ジャンル:カルジュナ お題:神の小説合宿 制限時間:15分 読者:158 人 文字数:1539字 お気に入り:0人

【カルジュナ】転生なんて聞いてない

宿敵と戦おうと思っていたら老衰で死んでいた。

何を言っているか分からないと思うが、つまりはこれがカルナの前世のすべてだった。
人間として生を受け、神ではない父親と、そしてこちらも神ではない母親に育てられ、カルナは人間としての愛情を享受して生きた。青年になってからはそこかしこから賛美の言葉を貰ったが、その取り巻きの中に自分の魂を震わせるものは居なかった。
カルナは、自分が人間になったならばアルジュナとて人間になっていると確信していた。自分の生活圏内に居るかどうかは定かではなかったが、カルナが居る限りアルジュナも居る。そうしてこの窮屈な世で、どうにかして命を奪い合うのだと、そう信じていた。
が、現実とはカルナの予想を三回ほど捻り、反面教師で着地した。

そしてカルナは老衰で死ぬ直前、こう思った――次こそはアルジュナと出会い、あいつを殺す。

願いがかなったのか、はたまたこれも因果なのか。
気付いたときには、カルナは新生児室の天井を見つめていた。老衰で死んだ次は、赤子に逆戻り。タイムラグくらいは与えて欲しい、とは、さすがに思わなかった。記憶があるだけでも、カルナにとっては喜ばしいことであった。何故ならもう一度赤子をやり直せと言われた時に、前の記憶があると演技しやすいからだ。首も座っていない赤子が、いきなり流暢に話してしまったら、物の怪か天才か、それともドッキリかと両親は卒倒するだろう。
カルナはもちもちとした手を目の前にかざそうとして、失敗する。

またしても平凡な人間の両親の元に生まれたカルナは、両親のどちらにも似ぬ白い髪と水色の瞳、そして何よりアルジュナのことを考えていると赤く染まるというギミックを瞳に搭載していた。カルナはその自分に与えられたギミックに気付いたとき、アルジュナが生きているだろう、ということを確信に変えた。そうでなければ、と。

「……しかし……アルジュナを探さなければならないのか」

カルナは思い切り顔をしかめた。前回、つまり最初の転生ではアルジュナを待ち続けた上での老衰だった。あれでは最盛期の自分の姿では戦えない。人間の肉体は刻一刻と変容していくのだ。そして今、カルナはとうとう十六歳を数えようとしていた。高校一年生、そろそろアルジュナの居場所に見当を着けなければ、肉体の最盛期はすぐに過ぎ去ってしまうだろう。
自分からアルジュナのために動くというのも癇に障ったが、それよりもアルジュナは授かりの英雄と呼ばれた男であるのだから、人間に転生したとしてもカルナの耳に入るくらい輝いておけぐらいには思っていた。カルナの精神は外見年齢に些か引っ張られるようでもあったが、年齢以上に老成した視点のカルナは、いつも聞き分けが良すぎて両親に心配されていた。

「…………つまり、どう探すか」

探し物を見つけるのに探偵を目指す者が居るだろうか。それ以外、いや、もっと世界中を飛び回り効率的に人間を観察でき、あらゆる情報を収集できる場所に居なければ。
そう考えたカルナは、どこをどうして突き詰めたのか、独自の理論を展開し、SWAT所属にまでなっていた。
銃など弓に比べれば照準の合わせ方などとうてい安楽であるし、千里眼とは言わないけれども見識は衰えていないカルナは状況判断に長けていた。何より我慢強く、苦を耐え忍ぶことにも慣れていた。とすれば、カルナが軍隊に所属しようが秘密機関に所属しようが問題は無かったのだが――

「もしかして、また間違えたのか」

紛争地帯の真っ只中。スコープつきのスナイパーライフルを放り投げながら、カルナは言う。
集中砲火を浴びて、カルナの肉体が粉々になった。つまり、また、宿敵とは戦えずに死んだのであった。



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