ジャンル:Fate/Grand Order お題:反逆のぬめぬめ 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:969字 お気に入り:0人

泥仕合 (ぐだ子×マシュ)


 思えば戦う場所を考えればよかったのだ。身体中にまとまりつく泥を振り払いながら、思う。
 狼みたいな敵を吹き飛ばしたところまではよかった。湿地帯だということも考えておくべきだったが、しかし。あんなにきれいにすてんとすっ転ぶものだろうか。それも、また漫画みたいに、その先の沼の中に落ちるなんて誰が想うだろう。
 そもそもどうしてこう、足場の悪いところで戦おうと思ったのだろう。とっさの判断だったと言え、もう少しやりようがあったのではないだろうか。底なし沼じゃないことが唯一の救いだった。
 それに、ちらりと上から見下ろし吹き出している先輩を見る。
 そんなに、そんなに笑うことないじゃないですか。
 自業自得といえ、なんだか解せない。
 と、ふいに私の中に悪いひらめきが浮かぶ。にんまりしそうになるのを押さえながら、先輩に呼びかける。

「すみません、先輩。盾が少しぬかるみにはまったみたいで……一緒に引っ張り上げてもらっていいでしょうか?」
「いいよ、まずはこれで泥ぬぐって?」

 投げられたタオルを受け取り、お言葉に甘えて、顔と腕についた泥を落とす。先輩は何の疑いもなく、私に向けて手を差し出してくれる。
 ちょっぴり罪悪感が頭をよぎるものの、でも、やっぱり笑われたのは傷ついたので良しとする。
 勢いよくその手を引き、先輩をこちらの世界にお招きした。

「ちょ、うわ、ぶっ!?」

 思った通りというか、先輩は体勢を崩しそのまま泥の中に頭から突っ込んでいった。頭から行くとは、ちょっと予想ができなかった。
 ……あー、さすがにやりすぎたかもしれない。
 真っ白な服が反転したように真っ黒になっている。もしかしたら、白に戻らないかも。
 泥からゆっくりと起き上り黙っている先輩に恐る恐る、声をかける。

「あ、あのー、先輩?」
「ふ、ふふふ、やってくれたねぇ、マシュ?」
「ごめんなさいちょっと出来心で、というか、先輩だって私の事散々笑ってたじゃないですか!」
「だからってこれはひどい、これはひどいよ! えいっ」
「わぶっ!?」

 泥団子を投げつけられた。それも顔面に。
 そこから火がついた私たちは飽きるまで泥合戦を続け、やってきたナイチンゲールさんにこっぴどく怒られ、これでもかというくらい消毒、殺菌をされるのであった。
 

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:隠された遭難 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:813字 お気に入り:0人
男を抱きしめた。体温らしきものは、あるようだ、あるらしい、恐らく多分。息を切らせているせいで、これが自分のものなのか相手のものなのか明確に境界線があるにもかか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:死にかけの百合 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:210字 お気に入り:0人
その百合は、花びらが既に落ちかけていました。幾枚かあったはずの花びらは、既に一枚を残し全て落ち去っています。 あの一枚が落ちれば、百合はもはや百合ではなくなり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:胡散気な夏 ジャンル:Fate/Grand Order お題:消えた小説修行 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:518字 お気に入り:1人
名筆と名高い作家とてその才を自覚し傲慢に怠れば筆も衰えようと言うもの。何より歪な球体の組織体が詰まった頭の中から創世の神秘が枯渇してしまえばそれは作家にとって 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:胡散気な夏 ジャンル:Fate/Grand Order お題:緩やかな彼方 制限時間:15分 読者:113 人 文字数:335字 お気に入り:0人
陽が沈む夢みたいに柔らかい赤を見つめる仕草は、こうもただの人間なのに。人工灯の似合う楽園は眠ったまま夜になろうとしている。 亜種特異点と言えば最早耳に馴染む。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ささ@絵垢 ジャンル:Fate/Grand Order お題:秋の能力者 制限時間:15分 読者:159 人 文字数:380字 お気に入り:0人
響く鐘の音。茜色の空。端の方から薄紫が広がっている。 時計はまだ夕方。秋の夜長。夏を過ぎて、本日も少し早めに日が暮れる。「……あ、今5時か」 軽快な音色に紛れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:男同士のラーメン 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:473字 お気に入り:0人
「腹が減ったと言ったな」確かに言った。キッチンに隠してあったチキンラーメンは今や故郷の味。思い出すのは夜中の背徳感。夜食とは何故かくもそそるのか。「食べる」「お 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:うみねこ。 ジャンル:Fate/Grand Order お題:わたしの好きな話 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:672字 お気に入り:0人
いつだったか。もうずいぶんと昔に戯れに漁ったデータの中に見つけた話。 とてもありふれた、一人の少女が運命の恋に落ちて、いろいろな困難にぶつかりながらも最終的に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:うみねこ。 ジャンル:Fate/Grand Order お題:これはペンですか?違うわ、それは神話 制限時間:15分 読者:106 人 文字数:785字 お気に入り:0人
部屋を訪ねると、マシュは机に頬杖をついて何かを眺めていた。時折嬉しそうな笑いがこぼれている。 いったい何を見ているのだろうか。とても気になる。 マシュに気づか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:ラストは決別 制限時間:15分 読者:175 人 文字数:808字 お気に入り:0人
「先輩、これだけは譲れません」 マシュの真剣みの帯びた瞳が私を見つめている。いつもなら折れてくれるマシュが貴方のためにならないというように頑として首を縦に振って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ささ@絵垢 ジャンル:Fate/Grand Order お題:光の銀行 制限時間:15分 読者:170 人 文字数:776字 お気に入り:0人
※J&H(腐)、ある日のカルデアでの出来事。「善行は、貯金のようなものだよ」 カルデアに来てからも、度々思い出す言葉。善行は、後で自分を助けてくれるから。救った 〈続きを読む〉

うみねこ。の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:うみねこ。 ジャンル:Fate/Grand Order お題:反逆のぬめぬめ 制限時間:15分 読者:125 人 文字数:969字 お気に入り:0人
思えば戦う場所を考えればよかったのだ。身体中にまとまりつく泥を振り払いながら、思う。 狼みたいな敵を吹き飛ばしたところまではよかった。湿地帯だということも考え 〈続きを読む〉