ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:栄光の仕事 制限時間:30分 読者:57 人 文字数:2584字 お気に入り:0人

救済の道(ショタドン×マフィくん)


ショタドン(15くらい)×マフィくん(30くらい)
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 カラ松は許可も得ず、一松のデスクの上に仕事道具を広げ始めた。もう寝る時間だぜ、と一松をベッドに寝かしつけはしたものの、一松が瞼を閉じるのも待たずに、物音も気にしなかった。彼がそうして、俺のことは気にせず寝てくれ、と態度に表すのが、一松は気に食わなかった。
 夜の十時になると、一松が何をしていようと、カラ松は律儀に就寝時刻だというのを告げにやって来た。一松が言うことを聞かなければ、容赦なく小さな体をひょいと抱き上げて、一松の部屋まで連れ去った。それから一松が眠るまで部屋に居座るのだが、その間のカラ松といえば、いかにも事務的で、時には時間を潰すためにあらゆるものを持ち込む始末だった。しばらく前までは、それこそ一松が禄に読み書きもできぬような年齢のときには、ベッドサイドに椅子を置いて、一松が眠るまで額を撫でてくれていたと言うのに、いまやその影もない。とはいえ、この頃の一松は彼から子ども扱いを受けるのを尽く拒否しているので、これについて文句を垂れることが素直にできずにいるのだった。
 今日のカラ松は、一松の勉強用のデスクの上で、拳銃の手入れをしている。一松はまだ自分用の拳銃を持たせてもらえず、何度かカラ松に強請って触らせてもらっていた。手入れをするのを見せてもらったこともある。カラ松が一番愛用しているらしきものを見て、ぼくが一人前になったらそれを寄越せ、と横暴な約束を取り付けたが、その相棒を丁寧に扱っている今のカラ松が覚えているとは期待できなかった。一松は肩の後ろあたりに枕が来るように正し、首を少しばかり起き上がらせ、横になったままでもカラ松のことを見ていられる体勢をとった。一松の身じろぎに、カラ松はちらりと一瞥をやったけれど何も言わなかった。一松が寝付きの良いのをわかっているからだった。
 このところ、稼業に携わらせてもらえるようになった一松は、日中激務を極めているのだった。当然、学校にも行かねばならぬし、むしろそれを条件としてボスである父親から仕事を譲ってもらっているのである。学業を疎かにすれば、卒業までお預けを喰らいかねぬと、一松は躍起になっていた。そうして心身ともに疲弊するので、夜の十時にベッドに強制的に横になると、一度瞼を閉じれば否応なく睡魔に包まれてしまった。今日も彼は、落ちてくる瞼と格闘している。カラ松がほくそ笑んでいるような気がして、彼は一層奮起し、負けるものかと舌打ちを打った。
 金属がぶつかりあう小さな物音が絶え間なく響いた。それすら一松には子守唄のように聴こえ始める。カラ松の優しげな手つきを見ていれば尚更だった。カラ松は両手の指が足しても十にならぬ不満足な手をしていたが、拳銃を器用に扱っていた。深く学んだことのない一松でも、彼の丁寧さが見て取れた。撃っているところを見たい、と思ったけれど、想像すると背筋がひやりとした。カラ松が誰かに拳銃を向けるのと同時に、別の銃口がカラ松に向けられているのかも知れぬと思うと、ぞっとした。
 一松は、どうしてカラ松が自分の世話係をしているのか知っていた。知ったのはつい最近で、もっと子どもの頃には考えたことがなかったし、何かしら善意のようなものによって充てがわれているのであろうという認識があった。偶然、別の部下がカラ松の話をしているのに聞き耳を立てたときに、カラ松が仕事ができぬ人員だから世話役に「降格」させられたのだと聞こえて、一松は愕然とした。カラ松が仕事のできる人間だと思っていたわけでもないし、好きで自分の世話をしているとも思わなかった。けれども、自分を育成するのにはカラ松が適している、と誰かが判断してくれたのではないかと、そう自然と考えていた自分と、全く異なる事実に愕然としたのだった。カラ松は人を殺したこともなければ、任務で成功したこともない、むしろカラ松のせいで別の構成員が死んだこともあるとのこと。死んだ構成員の名前など一松は知らなかったが、あまりのポンコツ具合に世話役にさせられているのだと聞くと、カラ松も自分も憐れに思えて空しくなった。
 そんなカラ松でも愛用している拳銃があり、度々手入れを怠らなかった。人を殺したことがないらしいが、撃ったことはあるのだろうか。撃たれたことはあるのだろうか。失った指や体中の傷は、名誉でもなんでもなく、ただの罪滅ぼしなのだろうか。終いに、一松は、彼が自らの父親あるいは別の上司に、折檻されたのかもと考えると、わあっと声を上げたくなるのだった。
「珍しい、眠くないのかいベイビー。」
 ベイビーともなると、子ども扱いを通り越して、一松は噛み付く気にもならなかった。再び舌打ちをし、じっとカラ松を見ていた。カラ松は手を止め、一松を見た。柔らかな視線だ、あのような目で見られて、怯えるやつが果たしているだろうか。誰もが友好的になるのではないか。それはつまり、カラ松は稼業に向いていないのでは、と改めて一松に思い知らせた。
 一松は、手を止めたカラ松が椅子ごとベッドサイドに来るのを只管待った。眠れないからそばに来て、とか、撫でてくれ、とか、そういうことはもう口にはできなかった。子どものままでいればいるほど、カラ松を救う道(そんなものがあるのかどうかは別として)は閉ざされる気がしたし、カラ松にとって自分がどういう存在でいたいのかと考えると、一松は彼の上に立ちたいのである。一松は視線でどうにかカラ松を動かそうとした。ぼくの隣に来い、と威圧が浮かぶように努めた。カラ松は萎縮こそしなかったが、一松の圧力を感じたのか、屈するような苦笑を浮かべて椅子ごと移動した。
「目をつぶっていれば、すぐに眠れるさ。ほら。」
 カラ松は一松をぐいとベッドにしっかり寝かせてから、彼の両瞼を優しく押さえた。訪れた暗闇に、一松は素直に身を委ねたが、しばらく触れていたカラ松の指の腹に、これがトリガーを引くものか、と胸糞悪くなった。(終わり)



栄光の仕事;カラ松にとってそうだということ

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