ジャンル:アイドリッシュセブン お題:うわ・・・私の年収、スキル 制限時間:1時間 読者:449 人 文字数:1703字 お気に入り:0人
[削除]

Move on, my frined.

「天はもう、俺から学ぶことをやめた方がいいね」
楽屋で突然そう言われて、内緒だよと言われて見せてもらっていた台本から顔を上げる。Re:valeの百は肘をつきながら窓を眺めて緊張した風もなく、けれども大事な話だと言外に伝える声でそう言った。芸能界ではよく聞く声だ。目の前の彼とその相方は、アメリカから帰ってくるたびに一流のアイドルの顔になっていく。
それに伴う先輩諸氏のくだらないいじめや、同時期にデビューしたグループ達のやっかみは言うまでもない。けれどもそれを物ともせず、Re:valeはトップアイドルへの階段を段飛ばしで駆け上がっていった。何かに取り憑かれたような、狂ったような速さだった。確かにそれは数年後自分に降りかかるであろう状況で、そこから学ぶべきことは多かった。けれども彼がそういった話をしようとしている訳ではないことは、天にもよくわかった。
「百さんから学ぶべきことは、まだたくさんあると思ってますよ」
「天に褒められると照れちゃうな」
そんな自然な笑顔が楽屋で出てくることが、天が学びたいと思っていることなのだ。安々とは剥がれないアイドルのトップコート。Re:valeの百は、Re:valeに必要とされる百であり続ける。楽屋や打ち上げといった下準備や後片付けは、寧ろ彼の輝きが活きる場ですらある。本番はユキに助けられてばっかりだからね、と明るく言ってのける。それは真実でないと、周りの誰もが知っている。
手慰みにペンを回しながら百は問う。
「天は今いくつだっけ」
「17です」
若いねと、そう言われるのではないかと反射的に身構えていた。近頃では誰もがそうやって、九条鷹匡の隣に立つ天を目先だけ心配する振りをして、侮っては立ち去っていく。今に見ていて。しかるべき時がきて、しかるべき人物が隣にくれば、貴方達なんて影も見えないほど遠くまで追い越していくから。
しかし六歳年上の先輩は、ペンを机に置いて、それから慈しむように微笑んだ。
「17は、いい歳だね。一生憧れられるものが見つけられる年齢だよ」
彼が17の時に見つけたものなんて聞くまでもない。憧れというものは抱いたことがないけれど、ひょっとしたら目の前の人物に抱いてるものこそがそれに近いのかもしれない。百は足を組み替えて、今度は天を正面から見据えた。
「天は何のためにアイドルになったの?」
テレビ向けの回答では、誤魔化せないと思った。
「……僕のファンのためです」
嘘はついてない。自分と一緒に生を受けた、一番最初のファンのため。今頃どうしているのだろう。喘息は少しは落ち着いただろうか。学校にはきちんと通えるようになっただろうか。兄がいなくなって、毎日寂しがってなどいないだろうか。もう二度と会うことはできなくても、早くアイドルとしての自分の姿を届けたい。
「そっか」
彼はそれ以上何も聞かない。そういうところが、大人だと思う。
「俺は俺のアイドルのためだよ」
「会った時はアイドルではなかったでしょう」
「そうだね。俺がアイドルにした」
うん、小さく俯いた彼からはアイドルとしての塗装が少し剥がれた。この人は知らない。彼とその相方がここにいる元凶を。自分の養父がしたことを。そのことを思うたびに少し胸が痛む。それを知ってもなお、この人は自分に笑いかけてくれるだろうか。
「天にももうすぐ、隣に立ってくれるすてきあいな仲間ができるよ」
「仲間、ですか」
できるだろうか、自分にも。彼とその相方みたいに、信頼しあって、どこまででも走り続けられる、そういう仲間が。
「できるよ。勿論そうしたら、Re:valeは可愛い後輩の天をサポートしてあげる。でも、俺から学ぶのはやめた方がいい」
偽物だから、そう聞こえた気がするけれど真意はわからなくて、聞こえなかった振りをする。それが大人の作法だと思っていた。
「俺は天と友達になりたいな」
差し入れのお菓子をはい、と渡される。抹茶味は少し苦手だったけれど、それを受け取った。憧れに似た感情は殺された。けれども立ち止まれば蹴落とされるこの一本道の泥沼のような芸能界で、天には初めての友人ができた。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:左の私 制限時間:30分 読者:15 人 文字数:1643字 お気に入り:0人
指定席。僕がここにいていいのだという、印。現実にはそんな便利なものはなくて、いつでも探し回っている気がした。気が付けば、案外思いもかけずに手にしているのに。「壮 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:苦し紛れの国 制限時間:30分 読者:16 人 文字数:1533字 お気に入り:0人
まさか、こうして酒を酌み交わすことになるとは思わなかったけど、それは俺にとってとても、嬉しいことで。…そして、何より。「本当に、お礼が言えるようになって嬉しいよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:記憶の粉雪 制限時間:30分 読者:19 人 文字数:1331字 お気に入り:0人
ほとんど、後ろ姿しか見ていなかった気がする。あとは、ゆっくりと語る母親の口調。後から見る、姿。俺が直接見たものは、自分の心境のおかげか、断片的なものでしかない。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:強い別居 制限時間:30分 読者:22 人 文字数:1528字 お気に入り:0人
たくさんの煽り文句で、俺は形容されてきた。ただ、それはあくまでも作られた俺へのものであって。本来の、素のままの俺に付ける煽り文句としたら…何があるんだろうか。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:失敗の熱帯魚 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:1434字 お気に入り:0人
ぼーっと何を見るわけでもなくチャンネルを送り、ソファでくつろぐ。のんびりするのがオフの過ごし方ってなもんで、基本は何もしないに限る。ビールの時間には早すぎる(と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:未熟なわずらい 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:1602字 お気に入り:0人
