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それは愛ではない ※未完

 私がいつも見ていたのはその背中ではない。
 私はいつだって彼女に笑顔を向けられていたし、それは他の子に対してもそうだった。彼女は誰に対しても屈託のない顔で、凄いな、偉いな、頑張ったじゃないか、そう素直に褒め称えるのだ。

 毎日毎日何か怖いものから逃げるように努力し続けて、プレッシャーを感じて、ただ何のためにかも分からないのに前だと信じた方向へと歩を進め続けた私と違って、彼女はどこかへ寄り道することを、足を止めて景色を眺めることを、当然のように行っていた。この狭い狭い道が広々とした野原であるかのように、深く大きく息をすることを知っていた。

 彼女自身は知らないのだろう、私が彼女に羨望の眼差しを向けていたことを。彼女を特別視していたことを。私たちのセカイにはアンジェという天才――奇人がいたし、その特異性は彼女が自分自身に目を向けさせない目逸らしになっていた。分かりやすい有能さ。目につきやすい変人。
 けれど、けれど私が欲したのはそんなモノではなかった。そんな特別な存在じゃなかった。私がなりたかったのは、私が欲しかったのは、どんな状況におかれても明るさを失わない、好意をもって笑顔を向けることのできる、そういうしなやかさだった。
 努力しか知らなかった。ただ前に進むことしか知らなかった。私の世界は眼鏡の枠の中、ガラス越しにしか存在しえないくらい狭い狭いもので、与えられた役割、決められた道筋しか歩くことを知らなかったから。
 私は誰かの何かになりたかった。与えられた枠組みの中の私じゃなくて、私という個人が感じた何かを知ってほしかった。見てほしかった。偉いなって、頑張ったねって、温かく、認めてもらいたかった。
 私が彼女に求めていたのは、一種の母性とでもいうべき何かだったのだろうかと思う時がある。実際、あまり間違ってはいないと思う。慕情というにはあまりに未熟な感情だった。彼女に向けた羨望の眼差しは、幼い少女が母親に褒められてはにかむそれと等しかっただろう。

 クリスマスにサンタが来るなんておとぎ話を信じたことはなかったし、一般家庭に現れるプレゼントの施し主が母親父親であることは知識としていつの間にか植え付けられていた。もちろん私は、クリスマスにプレゼントをもらったことはない。
 本当に一つしかなかった。クリスマスの思い出。初めての色付いた記憶。笑顔。

 わたしほんとうに、あのとき、とてもたのしかったのよ。

 回顧する。彼女の笑顔、私も笑った。私にとっての唯一。きっと、きっと彼女は忘れてしまう。彼女は誰にだって笑顔を向ける。彼女はいつだって笑顔を取り戻す。だけどこれは私だけのものだ。私のたった一つだ。この瞬間だけは私が彼女から笑顔を、楽しさを貰うたった一人だ。

 愛がほ

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