ジャンル:カルジュナ お題:栄光の町 制限時間:15分 読者:115 人 文字数:1364字 お気に入り:0人

【カルジュナ】小説家x婚約者

「カルナよ、この者は何だ」
「パーティの同伴者だ」
「確かに余は言ったな、今宵の授賞式にはパートナーを連れて来いと」
「あぁ」
「……………こ奴がか?」

いつもの高笑いと威風堂々とした物言いはどこへやら。ファラオという通称で親しまれている編集社の社長、オジマンディアスはたっぷり時間をかけてそう問いかけた。視線の先には、カルナの横でぴっと姿勢を正していながら緊張を隠せていない少年の姿。

「こんばんは、アルジュナと、もうします!」

ぺこりと綺麗なお辞儀をされ、つい「良い」と手で制したものの、その意味すら分かっていないようで首を傾げられてしまったためにわざわざ「気にするな、という意味だ」とまるでカルナのように言い直すことになってしまった。何故余が二度も同じ文言を口にせねばならぬのか!とカッと両目を見開けば、視線上に居たアルジュナが大きく体を震わせた。

「カルナ、やっぱり、だめだったんじゃないですか」
「何故だ。オレはお前をパートナーとして連れてきた。堂々としていればいい」
「だって、こどもはひとりもいませんよ」

今夜の授賞式はカルナの「謝罪探偵すまないさん」が本屋大賞を取った祝いの場である。そこに、噂はかねがねのカルナの婚約者を連れてくるがいいと言い放ったのがオジマンディアスであり、すんなり頷いたのが当のカルナであった。
アルジュナがもじもじと所在なさげに小学校の制服の半ズボンから覗く膝をすり合わせていると、オジマンディアスが眉を寄せる。

「では何だ。婚約者というのは詭弁であったと?余に虚を紡ぐなどと物書きの風上にも置けぬ愚弄よ!」
「婚約者だ」
「ん?」
「今回書いたシリーズが、こいつが十六になるまで続いていたら結婚してくれるというのでな。婚約者になった」
「……………ほう?」

オジマンディアスはアルジュナとカルナとを交互に見やり、カルナの言っている意味が分かっているのかそれとも緊張で聞こえていないだけなのか分からないアルジュナの幼い双眸を覗き込もうとした。が、それは他でもないカルナの腕に遮られて止められる。

「やめてくれ。コイツは輝くものが好きなのだ」

その言い草といったら、今まで無表情無感動を貫き通してきたカルナとは思えないほどの(といっても、普通の人間と比較してみればそれは十分の一程度であろう)感情を顕わにしたものであった。オジマンディアスは、思わず「不敬であるぞ!」と叫ぶのも忘れ、呆気に取られてしまった。しかし次第に自分を取り戻していくうちに、ふつふつと湧き上がるものがある。それは例えば、新しい小説の一枚目を捲るような、得も言われぬ高揚と、他者の秘密を知ってしまったという、優越感と呼ぶにはいささか柔らかい歓喜。

「――いいだろう!赦す!しかしてカルナよ、お前たちの関係は隠しておけ!そして正式に結婚することになった暁には自伝を出せ!もちろん入籍記念日にだ!発売日を結婚記念日にして記者会見だ、良いな!!」
「承知した」
「カルナ?お話、まだ終わりませんか?」

こうしてアルジュナの知らないところで、十数年後の記者会見が決定した。ついでに言うと、カルナの物語ではない、初めてのエッセイが書籍化される未来まで決まってしまったことはまだ誰もが実感の無い予感としていた。

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