ジャンル:みの夏 お題:出来損ないの音 制限時間:4時間 読者:260 人 文字数:2792字 お気に入り:0人

超常学園捏造


オレが初めて能力に目覚めたとき、能力者なんて言葉はなかった。
あの時のオレはまだ10才になったばっかりだ。
学校の郊外学習で出かけた先でボヤ騒ぎがあって、仲の良かったコが巻き込まれた。
無我夢中で炎の中に飛び込み、震える友達に手を伸ばした瞬間。

炎はオレの掌に吸い込まれて、自分が出したこともないくらい大きな絶叫になった。

「丞ありがとう!」

あの場所の誰もが何が起きたか分からなかったけど、友達が軽い傷ですんだこととオレのことすごいと誉めてくれたのが超嬉しかった。

「あの日からどれだけ経ったんだっけ」

掌を見る。なーんにもない掌を。
右腕の四本の線と左腕の生徒会の腕章を見ていると自分の役目を思い出す。

「拝田くん」

人の気配がした。オレ以外を排除した学校の屋上に来るのはたった一人。

「セーンパイ!オハヨーゴザイマス」

水無月時雨だけだ。

超常学園は階級制で実力主義。入学したての一年生のオレでも天上天下[テンアゲ×テンサゲ]だけで生徒会長になっちゃった。
ツマリこの人より上ってこと。

「水無月博士が君を呼んでいる」
「はーい」

時雨センパイはよくわからない。自分の父親が対能力者無人兵器なんて物騒なものをたくさん作って、自分の友達かも知れない仲間かも知れない奴を...

「はーかせっ!」
「拝田か。すまない、手間をかけるな」

無表情なトコロが息子によく似てるよ。
髪に糊が付くから嫌な電極貼りも頭が痛くなる動力炉とのシンクロ率の検査も、オレが生徒会長になってからのハナシ。
毎日毎日飽きもせず、心なしか検査も複雑化してきた気がする。
正直かったるい。
でも

「ヒャハハハハ!」

この能力を使うときの一瞬の高揚には代えられない。

「拝田くんその調子だ。あと10秒耐えなさい」
「High !りょーかいっ」

体に力を込めれば込めるほど、ココロの底からワクワクやドキドキが込み上げてオレの中を駆け抜けていく。
楽しいっ!

ピシッ

左腕に一瞬走った痛み。オレならでも持ち直せる。

「今だ」
「テンサゲ!」

さっきの痛みが嘘みたいにチョーシ良い。
仮想空間にオレの能力は吸い込まれて、今日の検査はオワリ。

「お疲れ様」
「終わったー」

寮まで走ろうとしたけど、今日はやめる。
学園地下から出る出口、パスの認証手前の壁沿いに人影。

「センパイ」
「気づいていたか」
「バレバレの尾行はやめた方がいいよ」

俺からのチューコク。
オレは4月の入学で四本線のカッコイイ制服をゲットして、その後すぐに生徒会にスカウトされて時雨センパイとはそこからの付き合い。

この人には不思議なトコロがあって
実の父親が首謀者だって言うのにこの学園の裏で起きてることオレがなんで呼び出されてるか、ぜんっぜん聞かされてないみたいでこうして暗躍したりオレに探りを入れてきたりする。
甘やかされて育ったオボッチャンなのかな。

直接聞けばいいじゃん。それかオレの代わりに生徒会長になれば。

「僕の能力は君に及ばない」
「まーね」
「拝田くん、君は___」
「センパイはそれ聞いてどうするの」

きつく唇時雨センパイのが結ばれる。
オレはこの学園で一番強い能力者、だから生徒会長をやってる。
アンタじゃ敵わない。

「最近学園の裏で良くない動きがある」
「暗部のことは対策してる」
「それだけじゃない。拝田くんも気をつけて」

時雨センパイが走り去る。
気をつけろって、何に。
珍しく穏やかに笑った時雨センパイは、きっと学園のカラクリに気づけていない。

時雨センパイもこんなところで躓いてたらいつまでも真実に辿り着けない気がするけど。
必死に守ってるものがあるんだろ?

この前時雨センパイが話していた小さな影を思い出す。あからさますぎ、大切にしてるのがモロバレ。
だから笑った。いつもより脆く見えたセンパイを笑った。



あれから数日。
その日は朝から頭が痛くて気分が悪くて、オレはどこかで自分のシュクメイを感じていたのかもしれない。
昨日の検査は超調子が良くて、とうとう水無月博士越しに全ての計器が100%をだすのを見た。

オレには嬉しいとかやったー見たいなカンドーはなかった。
だってオレの人生で楽しかったのは、炎から友達を救いだしてその後ちょっとの間友達がありがとうって言ってくれたり名前の知らない奴もオレをチヤホヤしてきた一瞬だけ。
その後オレが中学に上がる頃には、能力者って言葉が生まれてオレの活躍はキョッカイされてヒーローは一転危険人物にされた。
だから中学の頃は全く能力が使えなかった、アンコクジダイってやつ。
ああ...検査はどうでもいいけど思いっきり能力を使ってみたい。

