ジャンル:咲-Saki- お題:愛、それは花 制限時間:30分 読者:162 人 文字数:454字 お気に入り:0人

紫陽花


紫陽花が咲いている。

地元大阪のプロチームに入ってから一年と少し、もうすぐ梅雨が明けようかという時期に、うちこと愛宕洋榎は気づいた。


プロとして試合を行う会場。
そこから自宅への帰り道に紫陽花が咲いているのだ。

うちは立ち止まる。

身を寄せ合うように咲いている紫と薄い青の混じった花を見ていると、ふとあいつのことを思い出した。


恭子のことを。


恭子は高校卒業後、大阪から離れ東京の大学に進学した。
今は麻雀の指導者を目指し勉強中らしいが、卒業してからはまだ一度も遭っていない。


ちゃんと飯食っとるんやろか。
友達とかできたんやろか。
メゲてへんかな。


まるで母親のような心配をしていると、雨が降ってきたことに気が付いた。


強い雨ではない。

けれど降ってくる雨粒は確かに紫陽花の花びらを叩き、揺らした。


しかしだからと言って紫陽花がしおれることはない。

むしろ水を得て生き生きと輝いているようにさえみえる。


私は大丈夫です。


聞きなれた声が聞こえた気がした。

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