ジャンル:ワールドトリガー お題:激しいにわか雨 制限時間:1時間 読者:339 人 文字数:1317字 お気に入り:0人

無題2(太刀忍) ※未完

公園の脇に停められた白いワゴン車、そのタイヤ横にいた白黒のハチワレ猫が、しきりに顔を洗う仕草をしている。
随分人馴れしていて、近づいても逃げない。猫のそばにしゃがんで、撫でようと手を出してみたところ、猫パンチを食らう。その猫の爪が引っかかって、太刀川はかなり痛い思いをした。遊んで欲しいのか、猫はさらに、太刀川のズボンに守られた膝を引っ掻く。素っ気なくされるよりは良かったのかもしれないが、その反応があまり気に入らなくて、興ざめだった。太刀川は早々に猫から離れた。
風は過分に湿り気を含んでいる。これは一雨来るなと、太刀川は先ほどから思っていた。しかし傘を持ってきていない。
ただ、目的地はすぐ近くだったから、早いうちに屋根のあるそちらに駆け込んでしまおうと思った。数歩歩いてもついてきた猫が名残惜しげに、ひざ下にまとわりつく。猫はどうやら、太刀川が片手にコンビニ袋をがさがさ言わせながら歩くのが、気になるようだった。わざと猫の目の前に袋をぶら下げてやりながら、よたよた歩いていると、ぽつり、大粒の雨が頰を打った。
これではもう、道草を食っていたんじゃ濡れてしまう。なんとなく左手の時計を確認して、道を急ぐ。時計の表示は14時半を過ぎたところだった。忍田さんは今、何をしているだろうか。休みの日くらい暇そうにしてるかな、などと太刀川は一瞬考えた。公園を過ぎたところの角を右に曲がって、200メートルも行けば忍田の住むマンションに着く。灰色のタイルの外壁がそれほど古くは見えない、単身者向けの低層マンションの3階に、忍田は住んでいる。太刀川はそこに、1ヶ月ほどぶりに遊びに行くのだった。
わずか50メートル進む間にも、雨の落ちて来る間隔はどんどん狭まっている。もう小走りになって、マンションのエントランスまで太刀川は走った。自動ドアが開いた途端に、バケツをひっくり返したように雨が激しくなり、太刀川は髪を少しだけ濡らしてしまった。


集合玄関から3階に上がった太刀川は、忍田の部屋のドアの前でチャイムを鳴らした。後ろでは雨の音がやまない。
太刀川を迎えた忍田は、眼鏡をかけていた。多分、新聞を読んでいたのだろうと太刀川は推測したが、それは当たっていて、リビングのローテーブルには新聞が畳んで置かれていた。忍田は一見視力が良さそうに思われることが多いが、家の中では眼鏡をかけていて、外ではコンタクトレンズを装着していた。太刀川は忍田に関するそういうことも、きちんと知っていた。
手みやげのコンビニ袋を差し出すと、眼鏡を外した忍田はありがとうと言った。袋の中身は、ビールと、チー鱈などのつまみと、太刀川が好きなみたらし団子だ。それから、レジでくじを引いた時に当たった、メンソールのタバコが入っている。太刀川が時折タバコを吸うことに関しては、忍田はあまりいい顔をするわけではないが、別に小言をいうことはなかった。さらにそれで太刀川が遠慮することもなかった。居酒屋なんかで一緒に飲むときは、忍田の前でも太刀川は平気で吸う。
「忍田さん、吸ってもいい?」
「外でならな」
「雨降ってんだけど」
「濡れないから構わんだろ」
「まあそうだけど」

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