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あさのぴあの

(今更ながらの幸福論のある意味後日話)

【手を伸ばしたいと】

朝、帝國図書館の敷地内の居住区にあるピアノ部屋で小林多喜二は特務司書の少女がピアノを弾いているのを見た。
彼の知らない曲だ。一曲分だろうか。譜面もないのに弾いている。

「……あれ? 多喜二さん?」

「おはよう。ピアノ、弾いてたんだ」

気配に気付きやすい彼女が、ようやく多喜二を認識した。話しかければ、彼女は微笑む。

「……おはよう。昨日は早めに寝ちゃったから」

「体調の方は」

「いっぱい寝たから、回復はしたよ」

昨日、多喜二は犀星たちと共に食事に行った。犀星を中心として縁があった者たちとだったが、
その中には織田作之助が居て、牽制されていたというか、自分はかつて特務司書の少女に何かを言ってしまった。
何かについては心当たりはあるが本人に聞こうにも聞けていない。
織田が土産を届けに行くのを着いていったら途中で高村光太郎と新美南吉と出会い、司書が体調を崩したと聞いた。
驚いていたのは織田であるが高村が穏やかに制止をかけていた。

「弾いていたのは何の曲?」

「マリーゴールドって、曲。ピアノは嗜みで覚えたから」

「楽しそうだった」

「見得で弾いてないからね」

見得で、と彼女は答える。ピアノから彼女は離れた。
ロングワンピースを着た華やかな少女はピアノを弾いているだけでも見栄えがするというかそれを行ったら恐らく
彼女は苦笑をする。
多喜二が話そうとすると、ドアが開いた。

「おっしょはん、おはよーさん。小林はんもおったんか」

「おはよう。オダサクさん、朝から元気だね」

この居住区でピアノを弾くのは彼女ぐらいであり、ピアノが鳴っていると言えば彼女しか居ない。
織田はそれを聞きつけてきたのだろう。割り込むように、というか、割り込んで織田は彼女の前に来た。

「土産、買うてきたんや。食べようや。おっしょはん、朝から何も食うとらんやろう」

「軽くは食べたけど」

「あかんって。徳田はんも居るから、食べような」

そのまま、織田は特務司書の少女を引っぱり部屋からだす。
部屋には多喜二が残された。

「……邪険に、されてる」

司書は自分のことを苦手として居るぐらいだが、織田は明らかに邪険にされていた。

「どうしました。司書殿は」

「谷崎さん、……織田さんが連れて行って、居ない」

そのままでいると谷崎潤一郎が部屋に来た。谷崎はそれを聞いて、笑い、

「織田さんは彼女を御寮人にでもしたいのでしょうか。それにしては、拘束気味では」

「俺のせいってのは、ありそうで、喪失状態の時に……」

「それは仕方が有りませんよ。そうなってしまうのですから、彼女もそうは割り切っていて……それでも、
傷は隠してしまうのでしょうから」

「隠されても……な」

「王子にでもなりたいならば、関わるようにしなくては」

谷崎が知ってか知らずかほほえみかける。
笑いが板についているというか自分とは違うが、仮に佐藤春夫でも居ればそれが谷崎だとか答えそうだ。
多喜二はまず、彼女と関わる方法を探すことにした。


【Fin】

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