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この世は地獄の形をしている【京優】

 この世は地獄の形をしている。それはどうやったってきっと変えられないことで、こんな自分が考えていることだから、変化することがないという話なのだけど。

 寝不足で虚ろな目で兄さんの寝転がるベッドを見た。兄さんがこの病室に閉じ込められて、俺が閉じ込めて何年になるんだろう。数えるだけ自責と当てる場所のない苛立ちに駆られるからやめてしまって、記憶を奥の奥の奥へ封じ込めている。焦燥した気持ちをサッカーボールに込めて蹴り出したのは、化身を出す特訓をフィフスセクターで取り組み始めてからだ。
 サッカーの技術をあげて、化身を長く出す特訓をして、そうして俺は兄さんを助けださなきゃならない。自分がどれくらい堕ちてしまおうと、兄さんが幸せになればそれでいい。だって兄さんは光のある場所にいるべきなんだ。ここは狭くて薄暗くて、太陽の光はいつだって窓とカーテンに阻まれている。病室を出て中庭に行ったって、ボールひとつ蹴れなくなってしまった兄さんを見るたびに陥る自己嫌悪と、「もうあのことは気にしなくていい、そう言っているだろ」と笑う顔が追い詰める。こちらのことをなんにも責めないで、それが逆に永遠に忘れるなよと言われている気がした。そうだったらいいのに。誰が見たってこちらが悪いのに、どうしてそこまで乗り切れるんだ。兄さんがいなければ、俺はこうして今も歩いていることも生きていることもなかったかもしれない。でも、その代わりに兄さんは人生を半分くらい殺している。

「何考えてるんだ、京介」
「なんでもないよ、兄さん」
「ドアの前で突っ立ってないでこっちこいよ。練習で疲れてるだろ」

 しろい手に手招きされて、無機質な丸椅子に腰掛けた。激しい特訓のあと走るように病院に来たけど、日々の練習もあってそれくらいで息切れはしない。これくらいで疲れていたら、シードにはなれないからだ。兄さんは俺の纏うグレーのジャージを見て、「筋肉もついて男っぽくなったよなあ」と上から俺の腕を触る。腕まくりしてやると、指がつうう、と毛の並びと逆の方向になぞられた。

「手首はまだ細いな」
「まだ、小6だから……」
「こんな大きい小学生もそうそういないだろ。あのときの俺より大きいんじゃないか」

 あのとき12歳だった兄さん。12歳だった兄さんを俺が殺してしまって、7歳の俺はそのまま12歳までそのまま生きている。そういう風に考えてしまう。今の兄さんは生まれ変わって18歳になっているんじゃないかという感覚。あのときから性格もなにも変わってないけど、だってあまりにも綺麗すぎるじゃないか。
 兄さんが唐突に、俺の肘を触った。静電気に当たったくらいの痛みが走る。練習中に擦ったのか。白い指に血がついている。慌ててハンカチを出して拭おうとしたのに、兄さんはその指を口元に持っていき、舌で舐め上げた。溶けた夕日のような血色のいい舌だった。

「汚いよ」
「ちょっと、惹かれちゃってな」
「は、?」

 病室のライトが入り込んだ兄さんの瞳とぶつかる。俺の肩を掴むと、陶器の顔がぐっと近づいてくる。拒否なんてできない。舌がかさかさの俺の唇を舐めて、そうして入り込んだ。錆びた鉄の味が染み込んでいく。固まったまま受け止めるしかなくて、離されるまで我慢していた。

「やっぱり。京介の血は美味しいと思ってたんだ。どうだ」
「……まずいよ、兄さん」
「それは味のことか、それともこうして俺とキスすることか」

 どっちもだとすぐに言えたらいいのに。兄さんの口元に悪魔の笑みが浮かんでいた。こんなのはおかしい。俺の血が、悪魔の血が兄さんを誘惑してしまったのかもしれない。椅子に座ったまま、どうすることもできなかった。









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