ジャンル:バトル・ロワイアル お題:凛としたフォロワー 必須要素:山田が犯人 制限時間:30分 読者:312 人 文字数:2256字 お気に入り:0人

追加お題:下校時間


そういえば、集団下校というものが、ランドセルを背負ってる頃にはまだあったような気がする。
相馬光子(女子11番)だって、まだ9つの誕生日を迎えるまでは、無邪気に集団下校に興じていたものだ。
上級生に導かれ、近所の子供と楽しくお喋り。
まったくもって、今の光子からは想像出来ない光景だ。

でも、事実だ。
あの頃は、無邪気な顔をして、家が近所というだけの相手と笑顔で談笑したものである。
勿論、今だって、必要とあれば過剰なまでの微笑みを振りまくことができるのだが、しかしその根底に流れるのは打算といった別の顔である。
ただ純粋に、心から、笑いながら談笑をしたのなんて、きっとあの時くらいまでだ。

別に、あの頃の自分に戻りたいだなんてこと、光子は思ったこともない。
どうせあの頃に戻ったって、どこかで奪われ始めるだけだ。
それならば、9歳という早い段階で奪われて、奪う側に回れた今の方がいい。

だから、別に、楽しそうに駆けていく小学生とすれ違っても、特に思うことなど無い。
ああ、でも、男女仲良くしているのを見ると、思うことがないでもなかった。
別に羨ましいという気持ちは毛ほどもない。
単純に、無知な者を眺めている内にどうでもいい感想が出てきただけだ。

あらあら、精々今の内に“男女のユージョー”を楽しみなさい、ランドセルを脱ぎ捨てたら、そこにはもう打算と性欲で溢れた関係になるんだから――――

実にろくでもない感想だ。
それでも、それは光子にとっての真実である。
いい、お嬢ちゃん、この世に男女の友情なんて存在しないし、男は皆ケダモノなのよ?
それにいち早く気付かないと、奪われるだけなんだから。

「……あら」

集団下校に限った話ではないが、下校する学生とすれ違うなど、光子には滅多にない。
なにせ光子はいつでも自主的に好きな時間に下校している。
“下校時間”などという概念は、持ち合わせていなかった。
ゆえに、たまにこうして遭遇すると、“下校時間”という忘れ去っていた概念を思い出しては「ああ、そういえば、フツーの学生は、この時間に下校するんだったかしら」なんてことを思うのだ。
最も、“オジサマ”達に貰ったお金で優雅にタクシーを使える光子は、別に帰宅が下校時間に被ったところで、交通機関の混雑に悩まされることもないのだけど。

勿論そんな風だから、下校時間がどのくらいの時間なんてこと、30分も経たずに記憶から消える。
奪う側に回るのに必要のない無駄な知識に脳のリソースを割いてやるほど、光子は暇な人間ではない。
タクシーを使わずのんびり歩いて帰るのも人によっては暇に見えるのかもしれないが、これは立派な営業活動。
こうして街を散策し、新たな“資金源”や“使えそうな手駒”に目星をつけるのだ。

「あれって……」

本来なら、よほど美味しいターゲットでもない限り、いきなりこちらから声をかけることなどない。
しかしながら、予想外の人物を見つけ、光子は口端を歪めた。

「たーかこ」

そして、満面の笑みを作り、見つけた人物――千草貴子(女子13番)の前へと躍り出た。
スカート(ちなみに、制服だ。とっくに下校し着替える時間もあったし、普段なら着替えているのだが、制服の方がイイという客だった)をきちんと翻し、その白い太腿を公衆に晒してあげる。
まったく大した博愛精神だと思わない、ほら、皆こっちを見てるわよ?

「珍しい時間に会うわね」

その笑み、仕草、どれをとっても“美少女”である光子が、こうして自ら声をかける。
本性を知りさえしなければ、きっと天使が現世に迷い込んできたとでも思うだろう。
きっと、本性を知り警戒する者でさえ、ドキドキしながらも返事を返してくれたはずだ。

「あら、シカト? 冷たいのね、クラスメートなのに」

それでも貴子は、こちらを気にも留めない。
いつもそうだ。
まるで路上に犬の糞でも落ちていたかのように、少しだけ嫌な顔をすると、すぐに避けて進もうとする。
その際スッと進路を変更する姿も、光子に負けず劣らず美しかった。

「陸上部、今日は練習なかったのね」

貴子は、軽薄そうな見た目に反して、部活動に打ち込んでいる。
節穴を2つ備えた中年に「真面目そうだ」と評されたこともある光子とは、まさに好対照な存在だ。
彼女もまた“通常の下校時間”というものに馴染みがなかったが、その根底にあるものはまるで別のものだった。

「悪いけど、アンタと遊んであげるほど暇じゃないのよ」

あら、あら、ハッキリ言ってくれるじゃない。
男も女も、恐れを隠せないでいながらも、最低限の付き合いくらいしてくれるのよ、これでも。
ほら、私、演技力だって高いから。
アンタに憧れて、真似しようなんて考えて、凛とした姿勢を貫こうとする陸上部の後輩も、たった数言で陥落してくれたのよ?
それなのに、貴女ときたら、もう何回も声をかけてるのに、ちっともまともに取り合ってはくれないのね。

「あら、愛しの杉村クンと、デートの約束でもあるのかしら」

貴子のこめかみが、ピクリと痙攣した。
ほら、分かるのよ、何を言えばアンタが足を止めるかくらい。

だって貴女、私とまるで逆だものね。
男女の友情なんてものが、成立すると信じているみたいだし。
杉村クンのこと、親友とでも思っていて、馬鹿にされたくないんでしょう?

分かるわよ、そのくらい。
貴女をずっと観察したもの。
ねえ、この意味――



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