ジャンル:咲-Saki- お題:女のカリスマ 必須要素:靴の中敷 制限時間:30分 読者:366 人 文字数:2149字 お気に入り:0人

必須要素・手癖で書く大星淡


「亦野先輩にはカリスマ性がないんだよねえ」

ヘラヘラ笑い、大星淡が口にゼリービーンズを放り込む。
先輩である宮永照が常に置いていたお菓子の一つだ。
もっとも、彼女達が引退し顔を出すことが少なくなった今、補充される頻度は大幅に下がっているのだけれども。

「はっきり言ってくれるなー」
「テルーは言わずもがな、スミレですらカリスマみたいな雰囲気だけはあったのに」

圧倒的カリスマ性を誇り、部の内外に――そしてプロ・アマ問わずに尊敬されていた照の姿を思い出す。
確かにアレは、雀士ならば誰もが憧れる存在だ。
カリスマ性の塊と言っていいかもしれない。

その隣に立つ弘世菫も、またカリスマ性の塊と呼べた。
照ほど圧倒的な腕があるわけではないが、身に纏う空気は一目見ただけで彼女を“強者”と分からせる。
実際、白糸台の麻雀部員で一番モテるのは菫であった。
男女問わず人気があり、なんなら告白してくる相手は女子の方が多かったように思える。

文句の付け所のない、圧倒的王者に相応しい顔ぶれ。
その一つ上の先輩たちも、照や菫ほどでないにしろ、かなりの風格を持っていた。

「私は、高校100年生どころか、高校無量大数年生ってくらい風格バリバリなのになー」
「何その学年最高に頭悪そう」

実際、強そうかどうかで言えば、淡は相当に強そうである。
髪をなびかせ雀卓の前に佇む姿からは、並々ならぬ小宇宙(コスモ)を感じる。
白糸台のゴールデンルーキーと言わんばかりだ。

「無量大数って数字をやたら使いたがるの、小学生くらいだと思うんだけど」
「それでも今の2年生よりはよっぽどオトナじゃないかと思うんですけどー?」

うぐう、と言葉に詰まる。
自分で言うのも何なのだが、今の2年生は正直イマイチ頼りがいがない。
淡のように初年度から頭角を現しレギュラー入りした者もいなければ、照や菫のようにカリスマ性で下を引っ張る能力もない。

勿論同期の渋谷尭深のことは尊敬しているし、貶すつもりはないのだが、しかしながらカリスマ性があるかどうかと聞かれればNOだ。
尭深はマイペースなのもあって、後輩に指導するようなタイプではない。
かといって背中で語るタイプかと言われるとそうでもなく、いつでものんびりお茶を啜りながら収穫の時を待っている。
新入生がいきなり真似し憧れるような闘牌スタイルではないのもあって、上の世代ほど求心力はない。

「特に亦野先輩なんて、頼りになる先輩感ゼロ、下手したら新入生にも『陥落の象徴、大量失点したフィッシャー!』みたいに思われるんじゃない」

そう、そして一番の問題は、亦野誠子本人だ。
去年のインターハイ、はっきり言ってとてもではないが活躍なんてできなかった。
連覇を逃した一因だと言われても、甘んじて受け入れるしかない。
苦笑いを浮かべながら、赦される日を待つしかないのだ。

「そりゃあ、まあ、否定しきれないし、受け入れるしかないんだろうけどさあ」

誠子本人としては、受け入れるしかないと思っている。
誠子本人が軽んじられるのは、もうしょうがないと諦めている。
だと言うのに。

「……副部長として、どーなのよ、とは思うんだよなあ」

大きく、溜息。
いっそただの平部員ならば、イジられながらもなんとかやっていけただろう。
後輩からナメられても、気にしなければいいだけの話であった。

しかし、不幸なことに、副部長になってしまった。
虎姫以外のチームはほとんどが3年生で構成されており、大きな大会を経験している2年生が全然いないというのが一つ。
そして、虎姫のせいで没落し色々と厳しい状況に追い込まれた白糸台高校麻雀部の次代部長をやりたがる者など誰もいなかったというのが一つ。
おかげで最初は部長の座を打診されたが、事務作業が苦手だからと何とか辞退することが出来た。
もっとも、代わりに部長となった尭深が積極的に活動するタイプではないので、『補佐』として部長をやるのと変わらぬ仕事をさせられているのだけれども。

「カリスマ性、身につかないかなあ……」
「無理でしょ。一時期カッコつけて決め顔のままクールぶてたけど、全然効果なかったし」
「あーあー、聞こえない聞こえない」

釣り竿がいけないのかと釣り竿を持つのをやめてみたり、鏡の前で決め顔の練習をして常にキリッとしてみたり――
まあ様々なことを試したが、要約すると全部『無駄な努力』というやつであった。
今なら『方向性の間違った努力』と言い換えることが出来る。

「亦野先輩に比べたら、トイレの便座カバーとか、靴の中敷きとかの方が、まだカリスマ性がありますよ」
「カリスマっていうか、単なる利便性じゃんそれ」
「その利便性、自分にはあると?」
「はい、すみません……」

へこむ。今の私は中敷き以下か。

「……そういえばさ」

突っ伏してへこんで、それで、ふと、疑問が頭をよぎった。

「そんな中敷き未満の私に、どうして淡はついてきてくれるんだ?」

別に、淡が部長でもよかったのに。
別に、こんな頼りない先輩など見捨てて、自分中心に派閥を組んでもよかったのに。

「……それを聞いちゃうところが、駄目なんじゃない」


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