ジャンル:封神演義 お題:人妻の夕飯 制限時間:30分 読者:38 人 文字数:994字 お気に入り:0人
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人妻の夕飯

 小振りの鍋がカタカタと蓋を慣らして頃合いだと告げる。
 洗い物の手を止めてそれに応えると、中の大根はもう透き通っているから少し水を足してまた火にかける。
 味噌を出して、ちょうど炊き上がった白米を混ぜ返し、再び煮立った鍋に味噌を落とす。今日は暑かったから、気持ち濃い目にしておこうかと味噌を溶かした所で玄関の開く音がした。
「おかえり、楊戩」
「ただいま戻りました」
 疲れているであろうにそんな素振りを見せないのは生来のものでもあるが、同時に自分に心配をかけまいとしているもの理由の一つ。
 一日経っても意地でも崩れない髪を優しく撫でて頬に一つ口付ける。
「夕飯も出来ておるし風呂も沸いておるが、どうする?」
「……他にはないんですか?」
「他、とは?」
「ご飯にお風呂と来たらもう一つ、あるでしょう?」
 途端声色が艶やかに変わり、ゾクリと背中を駆け抜ける。
 頭の後ろが一気にチリチリとして、耳まで赤くなるのが分かる。
「僕はそちらをいただきたいのですが」
「っぬし、腹は減っておらぬのか?」
「減ってます。今すぐ食べたいくらいに」
 腰を引き寄せられて、耳元で囁かれてしまえば、たちまち体の力が抜けて胸元に収まってしまう。
 それでもこのまま相手のペースに飲まれてしまうのは癪だし、折角作った夕飯が冷めるのも本意では無いので抵抗を試みてみた。
「ならさっさと着替えてこんか!飯が冷める!」
「師叔の方も食べ頃では?」
「なっ、ん、ぅ」
 抗議の声は簡単に封じられて、押し返そうとした舌も簡単に絡め取らてしまう。
 至近距離で濡れるすみれ色に強請られれば撥ね付けるのは難しい。最初から分かっているのに。
「美味しそうですね」
 ちゅう、と音を立てて名残惜しそうに舌を吸われる。
 けれどもいつも同時にまさぐってくる掌は今日は腰を支えるだけで、なし崩しになると思っていた行為は、信じられないくらいあっさりと終わりを告げてしまった。
 望んでいたようないなかったような展開に力なく寄りかかりながらもぽかんとしていると、額にも口付けが降りできた。
「キス、夕飯の味がしました」
「……あ」
「そしたら急にお腹が空いてしまって」
 着替えてきます、と離れた体温を追うことも出来ず、ただただエプロンの裾を握って立ち尽くすしか無かった。
「腹が減っておるのはおぬしだけではないとゆーに」
 

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