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贖罪

恐怖が具現化して町を彷徨い歩き回っていた夏休みがもうすぐ終わる。もう一回やり直せるならばもう一回恐怖が目覚める前に戻れるならば悪夢に喜んで身を投じよう。

何も出来なかった。何もしてあげられなかった。助けられた命をこの手で救いあげられるならば夢中になって暗がり飛び込もう。

幾度も願い神に請うた歪な夢を見た。号泣する空の下、無邪気に紙の船を追い掛ける愛しい黄色い影。楽しげに笑いながら追いかけ追いかけ気付けばあの忌まわしい下水道。はじめこそ警戒していたのに四つん這いになって暗がりを覗き込む黄色の影。一歩下がったところで佇んでいた足が速度を上げる。小さな腕が暗がりに伸ばされ、それを掴もうと伸ばした腕が黄色の影と重なり――変わりに腕を食い千切られた。
鮮烈な痛みが視界を赤く染める。痛さで後退れば後ろから心配そうに気遣うものの戸惑う愛しい声。
「ビル?」
横目で見遣る。黄色の影は右腕は欠けていない。今し方起きたことが信じられず狼狽えだす黄色の影に向かって叫んだ。あらん限り、喉が切れても構うものか。
「逃げろォオオオ!!!」
一瞬肩をビクつかせたが、一目散で逃げる黄色い影に安堵の息が漏れる。血が止まらない止まる気配のない右腕があった場所を押さえ微笑む。下水道から覗く金色の眼光を見て鼻で笑ってやった。痛くて痛くて声が我慢できず喘ぎ声が零れようが構わない。大した問題じゃない。
如何だ、これで、ジョージ、は。

そこで目が覚めた。

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