ジャンル:モージュナ お題:鈍い外資系企業 制限時間:15分 読者:316 人 文字数:1497字 お気に入り:0人

【モ+ジュ】よろしくお姫様!

その日、アルジュナの機嫌は悪かった。
ドレスの修正のために試着をして欲しい、という旨は前々から聞いていたし、試着自体は早々と終わった。あとは縫製の修正待ちのみというわけなのだが、この修正こそが鬼門だった。では私はこれでと去ろうとするも、カルナに呼び止められて財布を握らされ(もちろん、これはカルナのものだ)、学生食堂で茶でも飲みながら待っていてくれと言われたのだ。
はぁ?とアルジュナが言うよりも早く縫製室の中は修正のための呼名が飛び交う戦場となり、アルジュナは財布を返却するタイミングを逃したどころか、アルジュナ自身の荷物さえ人質にされて放り出されてしまったのだ。
とにかく、食堂で一番高い紅茶を注文し口に運んでいても苛立ちは抑えきれない。あの男、アルジュナを本当に理想のモデルだとしか思っていないのだ。
アルジュナがカップから口を離した瞬間、ガタン、と音を立ててテーブルの向かいへ腰を下ろす姿があった。

「よぅ、お姫様!」
「……人違いでは?」

その姿には見覚えがある。反逆の騎士――モードレッドだ。もっとも、アルジュナが余り積極的に話しかける相手ではなかったので、サーヴァント時代でも会話をした回数は少なかった。

「ンだよ、お前だろ?あの主席野郎のお姫様ってのはよ。それともアレか、マネキンか?トルソーか?ロボットか?」
「もはや人間でもなくなりましたね…」

アルジュナは分かりやすく溜め息を吐いた。なるほど、このモードレッドにも記憶はなく、「人間」であるらしかった。

「ま、どうでもいいか。とにかくオレの服を着てくれよ。なんかお前、スッゲー話題じゃん?」
「先程から溢れる下賤な視線たちは貴方のお知り合いで?」
「馬鹿言え。声もかけられねぇような奴らと一緒にすんな」

学外のモデルであるアルジュナは目立つ。そもそもカルナが白昼堂々とアルジュナに告白まがいのことをしたせいで、アルジュナの顔と名前と「カルナのモデルである」ということは学内に知れ渡っている。それを興味本位か何かは知らないが、遠巻きに眺められるのは、いくら他者の視線に慣れているアルジュナとて、不快感を覚えずにはいられない。

「では貴方は違うと?」
「そりゃそうさ。正々堂々、お前を奪ってやれるぜ?」
「頼もしい限り」

アルジュナは紅茶をもう一口、口に含み、飲み下す。モードレッドの外見は、アルジュナが記憶している時とさほど変化が無い。

「貴方の専攻は」
「オートクチュールさ。オレならお前にドレスじゃなくて、上等な鎧を作ってやれるぜ。だからオレと組まねえか?」

ほう、とアルジュナは感嘆の声を漏らした。
この、「お姫様」と揶揄されるアルジュナ相手に、ドレスを作らないと宣言したのであえる。これはアルジュナの性を考えれば当然ともいえるものであったが、悲しいかな、現在のアルジュナの周囲へはびこっているのはカルナが植え付けたイメージだ。つまり、カルナの花嫁。ウェディングドレスを与えられるのを待つ、マリッジブルーのお姫様なのだ。

「……いいでしょう」
「へ?」
「貴方にその覚悟がおありでしたら、攫ってくださっても構いませんよ、王子様」

ヒュウ! とモードレッドが口笛を吹く。同時に、食堂全体に静かに広がるどよめき。

「ハッ!王子様ってガラかよオレが!騎士だろどう見ても!」
「それはどうぞお好きに。早くいきませんと、首を切られますよ」

立ち上がったモードレッドに向かい、アルジュナが手を出す。それを自然な形でエスコートしながら、モードレッドはこの場所からアルジュナを連れだしたのだった。




同じジャンルの似た条件の即興二次小説


見つかりませんでした。

梟光司の即興 二次小説


ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:恥ずかしい彼女 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1433字 お気に入り:0人
「ッッ――ラァッ!」来る、と思ったのは、決してカルナの思い違いではなかった。鮮烈な赤。血よりももっと明度の高い、林檎や苺のような緋色。それが眼前に迫り、カルナは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:戦争と悪人 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:1468字 お気に入り:0人
従業員の顔が一瞬で青褪め、道を開けた。というよりも、脱兎のごとく逃げ出した。カルナとビリーは一気に走り出し、ピアノの乗るステージの横を通り抜けて二階への階段に足 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:もしかして凡人 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1258字 お気に入り:0人
ガゴンッ!と車体が揺れ、カルナが一瞬だけシートから浮く。咄嗟に庇ったベレッタをセットし直しながらフィンを見ると、どうやら運転席から何かを外へと投げているようだっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:愛のプレゼント 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:1297字 お気に入り:0人
「大層なご登場なこって」「いつもはデスクワークばかりだからね。たまに現場に戻ると良い刺激になる」「まぁいいや、カルナが君と行くと申し出た」「そうか」フィンはウィ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:見憶えのある水 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:1403字 お気に入り:0人
最初の感想は「誰だあれ」だった。俺はロビンフッドの中でも出来の悪い方だと自負しているが、その中でもまぁまぁ頑張ってきたとも思っている。魔力も電力も不足したカルデ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:ロビジュナ お題:小説家たちの唇 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:1450字 お気に入り:0人
「あなたにとって、私なんて火遊びにもならないのでしょうね」どんなことが原因だったのか、もう覚えていない。けれども売り言葉に買い言葉。それが私を躍起にさせて、言わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:私の儀式 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:1786字 お気に入り:0人
「言い訳はあるかね」「………無い」カルナは両手を後ろ手に組み、足を肩幅に開いて質問の主を見ていた。ジェロニモは他のメンバーと同じく、カルナへの「勉強」の先生であ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:没カルジュナ お題:初めての宿命 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:980字 お気に入り:0人
バタンッ!と大きくドアが閉まる音が響いた。マリーとアルジュナは肩で息をしながらドアに背をつけ、顔を見合わせる。どちらともなく瞳が弧を描き、笑みとなった。「先程の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:限りなく透明に近い命日 制限時間:15分 読者:62 人 文字数:1539字 お気に入り:0人
さて防犯ブザーで呼ばれるのは、何もむくけき男だけではない。カルナはアルジュナの元にはせ参じた三人を見やってチベットスナギツネの形相となった。「うちの子に何か御用 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:梟光司 ジャンル:カルジュナ お題:かたいオチ 制限時間:15分 読者:65 人 文字数:1572字 お気に入り:0人
「ニューーーーヨーーークヘ、行きたいか~~~~!」「「「ウォォオオオオ!!!」」」赤白青の三色帽子をかぶり、ギターをマイクに見立てて叫んでいるのは信長。その隣で 〈続きを読む〉