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蓋をひらく ※未完

(あ、こいつだ)
タツヤが驚いた顔をした。そいつはジャグリングをやっていた。あそこで何かやっていると言ったのは俺だった。
タツヤは俺にその技を披露してくれない。俺もねだることはなかった。けれどタツヤはジャグリングが得意らしかった。
自慢じゃないが俺は結構昔から、ずっとタツヤと過ごしていた。その頃はジャグリングなんてやっていなかった。やっていたのはバスケとビリヤードくらい。だからタツヤがジャグリングを覚えたのは俺がタツヤと別れていた、たった一年と数ヶ月、だいたい二年くらいのはずだ。
その頃のことを、タツヤは話してくれない。だから俺も聞かない。タツヤが話さないことは、俺は何も知らなかった。けれどキーワードはあった。それは明らかになっていたから、俺も知っていた。
金髪の男は、ボーリングのピンみたいのを四つ放り投げながらその場で回転したり、足の下で投げたものを連続で受け取ったりしていた。金髪だけれども、焦げ茶色に色が近い。ヨーロッパとアジアか、どこかの血が混ざっているようだった。この国には人間内部の国境は非常に曖昧だった。何人であるか、より、そいつがどういう人間か、に重きが置かれる。俺がそいつについて知っている情報は、そいつの外見とジャグリングができるということと、タツヤがそいつを知っている、ということ。
だが俺は直感で、こいつがタツヤとジャグリングを引き合わせた人物だとわかったのだ。タツヤが信じられないような目で、懐かしそうな目でそいつを見ていた。それだけで十分だった。俺はタツヤが話さないことを聞くつもりはなかった。タツヤが話したいと思うときに話してくれればいい、と俺はその感情に蓋をした。俺の中にはそういう蓋がたくさんあった。俺は蓋を抱えて生きていた。
男がピンをすべて胸に抱きかかえ、観客に礼をする。タツヤは観客が静まり、解散しだした隙を狙った。俺もタツヤから離れず、それを追った。
タツヤは男の名を

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