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駆け引きよりも強い手札

ユウリと大げんかをした。やっちゃったと思った時にはいつだって、言葉は口には戻らない。
俺たちって何度同じことを繰り返せばいいんだろうね。そう聞きたいくらいの彼はと言うと、ちょうど部屋からどすどす出てきて玄関の方に行くところのようだ。

「ユウリ?」

おれは慌てて窓の外を見る。そりゃさっきから変わってるわけもないさ。真っ白で見えないくらいの大吹雪。
あの男またユーリのところへ行こうとなんて魂胆だろうが、これではたどり着けやしないだろう。
早く玄関へ行って、絶対に外へ出さないようにしなくちゃ。ここへ来たばかりの頃はホワイトアウトを怖がってたユウリも、最近では無理やり外へ出るようになってきていた。そんなところまでこの街に慣れないで。
そう思って腰をあげたけど遅かった、バタン、と大きな音がして、神様が鳴らす笛みたいな風の音がする。

「ちょっとこの天気でどこいくつもり!」

駆け寄って腕を引き寄せた。ビクともしない。
必死で顔を外に向けているから見えないけど、きっと顔を真っ赤にして絶対に腕の中に転がり込むのだけは避けようとしてるのがわかる。
力を入れすぎて足がブルブル震えてた。

「……ユリオのとこ」
「今日は電車止まってるから」
「歩いて行くからいい」
「なおさら何考えてるの?」

しばらく黙ったかと思うと、ユウリはおれが引っ張っている力を利用してぐるんとこちらへ向き直った。
予想に反して、ユウリは静かな表情をしている。目もおれの胸元ではなく、目を見ていた。
そしてやがて口を開いた。

「止めてくれるってわかってたから、言った」

悪びれているわけでもなく、奢っているわけでもなく。

「当たり前だよ、ユウリが心配だもの」

ユウリは解けた表情をして言った。

「そうだよねあなた僕のこと、愛しているものね」

昔の彼には言えなかったことを。

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