ジャンル:遊戯王ZEXAL お題:アブノーマルな仕事 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:1941字 お気に入り:0人

【警遊(ベク遊)】 警察ごっこ

「舐めろ、遊馬巡査」
そう言って自らの足を差し出した警部の顔は、いつも通り面白くも、つまらなくもなさそうな無機質な表情を湛えていた。
「……は?」
念のため、聞き返す。もちろんはっきりと聞こえてはいたが、嘘であって欲しかったので。
「聞こえなかったのか? 舐めろ、と言ったのだ」
残念、現実だったようだ。遊馬はあまりの非常識ぶりにめまいを覚えながら、おずおずと反論を試みた。
「あの、真月警部。なんで俺がお前の足を舐めなきゃなんないわけ? しかも……こんなところで」
こんなところ、というのは言わずもがな、学校の男子トイレである。お世辞にも清潔とは言い難い空間で、これまた清潔とは縁のない足のつま先(しかも、クラスメイトで、男の!)を舐めろとはあまりに酷な要求だ、と遊馬は判断した。もちろん遊馬だってバリアンズ・ガーディアンの端くれであるし、できる限り警部の要請には応えたいが、しかし足舐めとはあまりにナンセンスすぎる。
そういう諸々の訴えを込めて遊馬は「勘弁して欲しいんだけど……」という視線を警部に送ったが、相変わらず真月警部は楽しくも、つまらなくもなさそうに、ただ宝石みたいに美しいアメジストの瞳で遊馬を一瞥しただけだった。
「遊馬巡査。君の記憶領域はどうやら、あまりに小さいか、ザルのように役立たずなのかどちらかのようだな。何度も言っているが2人きりの時は敬語を使えと言ったはずだ」
「うっ……で、でもさあ、普段は真月で『よかれとおもってぇ!』とか言ってるのに、急に態度変わって敬語も使えってちょっと、なんか」
そうなのだ。ちょっと前までクラスメイトというかほとんど遊馬の子分みたいだった真月相手に敬語を使うなんて、遊馬はそれにもちょっと不満を持っている。相変わらずみんなの前では『よかれとおもって』いるし、なんだか混乱してしまうのだ。
だが、警部は興味なさそうにため息を一つついただけで、遊馬の訴えを一蹴した。
「くだらん。臨機応変に対応するのはバリアン警察として働く上で欠かせない能力だぞ。態度の切り替えもできないようではこの先が思いやられる。いっそ君だけ組織を抜けて、呑気に過ごすといい」
「ええ、 そりゃないぜ……あ、ないであります! 俺、アストラルを守るためにはなんだってしたいんだ」
「ほう、何だってすると。いい心がけだな遊馬巡査。それならば私の足を舐めることくらい何でもないはずだな?」
「うっ」
まさしくその通り。だが、ある意味では全然違う。遊馬はえーっとぉ、と頭を抱えた。
「いや、そうだけどぉ、そうじゃなくって……ああ! 何でそんなことする必要があるんだよ!? であります!」
だが、これに対し警部は鼻を鳴らして、何だそんなことかと言ったようにやれやれと首を振った。
「簡単なことだ。つまり、これは試験なんだ。君は組織に入ったばかりでまだ日が浅い。だから、組織としても君がどこまで本気なのか
どれだけ君が信用できるのか判断しかねている状態だ。ここまではわかるな?」
「お、おう」
「まぁ、通常ならばまだ様子見といった処置で対応するが、君はいかんせん問題行動が多い。そこで試験だ。私だってこんな要求が非常識で無意味なことくらいわかっている。だが、それをあえて君に課すことで、君ともっと深い信頼関係が築けるのだ。だからこそ、君に舐めて欲しい。私の、ここを」
便器に腰かけた警部から伸びた、すらりと長い足。紺の制服から覗くつま先は、今靴と靴下が取り除かれ、白く目立っている。そこが、遊馬おいでおいでをするように、ゆらゆらと揺れた。
「わかるだろう、遊馬巡査? これは君のための、そして私のための試験なんだ。2人で力を合わせて悪のバリアンに立ち向かおう。一緒にアストラルを守ろうじゃないか。私たちはそう約束したな、そうだろう?」
「はい……警部……」
「なら、どうすればいいかわかるな」
遊馬は形のいい親指の爪を見ながら、ふうとためいきをついた。なんかよくわからなかったけれど、警部は警部の考えがあって、遊馬にこれを舐めろというのだ。だったら仕方ない。これも親友のため。アストラルのためだ。
……それに、真月警部の足はそれほど不潔というわけでもなさそうだし。
遊馬は半ば自棄気味に、警部の足をとってそこへ口付けた。最初はおずおずと、次第に大胆に。キスをして舌を絡めて。時折ちらりと警部を見る。警部はめずらしく、やや頬を染めて楽しそうな顔をしていた。
「……これでいい?」
遊馬が口を離すと、よだれが糸を引いた。
「ああ、上出来だ。……今のところはな」
警部は満足そうに笑って俺の頭を撫でた。どうやら試験は、これだけでは済まなそうだった。

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