ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:来年の別れ 制限時間:30分 読者:128 人 文字数:1462字 お気に入り:0人
[削除]

居酒屋にて【あつトド】


「ニートやめようと思って」
 トド松はそんな台詞を吐いてビールをあおった。カウンター席なので隣に座るトド松の喉仏がよく見える。それが何度か上下して止まった。ぽかんとする俺に、今日もいいスーツ着てるね、とトド松は何も考えずに言う。世の中にはわざとアヒル口にする女がいるが、トド松のこれは素なのだろう。トド松は俺には金をねだる時しか媚びてこない。媚びを生きるすべとしているトド松は基本的に、心を許した人間以外に素を曝け出すことはない。これはノロケである。
「就職するの?」
 一口だけ飲んだビールが俺の目の前に置かれている。できる限り平静を装ったつもりだ。
「そう。言っとくけど今度は喧嘩じゃないからね。兄さんたちとも関係は良好だし」
「じゃあなんで」
「あつしくんにお金出してもらうの、そろそろ申し訳ないなって」
「え、今まであれだけ躊躇なくせびってきてたのに?」
「うるさいな」
 それから一拍おいて、トド松は言いづらそうに言葉を漏らす。
「…………今までは、友達だったからさー…………」
 声がだんだん小さくなり、気恥ずかしそうに俺の顔から目をそらした。今までは友達だったから。それは俺たちの関係を示す言葉でもあった。「友達」が変わったことを示す言葉でもあった。自然と頬が緩まる。突き出すようにした上唇を舐めたいと思った。大衆向け居酒屋のカウンターでそんなことをしたらどうなるか分かりきっているので自制心で抑える。
「対等な関係でいたいんだよね、僕は」
 別に就職なんてしなくてもめいっぱい甘やかして何でも買ってあげるのに。俺だってトド松に何かおごるとき、言葉では嫌がるそぶりを見せるけれどいやだと思ったことは一度もないのに。そう思っているのは俺のほうだけで、あくまでトド松は恋人として隣に立ちたいという。そんなところもいじらしい。
「就職先に当てはあるの?」
「……」
 ビールをまた飲む。今度は底が見えるまできっちり飲んで、パネルで追加注文の操作をし始めた。あまり良い就職口は見つかっていないらしい。
「俺が人づてに良いところ紹介してもいいけど」
「いや、今回はあつしくんには頼らないから」
 対等でいるために、トド松は自分の中でルールを決めているらしかった。それならば俺が口出しできることではない。合コンの女の子を紹介した時のような気軽さは今回は通用しないらしい。それはそれで残念である。トド松が俺の範囲外で何かを選び決定してしまうというのはあまり面白くない。
 居酒屋の従業員がやってきて、トド松の席から空のビールを下げて新しいビールを置いた。その手があまりにも細くて顔を見ると、まだ大学生に見える若い女の子だった。胸も大きい。トド松のほうに向きなおると、トド松はしっかり胸を見てから「ありがとうございます」と従業員に愛想よく笑った。
「だから、ニートの僕とはお別れだよ、あつしくん」
「いつになることやら」
「……やれると思ってないでしょ?」
「まあ、やれたとして…高く見積もっても来年くらい?」
「今年中に就職してやるからな……」
 恨み言のように言うトド松が面白くて、思わず笑う。目の前のかわいらしい男は不服そうにしていたが、俺が笑うのをやめないでいると諦めてなんこつの唐揚げをつまみ出した。大衆向け居酒屋というのは得てしてうるさいので俺はそんなに好きではなかったが、トド松と行く居酒屋は好きだった。俺の笑い声が喧騒に掻き消える。
 もしも就職できたなら、トド松の望み通り割り勘で居酒屋に行こうと約束した。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:宿四暗刻 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:光の動揺 制限時間:30分 読者:84 人 文字数:2884字 お気に入り:0人
【おそカラ】-------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
Diva ※未完
作者:いろはな2450 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:とてつもない女 制限時間:30分 読者:83 人 文字数:1085字 お気に入り:0人
毎年恒例、イタリア全土のマフィアの幹部が顔を合わせるパーティーには、それぞれ最も上物の女を連れてくるのが仕来りだ。ある者は国一番の美女を、ある者は極東から連れ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宿四暗刻 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:東京の恋愛 制限時間:30分 読者:201 人 文字数:2914字 お気に入り:0人
【レスバス】-------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宿(やど)@裏 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:栄光の仕事 制限時間:30分 読者:131 人 文字数:2584字 お気に入り:0人
ショタドン(15くらい)×マフィくん(30くらい)------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宿(やど)@裏 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:勇敢な動揺 制限時間:30分 読者:199 人 文字数:2851字 お気に入り:0人
(おそカラ)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー いつかわかるだろうと先延ばしにしていることが、積もり積もって、いつの間にかわからないことだら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:紅禅@美術部員になりました ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:贖罪の銀行 制限時間:30分 読者:275 人 文字数:851字 お気に入り:0人
「どうしてカラ松は、こんな俺にも優しくしてくれるの」何時も通りの何分かの祈祷の後、隣にいたシスター――一松に尋ねられた。彼は少し前、この教会で働き始めたシスター 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:紅禅@美術部員になりました ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:どす黒い闇 制限時間:30分 読者:216 人 文字数:519字 お気に入り:0人
