ジャンル:イナズマイレブンGO お題:とびだせ嫉妬 制限時間:30分 読者:190 人 文字数:1597字 お気に入り:0人

一畳にも満たないジェラシー【京天】

「剣城!」

 名前を呼んで、そうしたら彼が力強く頷いて、力を纏ったボールがそらを舞う。せかいでいちばんかっこいいシュートを決めてくれる。それが雷門中サッカー部エースストライカーの剣城京介だった。わあっという歓声が観客席から上がって、逆転の数字といっしょに試合終了のコールが鳴る。
 練習試合だって真剣になるのは当たり前で、今までいろいろな試合を乗り越えてきた俺たちだけど先制点を取られるなんてことはしょっちゅうある。そうすると雷門中の勢いは炎みたいに燃え上がって、絶対逆転してやろうという熱でグラウンドをいっぱいにする。逆転勝ち越しシュートを決める寸前の剣城の顔がとっても好きだ。くすんだ黄色のひとみに映るゴールネットの穴と、絶対に決めてやるという意志。誰にも負けない力で何度も危機を救ってきた脚はきっと剣城の誇りなんだ。
 礼をして、歓声を浴びながらグラウンドから去る。境界線みたいなあの白い線を超えた瞬間に脚の力が抜けて、なんだか変に力を入れてたんだなって思った。


「まだ髪の毛に泡ついてるぞ」
「えっ、うそ」

 シャワールームから出てくると、すでにタオルで髪の毛を拭いていた剣城に指摘された。あいいろの癖っ毛が水を吸ってしな垂れている。肌に水滴が垂れてて、きっと俺のちょっと前に出てきたくらいなんだと思った。慌ててシャワールームに戻って流そうとすると、後ろから剣城も入ってきた。背が大きくて体格自体は太いとかじゃないはずなのに、男子中学生が二人も入ったらちいさい個室はいっぱいになった。お湯を浴びて高まっただけじゃない鼓動がする。

「なに、」
「……後頭部だからお前一人じゃわかんないと思って」

 嘘だ。冷静でいるようで、こちらをまっすぐじゃなくてちょっと視線が横を向いてるもの。わかっているのに断れずに「そっか、じゃあ流してよ」と剣城の手にシャワーのホースを押し付ける俺がいて、あーもう、なにしてんだろってぐるぐる頭の中が回っちゃうんだけど、だってそうしないと心の準備ができないし。
 お湯が拭きかけだった髪の毛を再び濡らしていく。俺の癖っ毛も水を吸うと犬の毛みたいになる。茶色だから、よりいっそう。頭に残った泡なんてすぐ落ちるはずなのに、後頭部の髪をかき回す手もシャワーの水音は止まらない。剣城の意図がわかるようでわからなくて、背中の数センチ後ろにある体温のことが気になって仕方なかった。

「ねえ、俺になんか用あるなら言ってよ」

 しびれを切らして後ろを振り向くと、当てられたままのシャワーのお湯がかかって吹き出した。いつもなら馬鹿って言われるはずなのにその声はやってこなくて、かわりに水浸しの床に高い音を立てて落ちるシャワーのそれと、目の前に近づいてきた剣城の顔。心臓の音がもう聞こえちゃう。今度はこっちが横を向きたいのにほっぺたを掴まれて固定されて、もうどうにも逃げ場もなかった。

「……今日、お前からあまりボール回ってこなかった」
「そ、れは……敵のマークが剣城中心で回しにくくて、ごめんね」
「そんなこと分かってる。ただ……ちょっと俺が、寂しかった」

 悪い、って後から言葉が付いてきて、そんなことを悶々と考えて、俺に嘘までついて二人きりになろうとした剣城がちょっと可愛くて「馬鹿だな」ってこっちから呟いた。普段の練習試合でそんなことあっても気にしてないと思うのに。あんなずかずか入ってきたのにしおらしいのが面白い。

「剣城、シットしたの」
「……うるさい」
「最近ごぶさただったもんね。ここでする?」

 からかうように言うと、噛み付くようなちゅーが降ってきた。シャワーの音が続くせいでごまかされたリップ音。気がついたら剣城はシャワールームのちいさい個室から出ていて、慌てて水を止めてついていけば「俺の家に来い」って早口で返された。







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