子ども扱いされているのは十分わかっているけれど。頑張って背伸びしても、相手はどんどんと先に行ってしまうから。子供みたいに我がまま言って、引き留めるくらいしか、な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:悔しい男 制限時間:30分 読者:19 人 文字数:1439字 お気に入り:0人
夢に見たものが、寸前で途切れる瞬間を見た。暗闇に投げうたれた俺は、その暗闇の中でまだ光り輝く何かを求めて、必死にもがいていた気がする。「よし。あとはスケジュール 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:宿命のもこもこ 制限時間:30分 読者:20 人 文字数:1358字 お気に入り:0人
正直、他人と関わるのは好きじゃない。自分の好きなように解釈して、すり寄ってきたり、怒ったり、泣いたり。僕がしたいことを阻害していく他人は、僕にとって邪魔にしかな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:希望の交わり 制限時間:30分 読者:22 人 文字数:1541字 お気に入り:0人
猪突猛進だって、昔からよく言われていた。でも、オレはあの時の決断を後悔なんてしていないし、今こうして見ている景色は、あの時の決断がなければ絶対なかったものだから 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:あいつの笑顔 制限時間:30分 読者:23 人 文字数:1832字 お気に入り:0人
皆さんを支えるのが、私のお仕事です。けれど、私は皆さんに支えられてばっかりで…。きちんと、皆さんに頼っていただける、一人前のマネージャーになりたいんです。「おは 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:進撃の巨人 お題:平和と猫 制限時間:4時間 読者:5 人 文字数:2797字 お気に入り:0人
連続投稿を失礼致します。何でもドンと来いという方向けの、捏造と妄想の産物です。サネウリを連想させる描写があるので、苦手な方はご注意下さい。 幼かった私は、あの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:文豪ストレイドッグス お題:輝く悪 必須要素:長編の冒頭として書くこと 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:944字 お気に入り:0人
首領の死体が上がったのは、夏の始まりのことだった。港近く。汽水域の河辺に、ぼんやりと浮いた白い顔。ヘドロに汚されて、煤けて見えていた。――何時、誰が、何処で。蜂 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:文豪ストレイドッグス お題:求めていたのは嵐 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:1035字 お気に入り:0人
(不健全のような……そんなことはないような)乱れる息に思考を散らされながら、ふと思った。これは、さながら荒天に漕ぎ出す小舟のようだと。遮光のカーテンを掻い潜る月 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:血界戦線 お題:楽しかった草 必須要素:映画 制限時間:1時間 読者:11 人 文字数:2794字 お気に入り:0人
水曜日の寝床はルーシー。赤茶けた髪とそばかすの散った頬、大ぶりの眼鏡ばかりがよく目立つ。出会った当初はこんな混沌の街に不似合いの田舎娘だった。仕事さぼって腹減っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:プリパラ お題:限りなく透明に近いうどん 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:608字 お気に入り:0人
「ねえねえ、みれぃ!今日、このコーデでおそろライブしよ!」「良いっぷりよ~☆」コーデの数だけマイチケをスキャンしてね。お友達のトモチケもスキャンできるよ。きらき 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:あんさん腐るスターズ! お題:彼と夕方 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:786字 お気に入り:0人
行きと違って帰りは足取りが重い。学校に向かう時は、あの子に会える喜びでいっぱいだ。家に帰る時には、あの子と一旦お別れをしなければならない。また明日ね、彼はそう言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/GrandOrder(腐) お題:勇敢な体 制限時間:30分 読者:13 人 文字数:1122字 お気に入り:0人
槍弓「ヘマすんじゃねーぞ」「君に言われたくはないな。あの魔獣と違わないその猪突猛進ぶりには驚かされる。…ああ、君は猪ではなくフリスビーに飛びつく犬だったかね?」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル: お題:意外!それは沈黙 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:1474字 お気に入り:0人
意外!それは沈黙雲雀×夢ヒロインテーブルの上には今朝郵便受けに入れられていた手紙が並べられている。私はその中で、一際可愛らしい装飾がなされたハガキを手にとって、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:文豪ストレイドッグス お題:小説の魔法使い 制限時間:30分 読者:13 人 文字数:1117字 お気に入り:0人
青ざめた指先の向こう。あまりにも頼りなく薄い刃物。今にも折れそうな不銹鋼だが、僅かに引くだけで的確に肉を削ぐ。寸分の狂いもない腕前。苦痛に喘いでいた大男から鉛玉 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:バンドリ!ガールズバンドパーティ!ー お題:鳥の雨 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:1424字 お気に入り:0人
雨がちな日に生まれたんだなあって思ってた。私は、子供の頃から、あの《キラキラドキドキ》を見つけた日から、星空を見るのが大好きで。大好きなお友達。お父さん。お母さ 〈続きを読む〉