ジャンル:青の祓魔師 お題:明日の逃亡犯 必須要素:個室 制限時間:4時間 読者:133 人 文字数:1271字 お気に入り:0人

【しますぐ】明日の理容室

見開きSS (800~1000字程度)

勝呂は散髪されている間、困った顔で鏡を見つめていた。
どう考えても自分しか映っていない。
「あたし?ご覧の通り、妖怪さね。髪切ってえ呼ばれている種類で、お江戸のころくらいには店を開いていたさね」
理容師はややべらんめえ調で自己紹介をする。
「悪魔ではないんですか」
「人間側で好きに分類するといいよ。ただし、あたしあ、妖怪って響きが気に入っている。あんたは妖怪見ても祓魔だ何だって言い出さないね。たまにそういうお客さんが来ると、用心棒呼んでいるんだけれど」
 取り乱さないのは、勝呂も、鋏で頭をいじっている者に反撃されるほうが余程恐ろしいからである。店も遅い時間のためほぼ貸切状態である。その状況で用心棒とやらも出てきたら絶対的に不利である。友好的になれそうな相手ならなるにこしたことはないと勝呂は踏む。
「何だって妖怪が店出すことにしはったんですか」
「髪を切るのがひたすら好きだったからさね。若い頃は通り魔みたいに切って脅かすだけだったけど、店を構えればずっと髪を切っていられるじゃないか、てある日気付いてね。誤解がないように言っておくけどね、髪を食べやしないよ。切るのが好きなだけ」
 なら余計に害はないか、と勝呂は首を妖怪理容師に預けたままにする。それに、腕も悪くない。
「会員割引とかあるんえすか。刈上げにすると、結構頻繁に手入れせんといかんから頼みたいんですが」
「あら、リピーター予定?それは嬉しいわ」
 それ以上は言わずに、はいお終い、と理容師は仕上げを整えた。それから、店の外まで勝呂を見送りに出る。
 勝呂の背が消えた後、ビルとビルの挟間に理容師は声をかける。
「学割とか、リピーター割っていいうの、いいと思うの。でも無理なんでしょ?」
 物分りがええんならなんもしませんよ、と挟間の暗闇から志摩の声がする。シャリンと錫杖が揺れる音がする。
「いいわよ、一回でも上方のいいとこの坊ちゃんの御髪を触れたんだから。それに、お店の引越しなんて慣れたものよ」
 ただし、と理容師はビルの挟間に踏み込む。口が耳まで避けた妖怪は、志摩の鼻先に顔を近づける。
「あの子の次のお店を貴方が斡旋したら、ちょっと許しにくいさね」
「力の差が圧倒的な相手を脅しても、意味ないんとちゃいます?」
 人間も妖怪も、力だけでものごと決めるもんじゃないでしょう、と理容師は大きな口で笑う。
「妖怪だってね、嫉妬で動くこともあんのよ」
 捨て台詞を最後に、妖怪は姿を消す。同時に、テナントからも灯りが消える。
「ほんま面倒くさいわ」
 誰が?悪魔が?あの子が?それとも、自分が?
 姿のない理容師の声が路地裏に響く。振り切るように、志摩はまたシャリンと錫杖を鳴らした。

-----------------------------------------------------------------------------
作者コメント:黒髪すぐろくんの刈上げケア。これでもしますぐ。です。と言い切る。

同じジャンルの似た条件の即興二次小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:青の祓魔師 お題:明日の失踪 制限時間:4時間 読者:593 人 文字数:3150字 お気に入り:0人
時間がねェ、時間がねェ! まったくあのクソ上司め、何が「任務が終わったらゆっくり南の島でバカンスをどうぞ☆」だ。こんな所で誰がゆっくりできるか! 日も落ちた暗 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:青の祓魔師 お題:茶色い天才 制限時間:4時間 読者:581 人 文字数:981字 お気に入り:0人
茶色。 茶色(ちゃいろ)は、色の一つで、栗の実のような色。黄と赤と黒の中間色でもある。茶を染料として使った時に出る色に由来する。化学の世界や、他の色と対比した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:青の祓魔師 お題:経験のない失望 制限時間:4時間 読者:610 人 文字数:616字 お気に入り:0人
俺は、これまでの人生ではどちらかというと期待されるより、初めからあてにされないほうだ。唯一アテにされることと言えばご飯と洗濯くらい。その他は初めから期待してませ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:みゃま@兄さんが足りない。 ジャンル:青の祓魔師 お題:トカゲのボーイ 必須要素:大阪 制限時間:4時間 読者:552 人 文字数:2429字 お気に入り:0人
その少年は、ひたりと影から影へと移動し、夏の酷暑からその身を守るように日陰の小道を悠然と歩き、影が途切れれば仕方ないとばかりに早足で次の日陰へと移動する。 ま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:みゃま@兄さんが足りない。 ジャンル:青の祓魔師 お題:突然の誰か 必須要素:1200字以内 制限時間:4時間 読者:491 人 文字数:786字 お気に入り:0人
何事も、物事の起こりは本人の予想もつかないところで起きる物だ。 例え休日の朝だろうが、トイレに一人籠城し呻いている最中だろうが、午前零時の締切間際だろうが、い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん ジャンル:青の祓魔師 お題:幸福な夕方 必須要素:吾輩は猫である 制限時間:4時間 読者:999 人 文字数:2397字 お気に入り:0人
吾輩は猫である、名前はクロ。……なんてえっへんと胸を張って言うクロを見下ろした後、燐は小さく吹き出し何の真似だよそれはとわしゃわしゃ彼の小さな頭を撫でた。それに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:みゃま@兄さんが足りない。 ジャンル:青の祓魔師 お題:アルパカのロボット 必須要素:セ○クス 制限時間:4時間 読者:568 人 文字数:1932字 お気に入り:0人
青祓、腐向け雪燐。必須要素セ○クスの為、若干?温めのR-18 下ネタ的何か それでもよければどぞ☟「ゆきお~どうしたんだ腰いてーのか?」「う・・・うん、ちょっ 〈続きを読む〉

しろべえの即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:しろべえ ジャンル:青の祓魔師 お題:傷だらけの宗教 制限時間:4時間 読者:147 人 文字数:1212字 お気に入り:0人
見開きSS 大人しますぐ(付き合ってる)の結構なシリアス 何にでも生真面目な勝呂が、無資格でボランティアをしていることを志摩は知っている。看取りの仕事である。明 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろべえ ジャンル:青の祓魔師 お題:明日の逃亡犯 必須要素:個室 制限時間:4時間 読者:133 人 文字数:1271字 お気に入り:0人
見開きSS (800~1000字程度)勝呂は散髪されている間、困った顔で鏡を見つめていた。どう考えても自分しか映っていない。「あたし?ご覧の通り、妖怪さね。髪切 〈続きを読む〉