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【モ+ジュ】よろしくお姫様!

その日、アルジュナの機嫌は悪かった。
ドレスの修正のために試着をして欲しい、という旨は前々から聞いていたし、試着自体は早々と終わった。あとは縫製の修正待ちのみというわけなのだが、この修正こそが鬼門だった。では私はこれでと去ろうとするも、カルナに呼び止められて財布を握らされ(もちろん、これはカルナのものだ)、学生食堂で茶でも飲みながら待っていてくれと言われたのだ。
はぁ?とアルジュナが言うよりも早く縫製室の中は修正のための呼名が飛び交う戦場となり、アルジュナは財布を返却するタイミングを逃したどころか、アルジュナ自身の荷物さえ人質にされて放り出されてしまったのだ。
とにかく、食堂で一番高い紅茶を注文し口に運んでいても苛立ちは抑えきれない。あの男、アルジュナを本当に理想のモデルだとしか思っていないのだ。
アルジュナがカップから口を離した瞬間、ガタン、と音を立ててテーブルの向かいへ腰を下ろす姿があった。

「よぅ、お姫様!」
「……人違いでは?」

その姿には見覚えがある。反逆の騎士――モードレッドだ。もっとも、アルジュナが余り積極的に話しかける相手ではなかったので、サーヴァント時代でも会話をした回数は少なかった。

「ンだよ、お前だろ?あの主席野郎のお姫様ってのはよ。それともアレか、マネキンか?トルソーか?ロボットか?」
「もはや人間でもなくなりましたね…」

アルジュナは分かりやすく溜め息を吐いた。なるほど、このモードレッドにも記憶はなく、「人間」であるらしかった。

「ま、どうでもいいか。とにかくオレの服を着てくれよ。なんかお前、スッゲー話題じゃん?」
「先程から溢れる下賤な視線たちは貴方のお知り合いで?」
「馬鹿言え。声もかけられねぇような奴らと一緒にすんな」

学外のモデルであるアルジュナは目立つ。そもそもカルナが白昼堂々とアルジュナに告白まがいのことをしたせいで、アルジュナの顔と名前と「カルナのモデルである」ということは学内に知れ渡っている。それを興味本位か何かは知らないが、遠巻きに眺められるのは、いくら他者の視線に慣れているアルジュナとて、不快感を覚えずにはいられない。

「では貴方は違うと?」
「そりゃそうさ。正々堂々、お前を奪ってやれるぜ?」
「頼もしい限り」

アルジュナは紅茶をもう一口、口に含み、飲み下す。モードレッドの外見は、アルジュナが記憶している時とさほど変化が無い。

「貴方の専攻は」
「オートクチュールさ。オレならお前にドレスじゃなくて、上等な鎧を作ってやれるぜ。だからオレと組まねえか?」

ほう、とアルジュナは感嘆の声を漏らした。
この、「お姫様」と揶揄されるアルジュナ相手に、ドレスを作らないと宣言したのであえる。これはアルジュナの性を考えれば当然ともいえるものであったが、悲しいかな、現在のアルジュナの周囲へはびこっているのはカルナが植え付けたイメージだ。つまり、カルナの花嫁。ウェディングドレスを与えられるのを待つ、マリッジブルーのお姫様なのだ。

「……いいでしょう」
「へ?」
「貴方にその覚悟がおありでしたら、攫ってくださっても構いませんよ、王子様」

ヒュウ! とモードレッドが口笛を吹く。同時に、食堂全体に静かに広がるどよめき。

「ハッ!王子様ってガラかよオレが!騎士だろどう見ても!」
「それはどうぞお好きに。早くいきませんと、首を切られますよ」

立ち上がったモードレッドに向かい、アルジュナが手を出す。それを自然な形でエスコートしながら、モードレッドはこの場所からアルジュナを連れだしたのだった。




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