことはないが、基本的には本を読んでいる。
 先生は熱心な読書家だ。いつだって本を手放さない。手放さ過ぎて、たまに人にぶつかりそうになる。人混みがどうやら苦手なようで、時折ふらふらしている。そこも含め、ミステリアスな魅力に溢れている、九十九一希とはそういう男だ。
 先生はよくメモをとる。その言葉はどれも詩的な表現で、自分にはとても綺麗なものに見えてしまう。
 あれが、先生の内側から湧き出る言葉なのだろうか。だとしたら、彼はあまりにも自分とは違いすぎる。先生と自分が違うことなどわかっていた筈なのに、その差が少し寂しいと思った。
 先生も、涼に何かを変えられたのだろうか。自分のように、何かを。その言葉の流れ出ているであろう、心の奥底にある柔らかで繊細な何かを。

 涼はいつもキラキラしている。テレビに映っていた頃の彼は彼女であったし、ふわふわのスカートをはいて、柔らかな曲線美を露にしていた。
 一度だけ、彼が彼女だった頃に雑誌を買ったことがある。彼女の特集が組まれていたその雑誌には、彼女のファンの言葉が綴られていた。
 彼女が彼になった頃。その発表に世間が揺れた。雑誌はひっきりなしに彼を取り上げ、下世話なゴシップが民衆を湧かせた。
 彼の特集を組んだ雑誌には、彼が彼女だった頃のファンのコメントが載っていた。曰く、酷い裏切りだと。
 裏切りとはなんであるか、自分は首をかしげた。彼は、嘘をつくことをやめ、己を素直に表現したのだ。それが裏切りなどと、どうして言えるのか。不思議で仕方がなかった。

 そんな彼らとユニットを組み、アイドルとなったことは、自分の人生において、最大のターニングポイントと言えるだろう。
 自分から見た彼らは、いつだってキラキラしていた。
 それに対して自分がキラキラしていたか、輝いていたか、実のところあまり自信がなかった。
 はなまる笑顔とはよく言ったもので、己の笑顔だけには自信があった。裏を返せば、それ以外にはあまり自信がなかったのだ。
 家柄上、あまり友人と気兼ねなく遊ぶこともなく。どうにも世間と隔絶されている意識があったからなのだろう。
 会話は嫌いじゃない。だが、どうしても隠し事に後ろめたさを感じてしまう己の繊細さが憎らしかった。そんなことを感じずにいられれば、もっと好きなように友人を作れたのではないか。そもそも、隠すようなことさえなければ、こんな想いはしなくて済んだのではないか。
 それでもなお自分が彼らと一緒に居たことは、ちょっとした奇跡だったのかもしれない。
 彼らのそばは不思議と居心地がよかった。アイドル活動をしている間は、家のことも忘れられた。ある種の逃避だったことは否めないかもしれないが、それでもあの頃の自分にとって、勿論今の自分にとっても、彼らは代えがたい存在として心を占領していたのだ。

 自分達の個性はてんでバラバラだったが、それが逆によかったのかもしれないと今なら思う。知らないものだからこそ、お互いを知ろうとしたし、知っていくことが何より楽しかった。
 それぞれがもつ視点は全く別の方向を向いていて、いつだって、同じものを違うもののように見ていたのだ。その違いが、何より面白かった。
 
 そうして自分達はアイドルとして活動を続けてきたし、これからも続けていく。そのつもりだ。
 しかしまあこうして振り返り、思い返すとはなんとも難しいものである。
 今回の寄稿に辺り、少しばかりの手心を加えてくれた先生と涼に感謝しつつ、この長文と乱文を読んでくれたファンに、最大限の感謝を述べたいと思う。
 結局のところ、何を書きたいか途中でよくわからなくなってしまったのだが、ようするにこれからもはなまる笑顔で頑張っていく所存なので、どうか自分達のことを見守ってほしい。

某月某日某所にて カブト ダイゴ

エッセイへの寄稿

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