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手帖

 イザムはちょうどいい石に腰かけて、古ぼけた他人の手帳をめくっていた。頼まれた探し人が残していったと思しき記録である。
 イザムがなにかを読みふけっているのは。いつもなら表紙を一瞥するくらいで、書物など読んでいたところは見たことがなかった。
 まさか文字が読めるとは思ってもみなかった、などというのはさすがに冗談ではあるが。とにかく、貴重な書物でも平気でべりべり破いて、火付けにでもするような感じなのだ。だから、読みふけっていること自体かなり珍しい。それも、無名の人物が描いたような手帳を読みふけっているのは、いささかに信じがたい。
「どうした、宝の地図でも書いてあるのか」
「ああうん」
 間違いなく、宝の地図ではない。その返事があまりにもあまりな生返事だったものだから、随行者は、その手帳がよほど面白いのだろうと思った。
「何が書いてあるんだ」
「おとぎ話だよ。カジートの少年が……」
 具体的に話をしようとして、イザムは途中で口をつぐんだ。もったいなく思ったのだろう。
「構想っていう感じなのかな。まだ荒っぽいけど、推敲したら読みやすくなるのかな? 一般ウケはしないんだろうけど、好きだよ」
 文字を知らないのかもしれないと思っていた青年に、そんな一家言があるとは知らなかった。星霜の書であろうと裏紙に使うのではないかと危惧されるほどである。読み終わった手帳を(それだけ熱心に読んでいたというのに)ぽいと捨てたものを、拾って読んでみるなどする。たしかに、とりたてて技巧の凝った文章ではなかった。救いようもないくらいに暗い話だが、なぜだか引き込まれる。文字は読みやすく、教養のある文字で、高い知性がうかがえた。

***

 手がかりを追いかけて、3日ほどが経った。しばらく遺跡を進むと、運悪く罠にかかって倒れている男を見つけた。助かる見込みもないほどだった。イザムはがっかりしたように一冊の手帳を取り出した。例の革表紙の手帳だった。手帳は途中で終わっていた。
「この作家が死んだおかげで、登場人物が殺されずに済んだわけだから」
 イザムは中途半端な最後の”遺書”をめくりたいようにへりをぺらぺらと何度かやったが、下唇を噛んで焚火に放りこんでしまった。随行者がちょっと読ませてくれよ、というすきもなかった。

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