ジャンル:モアナと伝説の海 お題:彼が愛した境界 制限時間:1時間 読者:106 人 文字数:995字 お気に入り:0人

【タマモア?】からかい甲斐のある人間

水の中は空気よりも音がよく響き四方壁に囲まれたねぐらはまさに自然のコンサート会場。気分よく自慢話を歌に乗せ、人間より勝っている十脚で優雅に踊れば――。鋏脚で摘まんでいる人間が抗議しだす。喚き散らすほど元気なこの人間は中々驚かせてくれる。
こんな魔物の国にやってきたかと思えば俺の話を聞きたいという。それだけでこの人間をほんのちょぴっとだけ生かす価値があるってもんだ。今まで見てきた人間の中でも一番肝が据わっている。まあ内心怯えているのが隠しきれていないのはこの際目を瞑るにしてもだ。
久方ぶりの自慢話は実に気分がいい。人間の扱いはそれこそ何処までが限界で壊れちまうかなんか重々理解している。ギリギリの匙加減で貧弱な人間の体を弄ぶ時の苦痛に歪む顔が堪らない。もしうっかり壊してしまうもんならこの顔は一度見たっきりで終わっちまうからな。何度も何度も味わって十分満足したら腹の足しにすればいい話だ。
しかし、この人間の肉は柔らかそうだ。口の中に入れたらあっという間に溶けちまうんじゃないか?ん~、食欲をそそられる。
早く食っちまいたいという衝動とまだ話し続けたい欲求の間をゆらゆら。無意識に力が入り過ぎたらしく、柔い腹に鋏脚の先端が食い込んでいた。息苦しさから薄っすら涙目になっている人間が此方を健気に睨んでいる。
「おっと悪いな嬢ちゃん」
「……よく言うわ」
挟む力を緩めてにこやかに笑い誠意を見せたところでこの人間の警戒心が薄れることは無い。
未だ抵抗し続ける姿に嗜虐心が上機嫌で顔を覗かせる。わざと舌でぺろりとその柔く小さな顔を舐め上げれば面白いくらい悲鳴を上げ、先程まで強気だった面持ちが一気に被食者のものにすり替わった。
「おいおい?そんなにビビっちまってさっきまでの勢いは何処行った?」
完璧食べられてしまうんのだと心と体に刻み込まれた人間が必死になって鋏脚の先端にしがみ付き離れようとしない。駄目押しで水泡が弾けるようなキスを怯えて丸まった背中にしてみれば案の定小さな体が大きくビクついた。
と、思ったら俺にとってはひ弱な右ストーレートをかましてきやがった。まだまだ手を出すくらいには元気な人間に腹の底から笑いが込み上がる。全く以て驚かせられるこの、人間の、嬢ちゃんには。



「さて、こうなる事になるのを分かっていながら尚且つ此処に来た理由を話してもらおうか」

――モアナ。

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