ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:正しいボーイズ 制限時間:15分 読者:130 人 文字数:1022字 お気に入り:0人

天使を追う者

がむしゃらになることができたならば、まだよかったのかもしれない。出会ったのが人生で初だった。そこから始めなくてはならなかった。誰でもない自分の人生。誰もかかわることができない、彼と、自分との関係。誰も手助けすることはできない。すべてを自分の頭で考え、答えを見つけ出さなくてはならなかった。しかし、自分が持っているのは、これまで大人たちが描いてきた物語、大人たちが知っている物語、自分で作り出せたものなど、何一つなかった。この世に生まれてたった十四年。何ができよう。善悪すら、まだ誰かからの借り物なのだ。
答えは分からぬまま、僕たちは感情に流された。あるいは、それを選ぶことしかできなかった。彼は自分の意志で離れ、僕は自分の意思でその場から立ち去った。それは答えではなかった。逃げだった。逃げることしかできなかった。自分で見つけられるものなど、何もなかった。
僕は考えた。すべてから離れて、静かな場所にいた。自分が思い描いていた時より、そこはずっと静かで、時間を忘れて考えていた。思考の底まで沈みこんだように静かな世界で、僕は過去の記憶を繰り返していた。どこで間違えたか。どこを正せばよかったのか。自分には何が足りなかったのか。自分に何ができたか。過去は沈んでいく。冷えた鉄のように確固とした形のまま、そこにあった。押したところで、形は変わらない。その形を何度もなぞるようなことをしていた。――何も、変わらないのに。
しかし、それは必要だったのだろう。なぞってもなぞっても、形は変わらない。変わることを願っても無駄だった。どうして変わると思ったのだろう、と今なら思う。あれは確認だったのだろうか。そこから離れるための、儀式だったのか。
ある朝、僕は目覚めた。部屋の天井は変わらなかった。何も変わらない、ここにいては何も変わりはしない。僕はそんな単純な事実を思った。そして自覚した。
ここにいては駄目だ
願いはここにいて、こうして思考の淵に沈んでいて、かなうものではない。僕は進まなければならない。彼らは翔けていく。羽の生えた天使のように、あっという間に見えなくなってしまう。それでも僕は彼らを追わなくてならない。僕の夢は彼らだった。彼らが僕に振り向くこと、僕に気づくことだ。僕は彼らに伝えたいことがある。伝えなくてはならない。僕は、僕の天使を捕まえなくてはならなかった。その美しさを伝えるために、そんな顔ではなく、天使には美しい微笑があることを。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:おうか ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:空前絶後の哀れみ 制限時間:15分 読者:492 人 文字数:858字 お気に入り:0人
自分の怒りに目を向けていた。その原因も分かっていた。しかし口をついて出たのは、彼の無自覚さを非難する言葉だった。いい加減にしてくださいその言葉を制御する理性がな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:ダイナミックな道のり 制限時間:15分 読者:552 人 文字数:1065字 お気に入り:0人
人には持って産まれたものがあるというならば、それは自分の歩幅だけなのだろう。彼らのように一足飛びにそこまでたどり着くことはできない。それでも、と黒子は思う。それ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:くさい海辺 制限時間:15分 読者:512 人 文字数:810字 お気に入り:0人
蜘蛛の子を散らすように、園児たちは走り出す。同僚がうわあ、と声を上げ、黒子は一番先頭を走っている子どもに追いつこうと砂浜を蹴った。四方八方に散らばるけれど、一人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:苦し紛れの小説家 制限時間:15分 読者:450 人 文字数:866字 お気に入り:0人
ネタが尽きると身近な人間の話になるのはお笑いだけではない。新人作家として華々しくデビューできなくとも締め切りはやってくる。ただでさえ目立たないデビュー、アングラ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら ジャンル:黒子のバスケ 黒子 お題:ゆるふわ愛され信仰 制限時間:30分 読者:610 人 文字数:1119字 お気に入り:0人
わかりやすいものに真実は含まれていない。本を読み過ぎたせいだろうか。僕は物事を色んな風にひっくり返して見るようになった。正面から受け取りはする。でも、すぐに僕の 〈続きを読む〉

かみむら@1月の原稿中の即興 二次小説


ユーザーアイコン
柔軟の必要性 ※未完
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:幸福な秀才 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:671字 お気に入り:0人
彼女の特性なのだろう。じゃあな、と微笑まれれば、うん、と頷いてしまう。この土地を離れる不安、日本に戻る不安、それは漠然とした不安だった。目の前ではなく、もっと先 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:不本意な殺し屋 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:709字 お気に入り:0人
麦茶入りましたー縁側から庭に向かってそう言えば、松の木の下にいた赤司が立ち上がって首から掛けているタオルで汗を拭っていた。麦藁帽子にゴム長靴という典型的な農夫ス 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:真実の保険 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:798字 お気に入り:0人
顔を合わせにくかったのか、歯をぐっとかみ締めているのが遠目でもわかった。油断すると逃げ出すのかもしれない。逃げ出さずに入る為に、歯を食いしばって耐えているのだろ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ モブ お題:つらい殺人 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:696字 お気に入り:0人
浮かれているのは自分より父親だった。それこそ鼻息を荒くして、ああだこうだと、何かに付けて騒いでいた。さすが江戸時代から続く呉服屋、結納の品がすばらしい、茶道も日 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:出来損ないのラーメン 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:712字 お気に入り:0人
面白いネタから面白くないネタまで、玉石混交で送られてくるSNSのメッセージだった。まめにチェックはしない。一日の終わりに、たまに長めの休憩がとれた時に、新着マー 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ パラレル お題:傷だらけの耳 制限時間:15分 読者:29 人 文字数:713字 お気に入り:0人
手ぬぐいを押し当てられた。いっ……ごめん。でも、けがで、血が……誰のせいだ、と言ってやりたかった。これはお前がつけた傷。お前がこの三日間のうちのどこかで付けた傷 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
島貴族にて2 ※未完
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ パラレル お題:打算的な運命 制限時間:15分 読者:41 人 文字数:838字 お気に入り:0人
彼は辺りを見回しながら、案内された席まで進んだ。慣れてないんだろうな彼を誘ったのは勢いだ。実は冗談でもあった。目の前にあった島貴族。もう入ろうとしていたのだ。そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:許せない極刑 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:628字 お気に入り:0人
会場は第二会議室目が合った男は、それを聞いて首をかしげた。健康診断でない?男はわずかに微笑んで首を振った。いや、俺は協力会社の人間だからそれは失礼ある程度の企業 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
まつがねの ※未完
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ お題:汚れた境界 制限時間:15分 読者:47 人 文字数:723字 お気に入り:0人
だーいちゃん、と後ろから声を掛けられた。屋上への階段を登り終えて、ちょうど扉を開くところ、そこでスマホが震えたので足を止めた。声を掛けられたからではなく、スマホ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かみむら@1月の原稿中 ジャンル:黒子のバスケ 黛葉 お題:すごいうどん 制限時間:15分 読者:49 人 文字数:772字 お気に入り:0人
お代わり、と五回目の声が聞こえた。わんこ蕎麦じゃないんだからそう言ったのは実渕だった。蕎麦って腹にたまんねーな!そう言って根武谷はガハハと笑った。(こいつ、蕎麦 〈続きを読む〉