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流れる未来の少し前※太刀迅





ーー嘘をつくなとお前は言うが、嘘をつきたい気分なんだ。

「悪いな、迅」
得意のサイドエフェクトで何を見たのか。迅の顔はひどく歪んで見えて、何だか無性に触れたくなったが、そんな暇はない。

「太刀川さん」
背を向けると名前を呼ばれる。そのまま聞くが迅は名前を何度も繰り返すだけだ。

「……迅」
覚悟が必要というのなら、それは迅の方だ。
俺はこの先を知らない。迅は知っている。
おそらく迅が知らなければ、迅が自分を見送る状況にはならなかっただろう、と思う。

推測でしかないけれど、迅の視ている世界の俺の状況は厄介そうだ。
迅にとっての悪い未来が確定しているようでつまりそれはこの先ーー。

「……覆してやるから」

「……」

「だから大丈夫だ、迅」

「……くせに」

痛いくせに。


「立っているのだって辛いだろ……!痛くないなんて嘘ついてもその格好で……血まみれで!行かないで、行かないでよ太刀川さん!」

「……珍しいな、迅」
こんな風に迅が声を荒げるなんて、いつ以来だろうか。

「あんた……ちゃんと、聞け!」

「聞いてるだろ?」

「違う!太刀川さん、このままじゃ……」

「馬鹿だなぁ、迅」
今この状況で動けるのは俺しかいないんだろ?

「っ……!」

「だったら素直に任せろ。お前の守りたいもの守ってやるから」
迅が抱え込んでいるのは三門の未来だ。平穏な未来。三門に住むひとりひとりの命を、どうしつか迅は背負っている。

「俺に賭けろ、迅」
いつも通り、笑って見せた。
負ける気はしなかったから。






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