ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:真実の朝飯 制限時間:1時間 読者:135 人 文字数:3745字 お気に入り:0人

239+180≒408

 ポテト好きであることからファーストフードならなんでも好き、と思われがちだけれど。いわゆるフライドポテトが好きなだけで、別にファーストフードが特別大好物ってわけじゃない。もちろん好きといえばまあ好きなんだけど。
 そういうわけで朝ごはんにわざわざ朝から重たいファーストフードを食べるよりはコンビニでゼリー飲料かなにかで軽く済ませることのほうが多く、今日も今日とて事務所の待機用の部屋でウィダーインゼリーを朝ごはん代わりに啜っていた。
 レッスンの始まりまではまだ一時間ほどあるものの、なんとなく早く目が覚めて手持ち無沙汰だからなんとなく事務所まで足を運んでしまった。とはいえ朝早くの事務所にはやはり他にアイドルはおらず、退屈だった。
 空になった容器をなんとなく放り投げては掴んで遊んでいると、凛と卯月がやってきた。なにやら、ビニール袋を二つ持っている。

「おはよ加蓮」
「おはよ二人共。何買ってきたの」
「おはようございます加蓮ちゃん。実は、バーガーキングのクロワッサンドイッチを……」
「バーキン? 朝メニューなんてあったの」

 朝限定メニューといえばなんとなく朝マックのイメージだ。バーガーキングはお昼のキングボックスのイメージしかないというか。正直なところハンバーガーが大きすぎてあまり好みではなかった。
 ほらほらクロワッサンドイッチ美味しそうじゃない? ハムチーズだよハムチーズ、と見せつけてくる凛を見ていると、なんとなく負けた気分になった。ウィダーインゼリーに対してのクロワッサンドイッチ、お洒落度でもカロリーでもウィダーインゼリーが負けている。

「昨日卯月の家に泊まったんだけどさ。一緒に事務所来るなら朝ごはん買ってこうって」
「そりゃ昨夜はお楽しみでしたね。そんでバーキン?」
「卯月がこれ食べたいって言うから」
「えへへ、広告見てから食べたかったんです。クロワッサン、好きですし」
「そっか。確かに美味しそうっちゃ美味しそうかも」

 クロワッサンの妙に艶のある小麦の色は食欲をそそるのに充分で、ウィダーインゼリーを啜った後にもかかわらず身体が空腹感を訴えかけてくる。ううん、本当はアレ食べたらカロリー多すぎると思うけど……。

「……じゃ、私もう行こうかな。二人は今日ロケだっけ」
「はい。加蓮ちゃんはレッスンでしたよね」
「早く着いて暇だからって身体動かして倒れないでよ」
「冗談。もうそんなに病弱じゃないよ。ロケ頑張って」

 ひらひらと片手を振って部屋を後にする。凛と卯月が二人っきりになれるときに私がいるなんてただのお邪魔虫だ。馬に蹴られて死にたくはない。ただまあ、今からならバーキンに行って帰ってきても時間が間に合っちゃうなー、と思いながら。
 スマホを取り出してLINEを起動。奈緒とのチャット画面を呼び出し、可愛らしいキャラクターがハートを抱えたデザインのスタンプを3つほど連続で送りつけた。

『なんだよ朝から』
『今日一緒にレッスンでしょ、今どこ?』
『事務所向かってるところだけど、どうした?』
『なんかバーキン食べたくって。事務所近くのバーキン寄ってからでも間に合いそう?』
『たぶん間に合う。いいぞ、あと十分くらいで着くから』
『待ってる♡♡♡』

 再び適当にスタンプを投げ込んでスマホを閉じた。十分、十分かあ。ぶらぶらと歩いて潰すには長い時間だけど。まあ、コンビニでも除きつつ、適当に待とうかな。



*****



「お待たせ。朝ごはん食べてないからちょうどよかった」
「おはよー。珍しいね。いっつも食べてから来てるじゃん」
「ちょっと寝不足で……加蓮こそ、朝食べるの珍しいじゃん」
「深夜アニメ? 朝からカップルにクロワッサンドイッチ見せつけられちゃってさあ」
「今回は漫画読みすぎた。……カップル?」
「凛と卯月」
「あー」

 他愛ない話をしているとすぐに順番が回ってきた。バーガーキングの店内はかなり空いていて、人もまばらだった。奈緒はソーセージエッグチーズ、私はハムチーズを注文すると、一分もしないうちに商品が出てきた。店内の奥の方の目立たない席を選んで向かい合って座る。

