ジャンル:おそ松さん お題:来年の殺人犯 制限時間:30分 読者:156 人 文字数:3210字 お気に入り:0人

何百年後の今でも⚠残酷描写、グロ?あり

凍えてしまうような夜だった。
赤い月が空に煌めき、霧の深い赤塚の街にひとつの影が怪しく動き回っていた。



しんぶんしっ!!

外からの冷気に身体を震わせ冷えきった冷たい廊下を裸足でピタピタと歩くおそ松がいた。
真っ暗な廊下は先の見えない不安が沸き立つが窓から入ってくる僅かな光は足元を照らし自らの道筋を示してくれているようで少しばかりの安息を得ることが出来ていた。
パジャマだけでは心もとないと思い羽織ってきた毛布をしっかりと羽織りなおし便所へと向かう足を早める。

トイレのヒヤリとするドアノブに手をかけた時、甘い匂いが鼻をくすぐった。食欲を煽るようなその匂いに涎が溢れおそ松の頭の中は匂いのことで一杯になっていた。
匂いの元へとふらりふらりと靴も履かずに歩いていく。廊下に落とした毛布に目もくれずガラリと玄関を開き夜の道を危うげな足取りで歩いてゆく。裸足であるために道に落ちている様々なので擦り傷を作り、ついには尖った石で足を切りポタリポタリと血が道に落ちて行くが、気にした素振りも見せずに霧をかき分け路地裏に入っていく。
血の匂いにつられ、寝床から顔を出した野良猫やネズミはおそ松のあとを追い列を作る。奥へ奥へとゆくにつれあとに続く動物の数は増え続け百、二百と大きな集団へとなりおそ松とともに匂いの元へと向かっていた。
路地裏を抜け、町の端の空き地にたどり着いたおそ松たちは等間隔に並び何かを待っているかのようだったが、次第に後方に並んでいたものから街の方へと戻って行ってしまった。一時間もしないうちに空き地にはおそ松一人だけが立っていた。
おそ松の意識は匂いに浸かりぼんやりとしたものだったが急激に強くなっていく匂いに当てられ明確のものとなった。気づけば覚えのない外にいたおそ松は混乱し戸惑っていたが、暗闇の中にいる影に気づき固まってしまう。
息を潜め空き地から去ろうとしたところで、頼りだった月明かりが雲によって遮られ辺りは暗い闇に染まった。
暗くなったことにより、視界は宛にならずおそ松は目を閉じ深呼吸をする。深く息を吸うと強い匂いが鼻を犯し肺を満たした、その強すぎる甘い匂いに思わず嘔吐く。音を出してしまったことに慌てて、手で口を覆った時には遅かった。
一層強くなった匂いに、目の前に感じるどろりとした気持ちの悪い気配。今までに感じたことがないほどのプレッシャーに押し潰されそうになりながらも何とか足を踏ん張り前を向き続けていたが頬に滑った冷たい感触に引きつった悲鳴を上げてしまい腰を抜かしてしまった。
強い風が吹き霧とともに流れていく雲に徐々に明るくなって行く空き地。
座りこんでしまったおそ松は目の前にいたものを見た。
月の光で顕となったものは人の形をしていた。
だが、血の気の引いた死人のような肌に黒い髪から覗く悪魔のように伸びた耳。
ニヤリと笑った口の中に見える鋭く尖った八重歯はそのものが人ではないことを表していた。
影が落ち、目元までは見ることは出来なかったが、古めかしい昔の貴族のような煌びやかな服やその特徴は、まるで映画や小説なんかに出てくるようなヴァンパイアのようだと現実逃避をしていたおそ松であったが、肩に置かれた手によって否応なしに現実に戻されてしまった。
頭を掴まれ晒された首筋に吹きかけられた息は酷く甘ったるかった。脳内をぐるぐるかき混ぜられるような感覚に陥り、薄れていく意識のなかで、いただきますという声が確かに聞こえてきたのだ。



