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趣味の一致 ※未完

こちらに来た時には寄らせてもらっています
義父は言った。妻の墓の前には彼の手によってつけられたであろう、線香が煙をあげていた。新しい白菊も添えられていた。
構いません
彼にはその権利があった。その場所に眠るのは彼の一人娘なのだから。
お互い、歳を取りましたな
そうですね
もう三十年ですか。あの子が亡くなってから
はい
三十年か、と思う。目の前の彼は、ならばもう八十を越えている。
征十郎にも会っていこうと思とります。元気そうですな、あの子は。時折、雑誌で見かけます
そうですか
ご覧になっていない?
業界が違いますから
なるほど
義父はよっこらせ、と立ち上がる。
そういうのは知恵ですね。良いと思います
正面から向かってこないとも言えますが
それをお望みかな?
わたしは特に
あの子もそうでしょうに
彼はふふ、と笑った。その癖は彼の娘にも引き継がれていた。
仕立て直したいと、征十郎から頼まれていたものがあって。昔、詩織に与えようとして、見事にすっぽかされた白の打掛です。
詩織に?
あなたとの結婚式に、それを着せようと思ておりました。それが詩織の奴は、白など着ないと言い出して、結局色内掛けだけという、親不孝なことをしていたんです
あれはあなたの趣味かと
違います。詩織が自分で選んでおります
そうでしたか

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