ジャンル:ユーリ!!! on ICE お題:素晴らしい夕飯 制限時間:15分 読者:307 人 文字数:1354字 お気に入り:0人
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休日、二人で夕食を。

「ねぇ勇利、これはなんだろうね」
「うん、なんだろう……」
 途方に暮れた僕たちの食卓には黒く焼け焦げた何かと、びちゃびちゃの茶色の液体に浸った何か。食材は確かに食べられるものを購入したはずだった。レシピ本通りに購入した。二人で確認しながら購入したのだから、どちらの責任でもない。調理も二人でおこなった。レシピを一応は見ながら。はじめにつまずいたのは勇利だった。野菜の切り方の名称がわからず、スマホで調べればよかったのに面倒になって適当に切り始めた。あれが良くなかった。ヴィクトルも調べるのが面倒だと笑い、調味料の分量を適当に計測し始めた。だって、mlだとか、ccだとか、あまつさえ少々や適量という、それを知りたいんじゃないかこっちは、と突っ込みたくなるような記載がしてあったのだ。料理初心者の二人にはハードルが高すぎた。そう気がついたときにはあとのまつりだった。
「どうする?」
「……食べようか」
「うん、食べられるものだけ使ったんだから、なんとかなるよね……」
「たぶん……」
 これまでデリバリーや外食ばかりだったけれど、たまの休みだから二人で料理でもしてみよう、と思いたったのは今朝のこと。いいアイディアだったと思う。仕事続きでなかなか会話をする時間も取れていなかったことに改めて気づけたし、二人で街を歩くのはとても新鮮で楽しかった。ヴィクトルと一緒に歩くとたくさんの人に声をかけられる。街の人は気さくにヴィクトルの名を呼び、ヴィクトルもそれに笑顔で答える。一緒にいる僕の名前も何度か呼んでもらって覚えたてのロシア語で返事をすると笑顔で握手を交わしてくれた。なんだか受け入れられた気がしてくすぐったくて嬉しかった。
 久しぶりの穏やかな時間のあと、僕たちは初めて一緒にキッチンに立って料理に挑んだわけだけれど、この結果だ。
「まあ、大丈夫、だよ、たぶん……」
 不安げに言う僕をじっとりと見つめたヴィクトルは、意を決したように黒焦げの何か(たぶん、肉だったと思う)を口に放り込んだ。どきどきして見つめていると、咀嚼したヴィクトルの瞳がきらりと輝きだした。
「フクースナーだよ! 勇利、すっごく、フクースナー!」
 嘘だ、と半信半疑どころじゃない疑いの中、どうにかこうにか口に運んでみる。はじめは焦げた炭をゴリゴリと噛み砕く。炭の味しかしない。しかし、次第に柔らかい肉らしい食感になっていくと、案外美味しいじゃないかと感心する。
「……おいしい」
「だろ? おれたち料理の才能もあるんじゃない?」
 いや、才能があったらたぶんこんな見た目にはならないよね。心の中だけで密かに反論しておく。だって目の前のヴィクトルがあんまりにも嬉しそうに笑うから。びちゃびちゃの煮物らしきものにも手を出してみると、意外と美味しい。口に入れる前の期待値が低いのが良いのかもしれない、と思った。笑いながら食事が進む。
「ねぇ勇利。また一緒にごはん作ろうよ」
「うん、いいね。僕も好き」
 一緒の食事はいつだってなんだって幸せなんだよね。そう思って返事をしたら、ヴィクトルはなんだか頬を染めていた。熱でもあるんじゃないの? って心配したら、勇利はニブチンだよねって笑われた。
 僕たちの休日はだいたいいつも、こんな感じです。

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