初めは純粋に、あいつのことが好きだった。あいつが好きだと感じるたびに、それだけで幸せだった。だけど、日に日に想いが募って、独りで抱え込むのが苦しくなった。眩しい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:mirai@創作とか妄想垢 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:名付けるならばそれは博物館 制限時間:30分 読者:217 人 文字数:1162字 お気に入り:0人
※チョロおそハロワに行って、面接失敗して、求人雑誌を眺めながらため息をつくもう何回目だろうか。家路を辿る足は重い。玄関の戸を開けただいまと呟く。靴は兄のものであ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:宿(やど)@裏 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:理想的な冥界 制限時間:30分 読者:282 人 文字数:2730字 お気に入り:0人
【ジェイカラ】------------------------------------------------------------------------- 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:依子 ジャンル:おそ松さん【腐向け】 お題:君と汁 制限時間:30分 読者:339 人 文字数:661字 お気に入り:0人
桃を買ってきたのだそうだ。ふくらかなたっぷりとした実にわずかに生えた薄いきんいろの毛は、旬はわずかに過ぎているものの、たしかにうまそうだと素直に思う。きっと持 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:アイドルマスターミリオンライブ お題:煙草と転職 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:400字 お気に入り:0人
「茜、ちょっといいか?」***「プロデューサーをやめることにしたんだ。いきなりでごめんな」プロちゃんはいつもは見せないような真面目な表情で茜ちゃんにそういった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:テニスの王子様 お題:光の霧 制限時間:1時間 読者:7 人 文字数:2423字 お気に入り:0人
光の霧3年生の修学旅行は、在校生が最も楽しみにしている行事だと言っても過言ではないだろう。氷帝学園の修学旅行は3年次の9月に行われ、行き先はヨーロッパ、オースト 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:弱虫ペダル 東巻東 お題:つらい貯金 必須要素:クリスマス爆破計画 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:343字 お気に入り:0人
オレは数ヵ月前に出来た彼女のためにコツコツと貯金をして、プレゼントを買うつもりだった。しかし、なんと数日前にこのオレがフラれてしまったのだ!そのきっかけは、オレ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:弱虫ペダル 東巻東 お題:免れた百合 必須要素:TOEFL 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:356字 お気に入り:0人
巻ちゃんは英五が得意だ。この間はTOELFで8割を取ったと言っていたな! そんな巻ちゃんがイギリスに留学することを聞いたのは出発の一週間前のことだった。いつもの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:寒い罪人 必須要素:時限爆弾 制限時間:2時間 読者:13 人 文字数:1433字 お気に入り:0人
これはとある冬のお話。私と魔理沙は炬燵に入ってのんびりとしていました。なんでもない、ただの1日。ついうとうととしてしまっていた時でした。突然けたたましい音が鼓膜 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:走る人々 必須要素:大道具さん 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:792字 お気に入り:0人
「今日はいい天気だねぇ」「お前、いつもそればっかだな」魔法の森の入り口近く。そこには謎の古道具屋があった。店主の名は森近霖之助。彼は一人で店を開き、生活している 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:黒い同性愛 必須要素:うへへ 制限時間:30分 読者:13 人 文字数:757字 お気に入り:0人
「すっずちゃ~ん♪いやわりぃね待たせちゃってさ!」「あはは、大丈夫、私も今来たところだから。」東龍学院高等部からほど近い喫茶店。私本居小鈴は、この子、河城にとり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:東方Project お題:地獄発言 必須要素:ゴルゴンゾーラ 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:769字 お気に入り:0人
ここは旧地獄。その旧地獄の奥。そこには地霊殿と呼ばれる館が立っていた。「はぁ、今日の晩御飯どうしようかしら」地霊殿の主、古明地さとりは呟いた。「昨日の残り物でい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:うちのトコでは お題:いわゆる曲 制限時間:1時間 読者:34 人 文字数:1501字 お気に入り:0人
上手くもなく、かといって悪目立ちするほどの下手さでもない、いたって平凡なリコーダーの音色にあくびが出る。こっそりしたつもりだったのだが、「眠いなら保健室に戻っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:ハイキュー!!【腐】 お題:宿命の成功 必須要素:800字以内 制限時間:1時間 読者:14 人 文字数:800字 お気に入り:0人
「俺、考ちゃんを愛するために生まれてきたんだと思う。」「…へ?」いつもおどけてばかりの恋人が急に真面目な顔をして言うから、おたまでカレーを掬った格好のままフリー 〈続きを読む〉