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霊律 霊幻視点 ※未完

「例えば授業のカリキュラム……学習指導要領だっけか? あの辺ってのはさ、それぞれちゃんと意味があって定められているものなんだよ。順を追って習っていくのが大事だとか、こどもの身体機能に合わせて設定してるとかそんなとこ。ほら、足し算が理解できてから初めて掛け算が理解できるようになるし。掛け算が理解できた後じゃないと割り算は分かんないだろ? 足し算引き算の後に掛け算飛ばして円周率を求めよーとか言われたって、そもそもの公式が理解できない。学習するには早すぎんだよ。だからな、そうやって物事には順番があるし、順番が定められるには意味がある。分かるか?」
「ええ、その例えは理解できます。それで?」
「あーだからな。人間関係にも順序ってやつが……」
「それとこれとは関係ないでしょう」
 平日の夕方、帰宅する子供や家路を急ぐサラリーマンのざわめきが遠く響く中で俺は弟子の弟に押し倒されていた。霊とか相談所の床で。
「ていうか、モブは」
「兄さんは部活の皆さんとご飯に行くそうです」
「へえー。芹沢は」
「下ですれ違いましたが、今日は学校の皆さんと勉強会だそうですよ」
「成る程な。それで、律くんは」
「あなたに、告白しようと思いまして」
「そーかそーか。え、なにそれ」
「僕は霊幻さんのことが好きです」
 一回り以上年下の子供に、しかも男に告白されるなんて想像もしていなかった。馬乗りにされた状態でというのも想定外である。
「いや、嫌われてるだろうなとは思ってたけど、え? マジで?」
「本気ですよ。僕、冗談とか嫌いですし。何のためにあなたの上に乗ってると思ってるんですか」
「いやそこは……首でも絞められるのかと」
「……お望みなら、そうしますけど?」
「いやいやいや望んでない。断じてそんな願望も性癖も無い」
「そうですか」
 律が溜め息を吐いた。下から見上げる影山律という景色もなかなかに珍しいが、そもそもこうして至近距離でこの顔を見ること自体が滅多に無い。伏せると案外長い睫毛だとか、西日に照らされる整った顔立ちはちょっとした芸術品のようである。
「あなたがノーマルな趣味で良かったです。さすがに、そこまでは勉強してないので」
「は?」
 俺の疑問を無視して、律は顔を近づけてきた。小さく音を立てて唇が触れる。
「霊幻さん、好きです。大好きなんです。だから、霊幻さんを僕にください」
「…………俺はモノじゃないんだけどなあ」
「知ってます。だから、今日だけでいいんです。明日にはいつも通りに戻りますから」
「だからさあ、律くん」
 俺は溜息を吐いた。抱き着くように俺の胸元へと顔を伏せた律の表情は見えない。
「順番が違うんだよ」
「……ごめんなさい」
「謝ってほしいんじゃなくてさ。告白したんなら、返事を訊くのが先なんじゃねえの?」
「返事なんて……どうせ、断るつもりのくせに」
「勝手に決めんなよ」
 のしかかる律の背中を撫でた。多少の重みは感じるものの、想像よりもずっと軽く小さい。中学生はこんなにも華奢なものだったか。
「俺も律くんのことずっと好きだったんだって言ったら信じるか?」
「いえ信じられないです」
「お前な……」
「でも、信じてみたいです」
 伏せていた顔を上げて律は笑った。泣き笑いのような

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