「いただきます。……結構ボリュームあるのな」
「うわそっちの卵分厚。写真通りじゃん」
「なんかファーストフードのって写真より薄くなってるイメージあるのにな」
「わかるわかる。CMとか写真通り出てこないよね」
「むしろどうやって撮ってるんだろアレ。空気入れてんのかな」
「材料違うんじゃないの?」
「詐欺じゃん」
「どっちみち見た目違い過ぎたら似たようなもんじゃん」
「そうか? ……そうか、まあ、そうかも」

 厚みのあるクロワッサンドイッチに控えめに噛み付いて咀嚼する奈緒は小動物か何かのようで写真に撮ってやりたいくらいだった。あまり大きな口を開けるのを躊躇っているのか、縦に潰して厚みを減らして食べている。私はというとまあ奈緒の前だしいいか、と包み紙で顔を隠しながらざっくり食べてしまったので、包み紙を折りたたんで遊んでいた。

「加蓮食べるの早くね?」
「奈緒が遅い」
「ごめん。急ぐ」
「別にいいよゆっくりで」

 そう? 悪いなーと言ったものの、さっきよりは早いペースであっという間に食べ終え、飲み物を一気に煽った。食べるときは可愛く食べるのに飲み物はそうやって飲むんだなー後でからかお、と思いながら奈緒に促されて席を立った。




*****



「なんかハンバーガー……クロワッサン? クロワッサンか。クロワッサン一個の割に結構量あったな」
「割りとお腹いっぱいって感じ。これから動けるかな」
「動けるだろー、っていうか、動いて食べた分消化しないと」
「だよねえ。美味しかったけど毎日食べてたら太りそ」
「毎日バーキン食うなよ」
「食べないよいっつもウィダーだし」
「そこは毎日ちゃんと食べろよ」
「食べるなって言ったり食べろって言ったり」
「言葉の綾じゃん」

 レッスンが始まるまで後30分もない。走る程じゃないけど、ゆっくり歩いていると間に合わない時間ではある。自然と早歩きで向かってるんだけど、これでカロリー消化しないかなあ。しないよね。
 そういえば奈緒を呼びつけたのは凛と卯月を見て私もちょっといちゃつきたくなったからだった。ちょっとからかって赤面する奈緒を見てから気持ちよくレッスンを始めたい。
 
「毎日奈緒がお味噌汁作ってくれたら食べる」
「あたし朝パン派なんだけど」
「じゃあバター塗って」
「バターくらい自分で塗れるだろ」

 なんか違う。今日の奈緒はなんだか余裕があるみたいだ。悔しいので、もうひと押し。

「一緒に食べるのはいいんだ」
「そりゃホントは毎日一緒に食べたいし」

 カウンターを決められた。何を当然のことを、と憮然とした態度の奈緒が続けて「まだ毎日ってわけにもいかないけど」と続けた。まだ。まだって。将来的にはさあ。

「なんで今日なんかそんなに余裕あるの」
「あたし? うーん。少女漫画読んだ後だからじゃない?」
「え、それどういう」
「なんだろ。ほら、好きとか愛してるとか、そういうちょっと恥ずかしいのたっぷり見た後だし」
「ずるい、それ私も読む」
「レッスン終わったらうち来る?」
「行く。楽しみ」

 まあ、奈緒をからかうのは失敗したけど。レッスン終わりに楽しい予定が一つ出来たと思えば。多分少女漫画の効果はレッスン終わりには切れてるだろうから、そうなってから今のことも一緒にからかってやればいいかな。



*****



―――卯月からこんなメッセージが届いていたのを加蓮は知らないのだろう。朝ごはんの用意をしようとしていたところに、携帯がメッセージの着信を知らせるために鳴り響いた。普段はサイレント設定だけれど、朝はアラームのために音が大きい設定になっている。

『さっき加蓮ちゃんと会ったんですけど、凛ちゃんといたからかすぐレッスンルーム向かっちゃって。奈緒ちゃんも早めに来てくれませんか?』
『加蓮が? わかった、すぐ行く』
『ありがとうございます』

 なんで卯月がお礼を言ってるんだ、とちょっと笑ってしまった。大方、凛と卯月を見て加蓮が軽く拗ねたんだろう。となると、そろそろ……

『♡』

 ハートマークを抱えた熊さんのスタンプが送られてきた。続けて2つ目、3つめ。なるほど。多分早めに来て構って、って話になるんだろう。
 そうとわかれば朝ごはんを食べている暇はない。とっとと加蓮のところに行かないとな。焼こうと取り出したパンをそのまましまって、出かける準備をした。
 
 つまるところ、事前に心の準備が出来ていたのだ。卯月と凛のイチャイチャを見た加蓮は必ずそういう方向で煽ってくるだろうと。今回こそはやり返してやろうと思って色々考えていたけど、成功しただろうか。