仮想現実相手じゃツマンナイ。

「やあ拝田くん」
「博...士...あたま、が...」
「手荒に呼び出してすまない。検査の結果君が動力炉の増幅に最適だと判断した」

暗部の奴らが、オレ一人の瞬間を狙って現れたとき出雲ならヨユーって思った。
けど頭の痛さも体調の悪さもオレのコントロールを悪くして、暗部ののやつらにぐるぐる巻きにされて博士の前に差し出されてしまった。

「だが、君は私と対等な関係を築けていたと思っていたようだが」
「グッ...アアアア」
「私はハナから能力者など信用していない」

水無月博士は囁く。

「君の役目は一つだ。暴れろ、いつものように」

その言葉が洗脳みたいにオレの心のなかを染めていく。
気づけば電極で繋がれた、対能力者無人兵器の動力炉の暴走すらオレの力に変えて学園を粉々にしていた。
まるでオレ自身が兵器のようだ。

徐々にキツくなる痛みの中で崩れ行く建物の先に、小さな影を見つけた。
チョロチョロと嗅ぎ回るアイツみたいな影。
身体中の痛みも関係ない、全部壊してしまえ。
オレには目に入る全部が邪魔だ。ああ、頭が痛い。

オレは、オレは...?

悪役になりたかったんだっけ

「絶対無零度!!」

鋭い痛みが脇腹から左腕を真一文字に切り裂く。
オレの体が崩れ落ちていくのが分かる。
消え落ちそうな意識の中で、確かにオレに付いた電極が剥がれる音と動力炉が破壊される爆音を聞いた。

あの後迷惑かけた皆に謝って、時雨センパイと仲良くなって、獅子雄センパイと熱く語りあって、威吹センパイに拘束されたけどジョジョーシャクリョーの余地を認められて、捜査協力のオレイにドーナツをもらった。

「零司センパイは生徒会長にならないの?」
「おっ零司、現生徒会長からのお墨付きだぞー」
「すごいな零司!」
「嫌だ。君の後任なんてやらかした後処理が多そうだ」
「ヒャハハハハ!」

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

ムスゴ@8/26 東7き55aの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:忘れたいあの人 制限時間:2時間 読者:22 人 文字数:3344字 お気に入り:0人
※事務所にシャワールームがありますその日は台風が関東に上陸すると、昨日からニュースではひっきりなしに特集されている。ほんの少し自分の恋人のことが気になって、手帳 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:大人の薔薇 制限時間:1時間 読者:38 人 文字数:1533字 お気に入り:0人
※未成年が誤ってアルコールを摂取します。部屋で1番大きな窓を開けて、涼しい風が部屋に吹き渡る。俺の膝の上に頭を乗せた夏来くんは、開口一番に謝った。「...ごめん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:憧れの豪雪 必須要素:アメリカ 制限時間:4時間 読者:52 人 文字数:957字 お気に入り:0人
ロンドンの夜は深まり、濃い霧が光を覆っては不気味な雰囲気を醸し出す。屋敷の扉を開くと1人の人影が現れた。「おかえりなさい...」「今夜のカーチェイスも味気なかっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:小説家たちの殺し屋 制限時間:15分 読者:59 人 文字数:495字 お気に入り:0人
膝の上に安らかな寝息。仕事も忙しく定期テストもあった1週間が終わって、クタクタの夏来くんは事務所に着くなり俺の膝を借りて寝始めた。硬いであろう膝で恋人は幸せそう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:狡猾な祝福 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:1232字 お気に入り:0人
7人乗りの新車を駐車場に入れるのは、何度やっても緊張する。社長が気前よく自腹を切った社用車第二号は主に社長の利用するものだけれど、仕事が増えた今の315プロダク 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:ゆるふわ愛され「うりゃぁ!」 制限時間:15分 読者:62 人 文字数:910字 お気に入り:0人
バレンタインには...プレゼントを、俺もジュンもみのりさんもたくさんもらった。お菓子。バスフィズ。すごろく。...それに、綺麗になるもの。プロデューサーさんが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:穢された水 制限時間:15分 読者:115 人 文字数:1387字 お気に入り:0人
※アニマス2話時空アイドルが好きだ。キラキラと光る姿は本当に目が話せないほど綺麗で見惚れてしまう。スカウトがきたときは驚いたけどピエールと恭二と3人なら俺もきっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:壊れかけのロボット 制限時間:30分 読者:118 人 文字数:980字 お気に入り:0人
「榊」「恭二さん...おはようございます」「おはよう」事務所で一人雑誌を読む榊を見つけた。何があったわけでもないのに顔を見ていると申し訳ない気持ちになる。きっか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:楽しい私 制限時間:30分 読者:106 人 文字数:706字 お気に入り:0人
「本当に...?」「うん、ちょっとだけだけど一緒においで」「行く」事務所のホワイトボードの前で夏来くんに出会った。俺の仕事終わり時間は伝えてたけれど、夏来くんは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
春に雨が降る ※未完
作者:ムスゴ@8/26 東7き55a ジャンル:みの夏 お題:ありきたりなサーカス 制限時間:30分 読者:128 人 文字数:458字 お気に入り:0人
「「雨止みませんね」あの日も雨だった。しとしとと傘から雨を落とす彼は小さく笑った。Beitもハイジョも駆け出しで忙がしくて、お互いのことを気になってもよくわから 〈続きを読む〉