ジャンル:魔法つかいプリキュア! お題:気持ちいい机 制限時間:15分 読者:243 人 文字数:1136字 お気に入り:0人

救いのエメラルド

鮮やかに煌いていた翠玉の輝きに向かって強く手を伸ばす。遠く輝く其れをただひたすら追い求め、漸く指先までに触れる距離になったと思う頃には眩い光は消え去り、気が付けば指先から体全体に纏わりつき覆い尽さんとする粘度の高い漆黒の闇に体はおろか心も魂も食い尽くされた。
肉体と心を失い、生前の執着染みた欲望だけが魂にへばり付き今尚其の欲望を満たさんと薄暗い世界に身を隠す。夢とも現とも云えない曖昧な境界で頭に響く呻き声に似た低い声に従い維持するのも儘ならない不完全な体の代わりに自分の手足となる下僕を生み出した。手足の中に懐疑心を持つものもいたが皆忠実に働く。しかし、野望を阻止せんと云わんばかりに現れた邪魔な存在に次々と浄化されていった。業を煮やし自ら動いてみれば如何だ。実に簡単に欲していたものを手に入れる事が出来た。なんと、なんと簡単な事か。多少鬱陶しい存在共を蹴散らしていく度に渦巻いていた思いが闇となり新たな力となり溢れだす。この力を持ってすれば全てを塗り潰し一つにすることも容易い。







――ほんとうに これで いいの?




耳障りな声が反響す。何処か聞き覚えがある其れは何と不快なものか。
力づくでその声ごと闇の力で塗り潰そうとしたが何故か塗り潰せず、それどころか取り込んだ小さな光が闇の力を押し返し眩く輝き出した。
目が眩む光の中、暖かな笑みと共に柔らかな温もりを携えた手が瞬く間に纏わり染み込んでいた闇を取り去ったかと思えば優しく手を掴まれた。まだ慣れない光を眇め見る。遠い昔、純粋に欲していた翠玉の輝きが其処にいた。
導かれるように手を引かれる最中、嘗ての旧友の姿を垣間見た。謝罪してもし足りない行為をしてきたのだと漠然と思う反面、別れの挨拶をする時すらない己自身に寂しさと申し訳なさが込み上がる。
やおら視線を暖かな翠の光に戻し、此れから向かう場所に思いを馳せた。やはり禁忌を冒し二つの世界に危害を加えた大罪者の行く先はそれ相応に相応しい場所なのだろうと。其れ故に一面に咲き乱れる花畑に目を見開いた。風に舞う花びら、鼻腔を擽る香しく甘い香り、何もかもが美しく心が穏やかになる光景。
犯してきた罪が一瞬で浄化してしまいそうな空間。このまま本当に此処でいいのだろうと一抹の不安に感じた。不安な気持ちが伝わったのか手を優しく握っている翠の面持ちが更に笑みを深し――、トンっと軽い音と共に抱き締められた。
不意に煽られた風に花びらたちが心を表すように舞い上がる。



――だいじょうぶ あなたは ここにいて だいじょうぶ



不思議と今度は心地よく聞こえる声に私はそっと目を細め笑い、そのまま花畑に埋もれるように倒れた。柔らかい笑顔を瞼裏に描きながら

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