「行く。楽しみ」

 そう言った加蓮の耳が普段より上気していたのを見て今回の私の勝ちを確認した。……もっとも。加蓮に気づかれていないだけで、私の顔も相当熱く、赤くなっていたと思うけど。
 

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者: ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:うるさい正義 制限時間:1時間 読者:104 人 文字数:3821字 お気に入り:0人
※みおあい なおかれ うづりん前提 あたしは頭を抱えていた。「で、どうやったら手を出してもらえるのかって話なんです」「いや……手って……えー……」「むしろ口がい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:おいでよ平和 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:2984字 お気に入り:0人
※おいでよ平和(ピンフ) なお←かれ うづ←りん みお→あい 前提「そもそもさ」「何、凛」「なんで事務所に麻雀卓があるの? しかも全自動のやつ」「兵藤さんが知り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:シンプルな百合 制限時間:1時間 読者:79 人 文字数:1797字 お気に入り:0人
『たまには小洒落たお食事と』 お昼はなんかファミレスとかそういうのがいい。そう言って入った店内で、注文を終えてすぐに奈緒が切り出した。「加蓮がファーストフード以 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:あいつの雨 制限時間:1時間 読者:202 人 文字数:2390字 お気に入り:0人
「…雨の前ってね、匂いがするんだ。」シキちゃんまた呟く。今や一般的な雑学となったそれ、ぺトリコールとグルナントカ。アタシが知らない演技で、「そうなの?」と首をか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:5月のオンステ出ます ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:穢された接吻 制限時間:1時間 読者:1289 人 文字数:2354字 お気に入り:0人
手を繋げば体温が伝わってくる。顔を見れば表情がわかる。仕草と合わせて相手の気持ちがわかる。もちろんそのわかるの前には「それなり」という連語がくっつきはするが、新 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:『過負何』 ◆muOlzNYfS. ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:意外な育毛 制限時間:1時間 読者:537 人 文字数:587字 お気に入り:0人
プロデューサーは独り、職場で悩んでいた。あまり大きな声では言いたくないがカツラの下は殆ど毛が無いのである。「しかし、どんな育毛法も効果がなかったんだよなぁ……」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:空色遊 ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:夏の人間 制限時間:1時間 読者:500 人 文字数:1533字 お気に入り:0人
†† プロデューサーとしてアイドルをプロデュースするようになってから大分経つが、しかし未だに理解できないことがある。「プロデューサーさん、どうですか? カワイ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:空色遊 ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:知らぬ間の帝王 制限時間:1時間 読者:567 人 文字数:1526字 お気に入り:0人
†† 長い眠りから目を覚ますと、そこは阿鼻叫喚でした。「…………」 いくらボクが賢くて聡明だからといって、寝惚けた頭で状況を把握するのはムツカシイというもので 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おっぽ@音ゲーリハビリ中 ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:天国の闇 制限時間:1時間 読者:747 人 文字数:1590字 お気に入り:0人
暑い。 というよりも、暑い。 ああ、変わっていなかった。 こんなふうに思考がまともに働かない程度には、暑い。 まだ五月だというのに真夏日とのことだし、当然では 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:ラストは木 制限時間:15分 読者:97 人 文字数:341字 お気に入り:0人
ちょうどPV撮影の仕事がありがたいことにうちにも回ってきて、あれこれ皆が元気になってもらおうと、着ぐるみを作っとるんやけども、ヘレンしゃんのようなインパクトのあ 〈続きを読む〉

きりたにの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:きりたに ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:初めてのユートピア 必須要素:iPhone 制限時間:1時間 読者:172 人 文字数:2991字 お気に入り:0人
未央ちゃんとお家デート、といえば私の家がほとんどです。私の家が事務所から近いこともありますが、未央ちゃんは兄弟がいますから、お家にお邪魔するのが悪いというのが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:きりたに ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:真実の朝飯 制限時間:1時間 読者:135 人 文字数:3745字 お気に入り:0人
ポテト好きであることからファーストフードならなんでも好き、と思われがちだけれど。いわゆるフライドポテトが好きなだけで、別にファーストフードが特別大好物ってわけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:きりたに ジャンル:アイドルマスターシンデレラガールズ お題:イギリス式の恋人 制限時間:1時間 読者:112 人 文字数:2797字 お気に入り:0人
私の所属する事務所には数多くのアイドルがいる。誰かの誕生日はそれこそ毎週のようにあるし、誰かのために逐一派手なパーティを開いていたらキリがない。 だから概ねお 〈続きを読む〉