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君にはまだ早い話

その人は雨の日によくうちの店に来る。
だから私はサラサラと雨粒の囁く声が聞こえ始めたら、レジ横の棚に手をかけるのだ。
あの人は本を買う時、いつもおまけのしおりを欲しがる。何色がいいですかと問えば、必ず淡い青の色を、指でめくって指すのだ。

今日も外は早朝から雨だった。いつもの1時間も前に目を覚ました私は、薄闇の中でそれを聞き、なんだか誰かを抱きしめたいような気持ちになったまま目を閉じていた。目覚ましが鳴るまでずっと。
思った通り、いつも通り夕方の5時ごろ彼は来た。
少し野暮ったいメガネに水滴をいくつかつけて、モノクロの傘を、注意深く畳むところももう何度見たことだろう。
こんなに几帳面で無口なジャパニーズ、一体何をしている人なのかしら。職人か、エンジニアか。あらゆるところを見つめて想像するけれど、声に出して問いかけて見たことはないのだ。私たちは会話がなくとも、本とお金をやり取りすることで、唯一の何かを積み上げているのだから。

しばらく本棚を眺めて、迷わず一冊を抜き取るのが視界の右端に見える。彼はいつも立ち読みをしない。そこらの野蛮なアジア人とは違う。
いつも、君と出会うためにここへ来たんだよ、と言うような顔をして、それを私に手渡す。
「おいくらですか?」
の言葉とともに。
「こちらよ」
レジに映された値段を指し示すと、コインが渡された。
その置き方も、ひどく仰々しくて優しい。こんな男、ロシア人ではまずいやしない。

その時、私はひとつのおかしなことに気がついた。
「ストール?春なのに」
そういうと、しばらく真顔で立ちすくんだまま、やがて彼はこう言った。
「犬に、噛まれたもので」

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