赤い夕陽(ミカサとサシャの話)
壁上に並ぶ顔が赤く染まる。
そろそろ暮れる日。
日没を待って出発するのだ。
遠くに何体か見える巨人の動作は、心なしか鈍いように感じる。
常の壁外調査には無かった町民の見送りに、団長が雄たけびを返す。
それにちょっと驚いた上官達も、一緒に雄たけびをあげる。
私もつられて声をあげた。
あの時、調査兵団みんなが一つの声をあげた。
ふと目を開けると、揺れる身体は誰かの背中に縛り付けられていた。
「あれ・・・?ミカサ?」
馬に乗ったミカサの背中に括りつけられた自分。
ミカサの背中は血で汚れていて、それが自分の血なのだと気づいて眩暈がした。
「夢を見てました」
意識は朦朧としていた。今何をやって帰るところなのか思い出せない。
だいぶ失った血でぼんやりした気分は、普段話さないような事まで口からはみ出させた。
「団長が叫んでました。私たちもそれにつられて・・・」
馬を操るミカサは返事をしない。でもちゃんと聞いてくれているような気がした。
みんなで叫んで高揚して出発して、そして。
ミカサの背中は温かかった。
呟くサシャの声が小さくなる。
「・・・サシャ?大丈夫?」
ミカサが声をかけたが返事は無かった。
スースーと寝息が聞こえてミカサはホッとした。
周りを見回せば、馬に乗っているわずかな仲間の顔が見えた。
馬の数が足りない。何人かは二人で乗っている。
全員の表情は暗い。
サシャは知らない。
あの時一緒に出発した仲間の大半が、今はもういない事。
ああ、それはほんの昨日の事なんだ。
一晩でこの惨状なのだ。
ミカサが振り向くと、眠るサシャの頬に当たる夕日が赤かった。
作者:匿名さん
ジャンル:武将隊
お題:もしかして犬
制限時間:15分
読者:9 人
文字数:720字
お気に入り:0人
名を呼べば素直に返事をして、確と後ろを着いてくる。 もしかして、いやもしかしなくても、此奴は犬では無かろうか。 褒めれば大きく尻尾振って、叱ればしゅんと耳を垂
〈続きを読む〉
作者:匿名さん
ジャンル:ゾエ
お題:大好きな伝説
制限時間:1時間
読者:13 人
文字数:1677字
お気に入り:0人
「この時期は、神様に花嫁を差し出す祭りがあんねんけど、アンタもそれ見に来たん?」そう言って緑のフードを被った少年が永見が持っていた一眼レフカメラのレンズを手で触
〈続きを読む〉