ジャンル:ポケットモンスターBW お題:幼い地獄 制限時間:30分 読者:77 人 文字数:1134字 お気に入り:0人

【ゲー主♀】一緒に踊りませんか

きらびやかで着慣れないドレス。ふわりと広がる裾に施される細やかな刺繍。そちら関係に詳しくなくとも豪奢だとありあり分かる代物に壁の花化していたトウコの口から溜息一つ。
見渡す限りの人、人、人。聞こえる会話の端端から伝わる居心地の悪い空気に思わずゲンナリ。所謂社交界という場に鳴れている組は何ら臆することなく浮くこともなくすっかり馴染んでいた。
遠目から見る緑髪親子なぞさも慣れ過ぎて余裕です雰囲気が漂う。
「はぁ。すごいねえ」
会場内を巡回するスタッフの盆から一杯くすねた飲み物をちびり舐めた。
舌先に広がる味にトウコの目が瞠る。
「おいしい」
細長いグラスに注がれた琥珀色の飲み物。炭酸の泡をシュワシュワさせ葡萄の甘みと酸味のが程よい割合で舌の上に転がる。爽やかな喉腰に気付けば次のグラスに手を伸ばしていた。



――……、
 ――・・・――、



ざわついていた会場内に響き渡るアナウンス。これから始まるイベントに談笑に浸っていた人々は会場の中心から離れるように場所を空け、代わりにペアで手を繋いだ男女が空いたスペースに疎らであるが歩み出てきた。
男が女を誘い、また女が男を誘う様は一つのドラマでも起きそうだ。大体参加者が揃ったと見るや会場の一角で生演奏を指揮していた指揮者が指揮棒をなめらかに振るう刹那。

会場の一部から声が上がる。それは小さく驚いたものが大半で特に人混みからでも頭一つ以上飛び出ている大男の制止の声がやたら響き渡っていた。人混みをかき分け開けた空間に躍り出る二つの影。少女に引かれ半ば蹈鞴を踏む大男は未だに少女に対して説得を試みているようだが健康的な肌をさらに朱色に染め上げた少女――トウコは普段より幼さを増した満面な笑みでその申し出を叩き落とした。
潤みを帯びた瞳と言動をやっと落ち着いて観察できた大男は瞬時にこの少女は酒に酔っているのに気づき額を手で覆い俯く。
「貴女、一体何杯飲んだのです…?」
「1、2、3……たくさん!」
「……話になりません」
深い深いゲーチスの溜息を物ともせずトウコは彼の腕をぐいぐい引っ張りダンスに誘う。
未成年にも関わらず酒を飲むなどと。云々ぼやくのを胸中でとどめ致し方ないといった素振り全開ゲーチスは引っ張っていたトウコの腕を自身の腕に添えるように誘導した。
「こういうのは男がリード、エスコートするものです」
「ゲーチスって踊れるの~?」
「少なくとも貴女が想像しているものよりかはマシに踊れますとも」
「そうなんだ~へェ~」
最後の参加者が揃ったと察した指揮者の指揮棒が今度こそ振るわれた。





「こんなつまんないが犇めき合う一部になるなんてイヤ。なら少しでも楽しく踊ろなきゃ」
「そうですね」

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