ジャンル:アイドリッシュセブン お題:運命の暴走 制限時間:15分 読者:188 人 文字数:957字 お気に入り:0人

帰路の温もり

「うー……寒いなあ……」
「この季節は乾燥します。特に貴方は人一倍体調には注意してくださいよ、七瀬さん」
「わかってるってば」
 ぼぞりと呟いた言葉にもお小言が二倍三倍になって返ってくる。そんなことを思いながら、陸は隣に並んで歩く一織を視界の端で見ていた。一織と言えば自分の方を見る訳でもなく、白い吐息を漏らしながら帰路を歩いていた。マフラーと変装用にかけている太い縁の眼鏡の隙間、白い一織の頬が赤く染まっているのを陸は見逃さなかった。
「……えい」
 勢いづいているわけでもない、軽い気持ちで漏らしながら零した声と共に、陸は一織の頬に人差し指を突き立てた。
「……は?」
 そこでようやく、一織が足を止めて陸の方を見た。その視線は、伊達眼鏡の薄いレンズでは隠し切れないほど冷え切っていた。
「あっ、いや、なんとなく。ほら、一織のほっぺ、冷たそうだなあって」
「人の頬が冷えていれば一方的に触れてもいいという決まりがこの世の中にあるんですか」
「うっ……すみません……」
 冷たい視線よろしく一織は感情を一切灯そうとしない声色のまま、陸に早口に言った。もちろん、自分が全面的に悪いのはわかっているから、陸はがくりとうな垂れて謝罪の言葉を述べた。
「……全く」
 そう言って、一織は陸より一歩先を歩き始める。
「あっ、待って」
 陸は慌てて一織を追いかける。が、早足の一織はすたすたと歩いて自動販売機の前に立った。
「へ?」
 そして一織は振り向いて、陸に向かって何かを投げた。陸は反射的に手を伸ばして、それを受け止めた。冷気を帯びても熱を灯すそれは、ホットココアの缶だった。
「わっ、あつっ」
 それを認識した途端、陸は思わず上ずった声を上げた。
「慌ただしい人だな」
 またお小言か、と思って陸は視線をココアの缶から一織に向ける。自動販売機の中途半端な光を背後に立つ一織の姿は少しだけぼやけて見えた。きっと、その顔に浮かぶ表情も半端な光の反射でそう見えるだけではないと思いながら、陸は両手でホットココアを握り一織に向かって走った。
「一織! ありがとう!」
「走らなくてもいいですし、大声をあげなくてもいいですから。ほら、早く帰りましょう」
「うん!」
 寒空の下、二人はまた隣同士並んで寮までの道のりを歩いた。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:あさか ジャンル:アイドリッシュセブン お題:とびだせお天気雨 制限時間:15分 読者:138 人 文字数:285字 お気に入り:0人
物語において、雨に濡れるというシチュエーションは多くの場合絶望的な状況の演出に用いられる。紡が観ていた八乙女楽の出演するドラマも同様だった。八乙女の演じる主人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:はやと ジャンル:アイドリッシュセブン お題:たった一つの愛人 制限時間:15分 読者:248 人 文字数:397字 お気に入り:0人
僕の尊敬する叔父は、逢坂家ではとても嫌われていた。だから、あることないことを親戚たちが周りに噂して、叔父の名誉を傷つけていた。「あいつは脱税している」「大馬鹿者 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:西園寺燐@萌爆弾魔 ジャンル:アイドリッシュセブン お題:どす黒い関係 制限時間:15分 読者:1083 人 文字数:937字 お気に入り:0人
ブラックオアホワイトも終わり、年が明けた。TRIGGERから勝利をもぎ取ったアイドリッシュセブンは新たな道を突き進むことになった。アイドリッシュセブン、センター 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:アイドリッシュセブン お題:小説のプロポーズ 制限時間:15分 読者:400 人 文字数:522字 お気に入り:0人
ずっと言いたい言葉があった。 けれど意気地なしな僕はそれがなかなか言えなかった。 ――僕と結婚してください。 たったその一言が言えずに、彼女と七年間の時間を共 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
かわいいひと ※未完
作者:匿名さん ジャンル:アイドリッシュセブン お題:高い悪人 制限時間:15分 読者:330 人 文字数:586字 お気に入り:0人
いつもは僕が待つのだけど、今日は違った。一織くんは僕が出会ってきた中で初めてのタイプだった。僕より待ち合わせ時間には早く居て、僕が思っていても言えないことを彼は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:23世紀の天下の怪盗様の嫁(確定) ジャンル:アイドリッシュセブン お題:天才の境界 制限時間:15分 読者:524 人 文字数:1384字 お気に入り:0人
その少年を見た時。きっと彼は神から与えられた存在なのだろう、と何とも呑気なことを考えてしまったことを、ふと、思い出した。「……オフの時でもさ」 薄い唇が小さく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:限りなく透明に近い部屋 制限時間:30分 読者:62 人 文字数:1199字 お気に入り:0人
「えー!コラボ!?」驚きの声が各所で上がる。番組の企画ではなく、コラボなんて初めての事だ。その驚きには当然、喜びも含まれている。「したら、リスポん時みてーにミツ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:許されざる汗 制限時間:30分 読者:45 人 文字数:1347字 お気に入り:0人
恐れを知らないってことは、本当に怖いことだ。そんな当然のことにすら気づかないまま、日々を過ごしていた。ある日目の前にドンと置かれた恐怖に、立ちすくむまでは。「さ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:日本略奪 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:1388字 お気に入り:0人
こんなに、魅力的なものをいくつも持っていながら、ひけらかすこともせず、ただ自然にあろうとする。それを捻じ曲げてしまったことを知っているから、後ろめたさがあった。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:まき ジャンル:アイドリッシュセブン お題:真実の豪雪 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:1485字 お気に入り:0人
幼い頃の、希望の光。きらきらと光っていたのは、憧れの思い。そして、輝かせてくれたのは。「…えへへ。」「どうしたの、いきなり。」「いや、つい。嬉しくって。」オレの 〈続きを読む〉

