ジャンル:テニスの王子様 お題:潔白な宿命 制限時間:30分 読者:150 人 文字数:726字 お気に入り:0人

天使の宿命(謙→光)

俺の、宿命。

それは、汚い手を使わずに彼を護ることだけ__

けれども、俺は抱いてはいけない感情を、彼に抱いてしまった。


「謙也さん、おはようございます。」

いつものように、財前が部室に来る。

ここから、俺の毎日が始まる。

俺の宿命は、財前を護ること。

もちろん、彼にばれてはダメ。

汚い手を使ってもダメ。

彼にばれてしまったら、汚い手を使ってしまったら、消えないといけない。

彼を護ることのみを果たさねばならない。

俺の中に、自由等存在しない。

俺は彼のために天界から使わされた天使なのだから。

「……謙也さん?どないしたんですか。」

考え事をしていた俺の顔を、財前が心配そうに覗き込む。

「ん、ああ、何も無いで。はよ着替えよ?」

俺は何事もなかったかのように着替えを始める。

それを見て、財前も怪訝そうな顔をしながらも着替え始めた。

ちらり、と財前の方を向く。

白い肌に映える、黒々とした髪と瞳と長いまつげ。

思わず、見とれてしまう。

俺は、いつの間にか財前を好きになっていた。

抱いてはいけないのに。

財前がいるたびに、胸が苦しくなる。

でもそんなこと、言えるわけがない。

天使が人間に恋することは禁忌の罪であり、死罪に値する。

俺は、死にたい訳じゃない。

けれども、恋に落ちたものは仕方がない。

ずっと胸に秘めておくのも、限界がある。

「財前。」

小さな声で呟く。

彼の長いまつげが自分に向けられるだけで、頬が火照る。

誰にも言えない、禁忌の罪。

話すことも許されない、恋心。

俺は、これからも宿命を守り、彼を護り続ける。

伝わる訳がない、悲しい想いを胸に留めておきながら。

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