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春の霊律 ※未完

 告白は僕からだった。兄さんの高校進学と同時に想いを伝えたところ、意外にもあっさり了承の返事をされ、僕らは晴れてお付き合いし始める事となったのだ。
 中学生と高校生では生活に違いがあるし、多分兄さんは相談所でのバイトも頻度が減ってしまうだろう。兄さんを通じてしかつながりのない僕は、多分今後会う事すらなく記憶の彼方へと追いやられてしまうのだ。そう考えると居ても立っても居られなくて、いきなり乗り込んだ霊とか相談所。ひとりパソコンに向き合っていた霊幻さんは、僕の言葉に顔を上げて「そうか」と一言口にするとまたモニターに向き合った。
 これはきっとダメだったんだろう。でも、拒絶されないだけマシだった。そんな風にぐるぐると考え続ける僕に霊幻さんは言ったのだ。
「じゃあ付き合う?」
 あの言葉で、僕の世界は色付いたのだった。終わりの始まりであることも知っていたけれど、単純な僕はそれだけでどこまでも舞い上がってしまったのである。

* * *

「いやぁ月日が経つのは早いもんだな。律くんも、もう卒業か」
「そうですね」
「高校って確か滅茶苦茶偏差値高いとこだろ? すごいなぁ律くんは」
「……そうですね」
 付き合い始めて丁度1年目だった。所謂記念日というものに該当するのかもしれないが、僕らの間にそんな甘いものはない。
「律くん大きくなったもんなあ。俺も歳をとるわけだ」
「霊幻さんはあまり変わらないですけどね。出会った時から年とってましたし」
「いやいやいやそんなことないぞ」
 成長期である僕はこの1年で背が伸びて体つきもがっしりとしてきた。華奢で小さなこどもだった僕はもうここにいない。これからも、僕の背はもっと伸びていくのだろう。
「霊幻さんってこども好きですよね」
「なんだよ突然。まあ嫌いではないかな」
 いつか読んだ小説に、愛する人から変わらぬ愛を受け取りたいが為に成長抑止効果のあるドラッグを摂取し続ける女の子がいた。ドラッグの影響で少しずつ身体が壊れていくが、それでもやめられないようだ。幼いままの自分を好きな人から変わらず愛されるためには、成長するわけにはいかない。愛されないのなら死んでいるも同然だから、せめて死ぬまで愛されるために成長しないまま壊れていく道を選んだ。ただそれだけの話である。なんとも後味の悪い話だが、それでも僕はその話が頭から離れなかった。
「僕はこどもって苦手なんです」
「ちょっと前までお前自身がこどもだったくせに」
「そうですね。だからなんだと思います」
 きっと僕は羨ましかったのだ。大人の男へと成長していく僕と比べて、こどもの身体のまま死んでいける彼女のことが。そんな便利なアイテムのないこの世界で生きる僕と違い、愛されるための選択肢を選び取ることのできる彼女が、心の底から羨ましくてたまらなかった。
「今日、僕らが付き合い始めてから1年だって知ってましたか?」
「あーもうそんなに経つのか。早いな」
「結構あっという間でしたね」
 春の陽気はこの室内にも優しく降り注ぐ。だからこそどこか寒く感じるのは、僕の心の問題なのだろう。
「今まで、ありがとうございました。僕に、付き合ってくれて」
「は?」
 子供が好きで、意外と優しいこの人のことが僕は本当に好きだった。告白に対して真摯に向き合い、付き合ってくれたことも嬉しかった。たとえ、本心で僕の事を愛していなかったとしても。
「別れましょう。霊幻さん」
「え、なんで」

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