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ありふれた帰り道(7話トド松)

 居酒屋の廊下は適度に暗かった。並ぶ個室の障子からは、どこも楽しげな雰囲気が漂い出ているように感じる。
 ボクはいつも通りの歩調でレジの前を通り抜け、店を出た。会計のことは考えなくていい。今日の合コンの金はおそ松兄さん持ちだ。
 居酒屋の入ったビルの古いエレベーターは一機しかなくて、不便だなといつも思うんだけど今日もやっぱりそう思った。
 猫の額ほどしかない広さのエレベーターホールで階数表示の明かりを見上げる。呼び出しボタンを押してずいぶん経つのに、ふたつ上の階からびたいち動かない。酔っぱらいが何かやらかしたのか。
 ボクは非常階段に続く重いドアを押し開けた。しょうがないなって、諦めて。
 いつからか、ボクの頭のなかにはふたりの自分がいる。ふたりで役割分担して、ぎっこんばったんとシーソーのごとく駆け引きしながらバランスを取ることで、松野トド松を運営していた。
 今日のふたりはこうだ。感情的になりながら必死で踏み止まろうとしている自分と、奇妙に無感動で冷静な自分。
 そのうちのひとり、冷静なほうのボクはうすらぼんやりと家に残してきた兄さんたちのことを考えていた。
 合コンに連れていかなかったこと、今ごろ怒ってるかな。金づるに選ばれたおそ松兄さんにも文句を言ってたりすんのかな。どうだろ、めちゃくちゃありそうだけど分かんねーな。案外もうけろっとしてるかも。もしかして童貞喪失を心配……、いや絶対どうせできっこないってたかくくってんな。おそ松兄さんいるし。
 階段を降りてビルの外に出ると、ひやりとした夜風が頬を打つ。すっかりできあがったサラリーマンが陽気に騒ぐ声が複数箇所で上がっていた。
 すぐにうちへ帰れる気がしないなと思う。
 視線を落とした。感情的になりかかっているほうの自分が合コン中の健闘を自画自賛する。今は前を向けない。それなのに足を止めないでいるのがなんだか不思議だ。
 どこに向かってるんだろう。
 ネオン輝く繁華街でもアスファルトに覆われた道は黒々と夜の底にあった。どんな光をあてても同じだよ、なんてメッセージに感じる。
 どんなスパンコールで飾っても、どんなにライトをあてても、自分の目からどんな輝きを放っているように見えたとしても、同じだよ。変えられない。
 ボクはどこへ行こう。
 松野家末弟、松野トド松、トッティ。
 頭のなかのふたりが口をそろえて宣言した。トッティはトッティが大好きだよ。まず声がいいとか、いい子とか、かわいいとか。一瞬たりとも途切れることなく続く。
 うん、そう思うよ。ボクはそう思う。
 酔っぱらいの群れを上手に避けて大股で歩く。顔を上げる。背筋を伸ばす。
 ひとつだけ、揺るぎなく確かなことがあった。
 帰る場所は決めている。
 それがいいことなのか悪いことなのか、もうずっと考えないようにしているんだけど。
 ボクは家路を行く。

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