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妖精・オア・傭兵 ※未完

 わんわんわんわんわんわんわんわん! あちらこちらから鳴き声が響いている。
「もーなにこれわ!」
 ティンクは目をごしごし擦りながら靴下(ベッド)から出た。そこはペットショップだった。
「は? は?」
 ティンクは売られたのだった。

 時は遡り――
 討伐隊一行はコロシアムに来ていた。ゴブリンの小隊やスライムやオーガーといった伏兵が身を潜め、そしてガーゴイルが長として陣取るコロシアム。そこを討つために訪れ、事実魔物たちの討伐は完了したのだが、ひとつ変わった存在が一行を困らせていた。
「金をくれるなら仲間になってやってもいいが……どうだ」
 そういう男は、クロウ。なぜか魔物たちの味方をしていた人間だった。しかもテミの生き別れの兄だという。
「まずあんたの素性を知りたいのだけど? なぜ魔物の回復をしていたの? なぜ私たちに攻撃してきたの?」そうマゼンダ。
「そうです、そうですお兄様! いったい私がどれだけ心配したか……どうしていなくなってしまったのですか! いままでどうしていたのですか!」テミもまたまくしたてる。
 クロウはひとつ溜息をついて首を振った。どうなんですか、と詰め寄るテミには、目も合わせない。
「で、どうなんだ。金がないのなら、さっさと俺を斬るか、見逃すかしてくれ」
 命乞いともとれないその口調は、ぶっきらぼうにコロシアムの戦場に流れる。自分のことを話すつもりはない、ということだろう。
 ブロントは唸った。ブロントはこの隊の隊長だ。最終的な決定は彼がくださなければならない。王国への反逆とみなしてここで処刑してもいい、しかし妹のテミが反対するだろう。それに討伐隊は人員不足だ、隊員と対等にやり合ったクロウは、戦力としても喉から手が出るほど欲しい。
 しかし、金はない。
「よし、仲間にしてやろう。だが金はない」ブロントは正直に言った。
「金がないのならこの話は無しだ。俺はお前たちを斬って逃げる」
「そんな! お兄様!」
 埒が明かない。
 その様子を、他の隊員も心配そうに窺っている。リンの肩に乗っているティンクが、ふぁああとあくびをひとつした。
「後払いというのはどうだ? 魔王を討伐したその日には、国王から特別に褒賞をいただくよう言ってやろう」
「馬鹿か。傭兵に即金は常識だろう」
 クロウは自らを傭兵と言った。

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