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【服飾パロ】アルジュナ単独√

「アルジュナ」

寒波を耐える、水仙のような凛々しさを持つ声。その声の主をアルジュナは知っている。

「はい、どうされましたか」

アルジュナが振り向いた先に居た、菫色の髪色を揺らす女性。今世でもナイチンゲールと呼ばれている彼女がアルジュナを呼び止めたのだ。

「孔明先生が、すぐに研究室へ来るようにと」
「私だけですか?」
「いえ、もう一人おりますが、先に研究室前へ」

そうですか、とアルジュナは返し、ナイチンゲールと共に廊下を歩く。ナイチンゲールはこの短大にて特殊服を専攻する学生であり、アルジュナはモデル専攻である身だ。互いの分野が違えば交流も無きに等しいが、この二人には「前世の記憶がある」――いや、「英霊としての記憶がある」という共通点があった。その共通点を持ち、密かに情報共有をする間柄であるのが、この二人。そしてもう一人。

「まぁ! 最後の一人とはあなたね、アルジュナ!」

英霊の時では男性を呼び捨てにはしなかっただろうマリーが、廊下の先で上品に手を振ってくる。アルジュナはそれに目礼で返し、研究室前まで歩み寄った。

「この三人が呼ばれたのですか?」
「えぇ、詳しくは准教授より」

エルメロイ教室、と書かれたプレートが揺れる扉をノックすれば、すぐに「入れ」という声が響いてくる。テノールが響く、艶のある声だった。
アルジュナがまず入り、それにナイチンゲールとマリーが続く。

「お呼びに預かりました、アルジュナです」
「ナイチンゲールです」
「マリーです」
「あぁ、突然呼び出してすまなかった。君たちには、少し頼まれて欲しいことがある」
「私たちにできることであれば」

アルジュナの返答に、二人も頷く。その反応を見て、エルメロイ教室の――孔明が、口を開いた。

「近々、この敷地内にある兄弟校、専門学校へ学生を出張させることになっている。これは毎年、あちらの学生ファッションショーが秋に行われることによるもので、こちらの短大は代々そのモデルを提供することになっている。今年はあちらも粒ぞろいで、下手な学生をもらいたくないと直々にモデルや交換学生を指定してきた。それが君たち三名だ」
「一つ不思議に思っていることなのですが、交換学生ならば、向こうからも学生がこちらに?」
「いや、それは無い。本来は学生を三名ずつで交換するのだが、ここ数年は形骸化しており、あちらに覇権を奪われてしまっている以上、こちらから学生を出すのみだ」

生贄ですわね、とマリーが楽しそうに言うと、孔明が眉間の皺を深くする。何か思うところがあるのだろうか。
しかし孔明は手元の葉巻の葉先を落ち着いて切り落とし、手元のライターでもったいぶるように火をつけた。アルジュナはそのしぐさに見覚えがある。記憶の中のカルデアで、彼が――諸葛孔明の頭脳を借りた彼が行う、思考の沼へ立った証拠。

「君たち三名を指定してきた――この意味が分かるか?」

三人は無言で頷いた。
この三人であることに、意味があるというのならそれはこの記憶からくるものに他ならない。
英霊としての記憶、尊厳、威風を失わず、人間としての生活に風化しない魂。孔明は三人の瞳を順に眺め、それから口を開いた。

「現代身体学准教授、エルメロイⅡ世教室の三名。モデル専攻アルジュナ、特殊服専攻ナイチンゲール、オートクチュール専攻マリー。君たちに、専門学校へ侵入し、この特異点の基盤を探ることを命じる」





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