ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:来年の別れ 制限時間:30分 読者:146 人 文字数:1462字 お気に入り:0人
[削除]

居酒屋にて【あつトド】


「ニートやめようと思って」
 トド松はそんな台詞を吐いてビールをあおった。カウンター席なので隣に座るトド松の喉仏がよく見える。それが何度か上下して止まった。ぽかんとする俺に、今日もいいスーツ着てるね、とトド松は何も考えずに言う。世の中にはわざとアヒル口にする女がいるが、トド松のこれは素なのだろう。トド松は俺には金をねだる時しか媚びてこない。媚びを生きるすべとしているトド松は基本的に、心を許した人間以外に素を曝け出すことはない。これはノロケである。
「就職するの?」
 一口だけ飲んだビールが俺の目の前に置かれている。できる限り平静を装ったつもりだ。
「そう。言っとくけど今度は喧嘩じゃないからね。兄さんたちとも関係は良好だし」
「じゃあなんで」
「あつしくんにお金出してもらうの、そろそろ申し訳ないなって」
「え、今まであれだけ躊躇なくせびってきてたのに?」
「うるさいな」
 それから一拍おいて、トド松は言いづらそうに言葉を漏らす。
「…………今までは、友達だったからさー…………」
 声がだんだん小さくなり、気恥ずかしそうに俺の顔から目をそらした。今までは友達だったから。それは俺たちの関係を示す言葉でもあった。「友達」が変わったことを示す言葉でもあった。自然と頬が緩まる。突き出すようにした上唇を舐めたいと思った。大衆向け居酒屋のカウンターでそんなことをしたらどうなるか分かりきっているので自制心で抑える。
「対等な関係でいたいんだよね、僕は」
 別に就職なんてしなくてもめいっぱい甘やかして何でも買ってあげるのに。俺だってトド松に何かおごるとき、言葉では嫌がるそぶりを見せるけれどいやだと思ったことは一度もないのに。そう思っているのは俺のほうだけで、あくまでトド松は恋人として隣に立ちたいという。そんなところもいじらしい。
「就職先に当てはあるの?」
「……」
 ビールをまた飲む。今度は底が見えるまできっちり飲んで、パネルで追加注文の操作をし始めた。あまり良い就職口は見つかっていないらしい。
「俺が人づてに良いところ紹介してもいいけど」
「いや、今回はあつしくんには頼らないから」
 対等でいるために、トド松は自分の中でルールを決めているらしかった。それならば俺が口出しできることではない。合コンの女の子を紹介した時のような気軽さは今回は通用しないらしい。それはそれで残念である。トド松が俺の範囲外で何かを選び決定してしまうというのはあまり面白くない。
 居酒屋の従業員がやってきて、トド松の席から空のビールを下げて新しいビールを置いた。その手があまりにも細くて顔を見ると、まだ大学生に見える若い女の子だった。胸も大きい。トド松のほうに向きなおると、トド松はしっかり胸を見てから「ありがとうございます」と従業員に愛想よく笑った。
「だから、ニートの僕とはお別れだよ、あつしくん」
「いつになることやら」
「……やれると思ってないでしょ?」
「まあ、やれたとして…高く見積もっても来年くらい?」
「今年中に就職してやるからな……」
 恨み言のように言うトド松が面白くて、思わず笑う。目の前のかわいらしい男は不服そうにしていたが、俺が笑うのをやめないでいると諦めてなんこつの唐揚げをつまみ出した。大衆向け居酒屋というのは得てしてうるさいので俺はそんなに好きではなかったが、トド松と行く居酒屋は好きだった。俺の笑い声が喧騒に掻き消える。
 もしも就職できたなら、トド松の望み通り割り勘で居酒屋に行こうと約束した。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:宿四暗刻 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:光の動揺 制限時間:30分 読者:95 人 文字数:2884字 お気に入り:0人
【おそカラ】-------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
Diva ※未完
作者:いろはな2450 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:とてつもない女 制限時間:30分 読者:91 人 文字数:1085字 お気に入り:0人
毎年恒例、イタリア全土のマフィアの幹部が顔を合わせるパーティーには、それぞれ最も上物の女を連れてくるのが仕来りだ。ある者は国一番の美女を、ある者は極東から連れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宿四暗刻 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:東京の恋愛 制限時間:30分 読者:232 人 文字数:2914字 お気に入り:0人
【レスバス】-------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:栄光の仕事 制限時間:30分 読者:141 人 文字数:2584字 お気に入り:0人
ショタドン(15くらい)×マフィくん(30くらい)------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:勇敢な動揺 制限時間:30分 読者:218 人 文字数:2851字 お気に入り:0人
(おそカラ)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いつかわかるだろうと先延ばしにしていることが、積もり積もって、いつの間にかわからないことだら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:紅禅@美術部員になりました ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:贖罪の銀行 制限時間:30分 読者:298 人 文字数:851字 お気に入り:0人
「どうしてカラ松は、こんな俺にも優しくしてくれるの」何時も通りの何分かの祈祷の後、隣にいたシスター――一松に尋ねられた。彼は少し前、この教会で働き始めたシスター 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:紅禅@美術部員になりました ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:どす黒い闇 制限時間:30分 読者:223 人 文字数:519字 お気に入り:0人
