ジャンル:カルジュナ お題:つらい視力 制限時間:15分 読者:266 人 文字数:1522字 お気に入り:0人

【カルジュナ】転生なんて聞いてない4

アイドルになっても死んでしまうとは情けない。
しかしカルナは学んだ。人間は弱いのである。英霊とは全く別物なのだ。つまり、死ぬときは死ぬ。それだけの事である。

「しかしワイヤーが切れてはどうしようもない」

小学校に上がってすぐに作ってもらった図書館の貸し出しカードをフルに使い、自分が覚えている年代の新聞を読み漁ってみても、自分の訃報は見つからなかった。前回前々回ぐらいは死んだときのことが新聞の隅にでも掲載されていようものだったが、インターネットに接続してそれらしき語彙を検索しても見当たらなかった。
つまり、ここは全ての世界線に繋がっていない場所である。カルナはそう結論付けた。
それぞれから独立してしまった世界では、今までのやり方をなぞっても、同じようにいくかは分からない。現に、カルナは今までの同じような両親の元に生まれていたが、年号や西暦もすべてデタラメのように共通点が無かった。
俳優もアイドルもダメだったとなると、どうすれば良いのだろうか。アルジュナが見つけられそうなくらいに目立ち、なおかつ、今度こそ死なないものでなければならない。カルナは首を捻って考えたが、連日の情報過多な日常において、取捨選択をするにはあまりにカルナのCPUは不十分だった。ネットリテラシーも学んでは来たが、そこは生来の性格ともいえよう部分である。手先は器用だが口は立たない。いつかのカルデアでは、アルジュナが大根を桂剥きする横で、生のままの花形人参を齧っていたような男であった。

「やはりアルジュナに見つけられるのが最短な気がするな」

前回のアイドル路線は、町中で出会ったジークフリートに頼まれたからこそ生まれた道順である。終着点は未定だったが、途中駅から見える景色は中々に面白かったとカルナは記憶している。ドームだかホールだかに所狭しと詰まった人間たちが、色とりどりの光を振り回す光景を、記憶の何処かで再生する。しかし、どれだけの人間がカルナに手を振ろうとも、それはアルジュナではないのだ。アルジュナは決してカルナに手を振ったりはしないし、うちわを掲げたりはしない。
とうとうこの世界でも十五歳になろうとしているカルナは、ぼんやりとしながら街中を歩いていたが、ふと顔を上げた。そこにはビルに据えられた巨大な液晶画面。この周囲一帯で一番の広告塔に流れる映像に、見知った顔があった。
女王メイヴ――アルジュナを一度でも従えたケルトの貴婦人。
映像は、時間にして一分足らず。その中で、メイヴは次々と衣装を変えて登場した。パリ・コレと呼ばれる、オートクチュールのファッションショー。その宣伝だった。

広告を見上げて立ち止まっていたカルナは、知らず人の目を引いていた。
今世でもやはり色の抜けた髪色に光をはじき返す肌色。男でありながらも細く、しかして密度のある骨組み。

ねぇ君、モデルやってみない?

そう声を掛けられ、カルナは生前のように、一二もなく頷いていた。

何を隠そう、モデルの仕事は楽だった。ウォーキングの練習は辟易したが、一度歩くだけで大量の写真が撮られ、全世界にばらまかれる。これならばアルジュナもどこかでカルナを見つけるだろう、と確信すらしていた。カルナはただ、いつかのアルジュナの便りを待っていた。待ち続けていた。来る日も来る日も、メールや郵便受けを何度もチェックし、ファンレターもアルジュナの名前を探してひっくり返した。

が、結局のところ、カルナは他人の作ったレールに乗っていたにすぎない。考えることを放棄しながら生きていたら、ある日家を出た瞬間にトラックに轢き殺された。
カルナは遠のく意識の中で、解せぬ、とだけ唱えておいた。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

梟光司の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:やば、宇宙 制限時間:15分 読者:58 人 文字数:1427字 お気に入り:0人
ゲリラライブも大盛況のうちに終了。メンバーのテンションも(主にアストルフォが)上がり調子。マネージャーが頭を抱えていても気にしない。何故なら皆、インディーズの苦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:やば、解散 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:1498字 お気に入り:0人
どうしたのさ、マスター。ん、怖い話だって?へぇ、後輩と一緒に百怪談ねぇ。そういうのが君の故郷にはあるの?じゃあゴーストを仕留めに行った話とか?え?そういうのじゃ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:早すぎた失踪 制限時間:15分 読者:81 人 文字数:1828字 お気に入り:0人
『すまない、分かってしまったんだが』 ジークがそう言うと、みんなが一斉にジークを見ました。それこそ、新体操なら満点が出るくらいに。小次郎はジークの肩をぐいっと掴 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:今日の妹 制限時間:30分 読者:50 人 文字数:1683字 お気に入り:0人
アルジュナは頭の良い子供だった。カルナが見知ってきた、どんな子供よりも。しかし、アルジュナは子供だからこそ、その言葉の重大さに気付いていなかったともいえる。例え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:春のエデン 制限時間:15分 読者:57 人 文字数:1821字 お気に入り:0人
「あぁ」 声が思ったよりも近い。アルジュナがそう思って振り向くと、十五センチメートルの定規よりも近い場所にカルナの瞳がある。咄嗟に後退ろうと足を引くが、実習机に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:重い顔 制限時間:30分 読者:86 人 文字数:1686字 お気に入り:0人
ひときわ大きなガラス窓の前で降りしきる雪を眺めているアルジュナの横顔は、まるでそこが世界の終わりのように静かだった。カルデアでは、電力を魔力として代用している。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:静かなお天気雨 制限時間:15分 読者:82 人 文字数:1151字 お気に入り:1人
思えば、こんなレイシフト場面は今までにも少なくなかった。天候は雷雨。視界は不良。足場は崩れやすく、敵は魔獣たち。しかし今回はどうにも運が悪かったと言わざるをえな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:コーヒーと料理 制限時間:15分 読者:120 人 文字数:1561字 お気に入り:0人
それは風のように、または嵐のようにカルデア内を駆け巡る。或る者は一笑に伏し、或る者は首を傾げた。果てはまたも登場人物の少女が言う。『彼を最も愛する人が、彼の一 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:遠いふわふわ 制限時間:30分 読者:79 人 文字数:3315字 お気に入り:0人
放課後、三人は短大の本棟入り口で、ネロの言う「迎え」を待っていた。孔明もアルジュナから声をかけたのだが「忙しい」とけんもほろろに突っ返された。確かに孔明はアルジ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:ナウい映画 制限時間:15分 読者:131 人 文字数:1477字 お気に入り:0人
私とカルナはアジトにしている隠れ家たちを闇夜に紛れて襲撃し、その都度に部下を開放して回った。皆、ある程度は人権を守られていたようで、私は密やかに安堵の溜め息を 〈続きを読む〉