ジャンル:次四 お題:漆黒の闇に包まれし栄光 制限時間:30分 読者:20 人 文字数:1275字 お気に入り:0人

水の子 ※未完



 人生とは人が生きる道。英語だとライフという。
 君からしてみたらそんなことなんてどうでもいいことの一つにすぎないかもしれないが、組織のために戦っているオレからしてみたら、この言葉は重要。ライフは、人の命。尽きる道。終わりのある道。
 今歩んでいるこの人生もいずれは終わる。ならばオレは終わりを目指してかけるしかない。
 目で認識すらできないほどに暗い世界に取り残されたんだ。
 オレは、一人でも、帰らなければならない。

 この、命がつきようが知ったこっちゃない。
 オレは、いきたい道を進むだけだ。
 進まなければいけないだけだ。




――道筋。









 東京都赤塚区……それ以下は伏せておこうか。
 灰色がかった、少し新しめの看板が似合わないビルの中。
 紫色のスーツを着た男が一人、どっしりとふてぶてしく高級そうなソファーに座っている。
 その男はいかにも、おれがここの法律といわんばかりに、にくったらしくマグカップに入っている何か……珈琲だろうか。その液体をすすりながら、足を組んで、じいっと目を細めてその中を食い入るように見つめている。
 かくいうオレは、ガッチリとその、悪徳商法の社長のような雰囲気をまとっている男の目の前に座り、飲めよ、と出されたエスプレッソに口を付けたところだった。
 こうやって時が失われていく。
 一口、一口、ごくりと飲みこむといつもと同じ味……いや少し今日のものは濃ゆいか。そんなことはどうでもいいんだが、視界を閉ざして、飲み込む。

 ああ。苦い。
 早く帰りたいと思っているオレの意思とは裏腹に、無言の時は続く。
 実に無駄だとは思わないか。
 だからオレはこの男は苦手なんだ。
 話がなかなか始まらない。
 かわいげの一切ない男だ。
 こんな風貌で、そんな態度なのに浮いた話を一切聞かない。つまらない男。
 などと頭の中でその相手への愚痴を垂らしながら、じっと見つめているとその男はゆっくりと、慎重に着地をしようとしているカラスのようにやっと。口を開いた。

「……今日の要件は何。」

 相変わらず、いつものことだが、こちらの方を見ない。

「先生には関係のない話かもしれないがうちの下のヤツが捕まってしまったんだ。」

 オレもゆっくりと答える。
 すると、軽く男は小馬鹿にするように鼻で笑い、細い目をこちらに向けてきた。

「またかよ。あきねえな。お前のとこ。」
「ああ、まただ。」
「それでおれが必要なの。」
「つまるところはそういうことだ。」
「あー……。」

 あきれ口か。
 ぐるんと、首をまわして、またため息でもはいたかと思うと重そうな腰を持ち上げて、戸棚をあさりだした。きっとオレたちが持ち掛けたほかの案件の数を出して、断ろうとでも思っているのだろう。いつもの手口だ。さすがにテンプレート化しだしていて、飽きてしまっていい反応なんてしてやる気はさらさらないが、一先ずは、それを崩してくれることを願いながら、その男を見つめる。


 
 その男は弁護士だった。


 

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