ジャンル:テンミリオン お題:難しいサーカス 制限時間:15分 読者:93 人 文字数:910字 お気に入り:0人

あるいは勇者としての商品価値の話。

まるでサーカスのようですね、と彼は言った。
雪原に向かう途中の村での出来事であった。
ジャングルの戦争を調停したお礼として、エルフのルファとアマゾネスのミドリが新たに加入している。
それはどうして、とブロントは尋ねた。
「誰も彼もが私たちを見て、魔王討伐隊だ、と。ありがとう勇者様、といいます。
それから、まるで見世物のようにじろじろと見る。私も、ミドリも、彼らには珍しいようですから」
「それは仕方ない。彼らにとって俺たちは希望であり、娯楽だ。
こんな辺境の村では、娯楽に乏しい。聞くニュースは、どこの村が襲われたとか、誰がなくなったとか、陰惨なものばかり。
大体小さな村にくるとそうさ。はじめは感謝がくる。純然な好意。けれど、俺たちがやるべきことをやっていくうちに、
俺らの存在は彼らの中で当たり前になって、いつしか純粋な好意は無粋な詮索に変わるのさ。
けれどそれを指摘してはいけない。彼らは裏切られたと思うから。
そう思ってしまえば、俺たちも魔物も、彼らにとっては、よく分からない強大な力を使う何かでしかない。
理解を求めようとは思わないけれど、物資を補給できないのは困るからね。
だから道化を演じるんだ」
「言いますね」
ルファは少し驚いたようだった。
「貴方の事を少し誤解していたかもしれません」
「そう?」
「ええ、もっと人間が好きなのかと」
目を伏せる。外には雪が積もっている。窓の外から覗き見る無数の目。
好奇心という視線が、ナイフのように自分たちに刺さってくる。
何ともないような顔をして(実際もうそれごときで動じるようなこともないのだが)ブロントは話を続けた。
「好きとか嫌いとか、そういう次元で考えたことはないかな。人間も魔物もそんなに変わらないよ。
魔物の方が思考回路な単純な分、人間の方が厄介かな」
「そうですか」
ルファはそれ以上何も言わなかった。値踏みするような視線もない。
宿の主人から声をかけられ、ブロントは席を立った。簡単な要求なら好意的に笑って、受けるつもりだ。
いつでも綱渡りをしている。
人間にとって好意的な存在であると、演じなければいけないのは、同種族であっても同じなのだ。

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