初めは純粋に、あいつのことが好きだった。あいつが好きだと感じるたびに、それだけで幸せだった。だけど、日に日に想いが募って、独りで抱え込むのが苦しくなった。眩しい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:mirai@創作とか妄想垢 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:名付けるならばそれは博物館 制限時間:30分 読者:243 人 文字数:1162字 お気に入り:0人
※チョロおそハロワに行って、面接失敗して、求人雑誌を眺めながらため息をつくもう何回目だろうか。家路を辿る足は重い。玄関の戸を開けただいまと呟く。靴は兄のものであ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:理想的な冥界 制限時間:30分 読者:305 人 文字数:2730字 お気に入り:0人
【ジェイカラ】------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:依子 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:君と汁 制限時間:30分 読者:349 人 文字数:661字 お気に入り:0人
桃を買ってきたのだそうだ。ふくらかなたっぷりとした実にわずかに生えた薄いきんいろの毛は、旬はわずかに過ぎているものの、たしかにうまそうだと素直に思う。きっと持 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:そ、それは・・・コメディ 必須要素:高校受験 制限時間:4時間 読者:1 人 文字数:591字 お気に入り:0人
カリカリカリなぜだろう受験となると今まで勉強したことが飛んでいく。(クソッ、今までの努力は何だったのか。何なんだよ、、、、クソォ!!!!)だめだ。冷静になれ。そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:FGO お題:たった一つの夜中 制限時間:30分 読者:43 人 文字数:753字 お気に入り:0人
どうしても、寝付けない夜だった。ベッドに潜り込んではや二時間。目は冴えたままだった。 眠れなくなるほどの悩みがあるわけではないし(いや、いつまでたっても貯まら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
つかれた ※未完
作者:匿名さん ジャンル:ツキウタ。 お題:めっちゃ流刑地 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:317字 お気に入り:0人
めのまには隼の部屋の扉。なかなか起きてこないアイツを誰が起こしに行くかでジャンケンをする。「あそこでグーをだしてればなぁ。」そんなこと言っても今さらどうにもなら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:やわらかい動機 必須要素:街灯 制限時間:30分 読者:16 人 文字数:395字 お気に入り:0人
私は魔理沙を殺してしまった。……動機はとてもやわらかい。……なんだ?やわらかいって。まぁ、それはおいといて。魔理沙を殺した動機は「嫉妬」だ。霊夢ばかりかまって 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:経験のない薔薇 必須要素:ドア 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:816字 お気に入り:0人
紅魔館の庭の一角。そこには門番の紅美鈴が育てている花壇がある。 今日も美鈴は休憩時間に水やりをしていた。「おや?」その花壇に見たこともない綺麗な深紅の薔薇が、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:undertale お題:きちんとした火 制限時間:4時間 読者:12 人 文字数:737字 お気に入り:0人
*懲りずにアンテ書く。キャラ崩壊注意*ほとんどChara、Flowey。*地上に出たあとの話*「あ、Chara!危ない」「っと…大丈夫」ボクはモンスターにエンカ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:undertale お題:春の殺し 制限時間:4時間 読者:9 人 文字数:1402字 お気に入り:0人
*FloweyとCharaがとても仲良しです**キャラ崩壊注意**僕→Chara ボク→Flowey*個々のところ、何だかとても暖かい。多分、春なんだ。金色の花 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
背伸び ※未完
作者:匿名さん ジャンル:Fate/Grand Order お題:煙草と喪失 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:636字 お気に入り:0人
「あ、」と、呟いた時にはもう遅かった。気紛れで盗んだ煙草の持ち主が、部屋の扉から顔を出したのだ。火をつけた煙草の先から煙がくゆり、焼け落ちた灰がわずかに手に落ち 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:名探偵コナン(夢) お題:有名な、と彼女は言った 必須要素:ドア 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1707字 お気に入り:0人
数年ぶりにかいた完全に心情吐露のようなものになります。ひどいかんじでごめんなさい!窓から見える夜景は悲しいくらい綺麗だった。遠くに見える水族館の観覧車はきらきら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:魔法少女サイト お題:名前も知らない昼食 制限時間:4時間 読者:73 人 文字数:1477字 お気に入り:0人
「はい、あーん」「ん、あーん」 要から差し出したものを口に含む。つい先刻、美炭が調理した際に確認した味が当然した。「ごしゅじんさま、おいしい?」「……ああ、おい 〈続きを読む〉