ジャンル:東方Project お題:軽い水たまり 制限時間:1時間 読者:102 人 文字数:1518字 お気に入り:0人

走り書きofTheいつもの2人

空気の澄んだ朝。
昨日までの暗い空とは違い、山の向こうがグラデーションに彩られる心地良い空。
「そうだ、湖、行こう」
私は気の赴くままに、晴れた空へと飛び出した。



私は気分屋と呼ばれる。
だが逆に問いたい。
長い人生において、気分の乗らないことをどうしてしなければいけないのか、と。
勿論「しなければならないこと」は「しなければならない」、当然のことだ。
しかし「しなければならないことではないがした方がいいこと」は「しなければならないこと」ではないのだ。
であれば、それをするのは気が向いた時だけで良いのだろう。
なぜならそれは「しなければならないこと」ではないのだから。
だから私は、聞こえてはいるが耳に入っていない言葉を流して湖に向かったのだ。

胸いっぱいに空気を吸い込んで、その空気を堪能する。
やはり森の上空だと、より気持ちがいい。
贅沢にもそれに飽きた頃、水の匂いが混じってくる。
ようやく顔を全部出した太陽が、湖面に光を湛えていた。



「んん~~~~っ……」
降りるなり伸びを一つ。
「ふぁ……ぁ~っ」
あくびも一つ。
やることもないしとりあえず散歩でもしよう。
と、思ったら向こうから人が飛んでくる。
「まさか人が空を飛ぶなんて……」
「あら、まるで自分は人ではないような言い草ね」
できるだけ避けようと思っていた紅魔館の、メイドだった。

「こんな朝から一体何をしに来たのかしら」
「晴れたし気持ちがいいから湖でも見ようと思って」
「そう、どうにしろ来るなら一報入れて頂きたいわ」
「こんな朝早くから連絡入れるのは流石に常識知らずなのでは」
「私もそう思うけれど、貴女がそんな事を言うとは思わなかったわ」
少し苦みばしった顔で言われると私も困る。
一体私がどういう人間だと思っているのだろうか。
「そういえば咲夜さんより先に来るべき人が居るのでは?」
「あれは今、首から下が地面に埋まってるから来れないのよ」
「どうしてそんなことに……」
「身内の恥だから説明するのはご勘弁願いたいわね」
その眼には諦観が映っていた。
寝てたのか。

「なるほど。あと、暇だったので一緒に散歩でもしません?」
「…………」
なんとも言えない顔をしておられる。
私の提案がそんなにおかしかったのだろうか。
「あのー……」
「ええ、いいわよ。私もサボれるし」
「私はサボっていませんけど」
「…………」
空を見て、私を見る。
もう一度空を見る。
私は見ない。
そこには何もない。
絶対にだ。

微妙な距離を保ちながら一緒に散歩をする。
鳥のさえずりが心地よく、適度な湿っけがあり気持ちがいい。
少し肌寒い気もするが、たぶん帰る頃には陽が昇り暖かくなっているだろう。
それほど会話もせず歩いて行くと、軽い水たまりがあった。
「雨も降っていないのに水たまり……」
「ああ、この辺りはよく妖精が遊びに来るのよ」
「つまり妖精が生きた証」
「そうだけど、そうじゃなくてね?」
「遊びに来ると何故水たまりが?」
「……貴女と話をしていると、何故か疲れが溜まるのだけれど」
「よく言われるので留意します」
「そうしてもらえると助かるわ……」
「それで……っと、なぜ水たまりに?」
私は言いながら飛び越えた。
「湖から水を汲んできて、それで遊んでいるの」
彼女は水たまりを迂回した。
「なるほど」
「納得して頂けたようでなにより」
「もう一つ質問いいですか?」
「何かしら」
「もしかして一緒に遊んであげたり」
「遠くから見てるだけよ、私も子供じゃないんだから」
そう言って微笑んだ顔が、朝日にとても映えていた。
今日は良い日になりそうだ。

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