痛みを訴える皮膚によって目を覚ましたおそ松は混濁する意識のなかで頭上に輝く太陽に気づくと大きな悲鳴をあげ近くの影に駆け込んだ。どっと溢れた汗を拭いながらほっと息をついたおそ松は背中についていた砂を払い落としつつ、家に帰ろうと日の元に出ようとした。
しかし、頭の中に響き渡る警告の音。どうしてだか怖いのだ。光に、それも真昼間の日の光に身を晒すことが。
何故。疑問に埋め尽くされる頭の中で先程の出来事がよぎる。
自分は、逃げていなかったか、太陽の元から。
顔に手を当てるとザラザラとした手触りが伝わってきた、まるで砂を触るような。
手を見れば、その手は、夜に見たあの手の色とそっくりでまさかとは思いながらも首筋に手を這わせると、塞がってはいるものの二個の小さな穴があったのだ。
思い出すのは、いただきますという声。
そんな、想像上のものでしか無かったはずではないのか。
受け入れ難い事実に、手が震え息が荒くなりヒュッヒュッと断続的な呼吸になる。
ザワザワとした喧騒が耳に入りばっと顔をあげればいつの間にか周りに人だかりができていた。思えば自分の格好は寝巻きのままで裸足、そのうえ様子がおかしいのだから仕方がないと言えるのだろう。
おそ松は、日の光に当たらないようにその場から逃げ出した。



光の入ってこない薄暗い路地の中で座り込んでいたおそ松は懐かしい匂いにつられ顔をあげた。猫背気味のボサボサ頭、一松だ。いつもは眠たげに伏せられた目は驚きに見開かれ手に持っていたレジ袋を投げ出しこちらに駆け寄ってくる。
不安の中ひとりきりだったおそ松は張り詰めていた糸が切れ、弟の姿に声を上げて泣いた。



一松に傘を持ってきてもらい、何とか家に帰ることが出来たおそ松は家族が揃う居間へと向かった。
心配そうな視線を受け、また泣きそうになったがぐいっと飲み込み席につく。
来る途中に一松から聞いたが、自分は一週間ほどいなくなっていたそうなのだ。
そのあいだに体が作り替えられこんな体になってしまったのではないかと考えてはいるが、自分が人ではなくなってしまったことを受け入れてくれるだろうかと、話すことを躊躇っていたおそ松であったが、声をかけられ松代の方を見れば安心したように笑っていた。
帰ってきてよかったって、おそ松はぽつりぽつりと自分の身に起きた出来事を話していった。



話終わったあと、とりあえずお風呂はいってきなさいと言われ風呂に浸かっていたおそ松は美味しそうな匂いを嗅ぎとった。
不思議に思いつつ、間に合わせで渡された寝巻きに着替え居間へと戻ると、そこは真っ赤に染まっていた。
手や足などが至る所に落ちていた。五体満足である家族は一人としていなかった。
しかし息はあるようで苦しそうな声が聞こえた。机は障子を突き破り玄関に転がっていた。
代わりに部屋の真ん中にいたのは血だらけのもの。先日、おそ松を襲ったヴァンパイアだった。
それは、おそ松に気づくとニヤニヤと笑いながら言ったのだ。

お前も飲むのか?

腹の底が煮えたぎるような怒りに襲われた。ふざけるなと。おれを異形のものにしただけでは飽き足らず家族にまで手を出したヴァンパイアにおそ松は殴りかかった。
殴りかかって来るとは思ってみなかったのかおそ松の拳を受けたヴァンパイアは後に吹っ飛んだ。起き上がってくる前に馬乗りになり首に手をかける。
万力の力を込め殺そうとするが腹に衝撃を受けゴロゴロと床を転がる。
腹が破られてしまうような痛みに腹を抱えて蹲ると、さらなる追撃を受け腕が折れた。
胸元を掴まれ体を持ち上げられた。そして床に叩きつけられ部屋の端に蹴り飛ばされたおそ松は自分に背を向けて、家族の血を吸おうとし始めるそいつに飛びかかり首を食いちぎった。
何度も何度も殴り、肉片へと変えていく。
呻き声を聞き家族のことを思い出す。
ヴァンパイアの手を放り投げ駆け寄ると、死にかけだった。おそ松は、迷いながらも家族の首に牙を立てた。



ヴァンパイアの肉片は袋に詰め、日の出の時間に合わせて外に広げた。
影の中から見ていると日に当たった肉片はサラサラと砂に変わった。
憎しみを込めてトイレに流してやった。



光の当たらぬ影の中、今でもおれ達はみんなで暮らしてる。

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