桃月はドリフェスですの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:ぐふふ、逃亡犯 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:943字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。 事務所の屋上に奏は立っていた。「風が気持ちいいー!」 そう言って、屋上の床に倒れ込んで空を見上げた。青空に風が吹いて、白い雲が早く流れてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:最後の犯人 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1086字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。「へ?」「お?」 食堂にやってきた遙人が見つけたのは厨房の中にいる純哉だった。遙人が来たことに気付いた純哉は目をまん丸く開いて遙人の方を見て 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:茶色い雑草 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:914字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。「ありがとうございました」 本日もドラマの撮影が入ってた慎は、自分のシーンを撮り終えて頭を下げた。「お疲れ様、慎くん。昨日の公演の後だったけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:かっこいい恨み 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1059字 お気に入り:0人
武道館翌日。「黒石さん、今日はお疲れ様でした」「ありがとうございました」 取材を終えた勇人はスタッフに一礼して楽屋から出る。今頃圭吾も取材が終わって事務所に向 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:かっこいい恨み 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:887字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。「おい、圭吾じゃねえか」 タケシが声をかけたのは学ラン姿――ではなく、事務所ジャケットを羽織った圭吾の姿だった。「ああ」「どうしたんだ、黒石 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:死にかけの検察官 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:957字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。「昨日は武道館でのステージでしたが、いかがでしたか?」「すごく素敵な光景を見せてもらいました。あの場所に立てて、本当に幸せです」 いつきはイ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:免れた目 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:993字 お気に入り:0人
武道館公演の翌日。「ふふーんふん、ふふーふー、ふんふーふーん」 鼻歌交じりに千弦が事務所の廊下を歩く。その姿に気付いたのは、「何歌ってんだよ、チヅ」「あっ、ユ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
小さな花火 ※未完
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:俺と感覚 制限時間:15分 読者:63 人 文字数:1102字 お気に入り:0人
「夏といえばー! 佐々木純哉ー!」 そんな千弦の掛け声と同時に打ち上げ花火がぽん、と音を立てて夜空に広がった。「……え、何その掛け声」「えー、ユヅ知らないの? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:茶色い妻 制限時間:15分 読者:84 人 文字数:1257字 お気に入り:0人
「みんな、こんにちはー!」「こんにちはー!」 ステージ上で純哉が挨拶をすれば、客席に集まった子どもたちから元気な声が返って来る。 晴天のデパートの屋上ステージ。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:桃月はドリフェスです ジャンル:ドリフェス! お題:冷たいいたずら 制限時間:15分 読者:117 人 文字数:1335字 お気に入り:1人
はじめて見つけた色は、きっと淡い紫色だった。幼いころに一番近くで見つけた、きらきらとした鮮やかな色。ただ仲の良い友達だけでは収まらない関係。誰よりも負けたくな 〈続きを読む〉